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大韓民国陸軍の再編により戦場で高い殺傷力と機動性を発揮する部隊が誕生

フェリックス・キム(Felix Kim)

徴兵対象人口の減少と北朝鮮からの継続的な攻撃脅威に対応することを目的として、「国防改革2.0(DR2)」イニシアチブにより軍隊再編に取り組む韓国(ROK)の大韓民国陸軍は、従来型の連隊により戦力を発揮する形態から高度機能に支えられた個々の旅団による構造へと変遷を遂げている。

韓国国防部(MND)の発表では、改編された部隊はより小規模になるがこれにより機動性と独立性が向上することから戦場でより効果的な威力を発揮することができる。国防改革2.0の下、大韓民国陸軍の42個師団は28個に削減される。大韓民国陸軍の全仁钒(In-Bum Chun)退役中将の説明によると、従来から大韓民国陸軍の各師団は4連隊に分割されていた。

全退役中将はFORUMに対して、「陸軍はこれらの連隊を旅団に再編制した」とし、「従来型の連隊と比較してこうした旅団はそれぞれに独立した作戦を実施できるようになる。言い換えれば各旅団が移動能力、ある程度自体に再補給する能力、情報収集能力、そしてその情報を完全に独自で処理する能力を備えているということである」と説明している。

全退役中将の説明によるとこれまでは連隊の活動時にはその師団からの能力の補助を受ける必要があった。

韓国国防部のニュースリリースによると、2021年4月中旬に発表された再編には師団中心から旅団中心への陸軍の全体的な変革が反映されている。小型戦術車両を使用することで旅団の機動性と速度が向上する。旅団は必要に応じて支援隊の割り当てを調整しながら独立して動作するモジュール式システムを採用することになる。

全退役中将は、「以前は各師団に独自の連隊が指定されていた」とし、「現在ではほぼ同等の規模と能力を備えた独立旅団、つまりモジュールで構成されるレゴのような構造になっている。つまり、レゴのように各ブロックの寸法が同じなので組み合わせてさまざまなものを作ることができるわけである」と話している。

再編成が完了すれば人員要件が削減され、「より殺傷力と機動性の高い陸軍が誕生する」と全退役中将は述べている。

韓国国防部が初めて陸軍再編に言及したのは2018年に発行された国防白書である。ロボットドローンや「ウォリアープラットホーム(Warrior Platform)」として知られる一連の軍事技術装備などの高度技術を活用して、少数で迅速かつ決定的に作戦を実行できる小規模部隊を構築することが目標である。

全退役中将の説明によると大韓民国陸軍が直面している主要脅威は北朝鮮である。(写真:2020年12月、韓国と北朝鮮を隔てる非武装地帯[DMZ][板門店]の連絡事務所に接近する大韓民国国軍兵士)

戦略国際問題研究所によると、北朝鮮の朝鮮人民軍の総兵力は約130万人とされており、そのほとんどが朝鮮半島を分割する非武装地帯沿いに配備されている。米国議会調査局(CRS)によると、1953年に朝鮮戦争休戦協定が調印されて以来、朝鮮人民軍と政府工作員による挑発・威嚇行為や事件が500件以上も発生している。これには、1968年に朝鮮人民軍の特殊部隊に所属する31人の兵士が大韓民国大統領府を襲撃した朴正煕大統領暗殺未遂事件(青瓦台襲撃未遂事件)、2020年5月に朝鮮人民軍が非武装地帯内の韓国側監視哨所に向けて発砲した事件などが含まれる。

フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者。

 

画像提供:AFP/GETTY IMAGES

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