インド太平洋の行方

P. S. Davidson Admiral, U.S. Navy Commander, U.S. Indo-Pacific Command

読者の皆

インド太平洋防衛フォーラム、人口動態に関するエディションへようこそ。

インド太平洋地域の経済的、政治的、社会的重要性が高まり続ける中でこの地域の安全保障環境は、人口構造や社会構造の変化に対応してより一層変化していくでしょう。本号のフォーラムでは、人口動態の変化からインド太平洋地域の平和と繁栄に影響を与えるかもしれないエネルギーと食糧の需要の高まりまで、いくつかの懸念を検討しています。こうした動的圧力はインド太平洋の軍隊、治安部隊、専門家の役割、そして将来の活動方法を変えていくでしょう。

資源競争の激化、市民の緊張、疾病と経済格差、その他新たな課題に対処するには、同盟国とパートナー国の協力が不可欠です。

冒頭の特集では、軍事組織がどのようにして新たな戦場である巨大都市の台頭に備えているのかを探ります。世界の都市人口増加の多くがインド太平洋地域で起こると予測されている中、農村地域からの急激な人口移動により、持続可能な開発と安定性のバランスをとることが国家の課題となっています。この傾向は、軍事力がこうした巨大な人口密集地を保護する方法をも変えつつあります。

もう 1 つの注目記事では、世界的な少子高齢化と長寿化が特にインド太平洋地域でどのように高齢者人口の多い高齢化国家を生み出しているかを検証しています。労働人口と就軍適齢期人口の割合の低下は、安全保障アプローチを変化させ軍による新技術の採用を加速させます。関連記事では、中華人民共和国におけるジェンダーの著しい格差が女性や少女の人身売買、賃金格差、性犯罪など多くの社会的・安全保障上の懸念の要因となっていることを取り上げています。

人口動態は、食料と資源の競争にも影響を及ぼします。インド太平洋諸国が急増する需要のなかで、いかに技術的解決策を採用し、食料・エネルギー安全保障を改善するための協力を拡大しているかを二つの記事が年代順に記録しています。

本版の締めくくりとして、一連の記事が人口動態の変化とグローバル化の進展において、いかに医療の成果と安全を困難にしているかを考察しています。国際人道支援機関 RedR オーストラリアの CEO カーステン・セイヤーズは、COVID-19 のパンデミックが公衆衛生問題への各国の対応や見方をどのように変えたかを詳述しています。国連の女性・平和・安全保障プログラムに参加している国際的なアドバイザー・グループが執筆した記事では、このイニシアティブがどのようにして防衛・安全保障部門が住民とより良く関わり、包括的な解決策を提供できるようにするかが説明されています。別の記事では、パンデミックのなかで米国政府機関とインド太平洋地域の組織の間のパートナーシップがどのようにコミュニティーに力を与えたかを明らかにしています

本誌が軍事技術についての地域の対話を活発にすることを願っています。ご意見をお待ちしております。FORUM スタ (ipdf@ipdefenseforum.com)宛に皆様のご意見やご感想をお寄せ ください。

よろしくお願いいたします。

フィリップ・S・デービッドソン(P. S. Davidson

米国海軍、大将

米インド太平洋軍司令官

Share