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フィリピンと同盟諸国が中国共産党・海上民兵による侵略を非難

FORUMスタッフ

フィリピンが領有権を主張する南シナ海(フィリピン名:西フィリピン海)水域に侵入して集結した数百隻の中国船舶による「群れ戦術と脅迫行為」に対する抗議を表明したフィリピンにインド太平洋地域の提携諸国や志を同じくする国々が共鳴し、非難の声を上げている。

マニラ・タイムズ(The Manila Times紙が報じたところでは、2021年3月下旬、比政府は外交ルートを通じて中華人民共和国(中国)に抗議を申し立て、フィリピンではジュリアンフェリペ礁と呼ばれる牛軛礁に結集した中国船団の即時撤退を要請した。フィリピン軍は同海域で「主権保護を目的とした哨戒活動」を実施するためにフィリピン海軍艦艇を派遣し、同軍の戦闘機が約200隻に上る中国船舶(写真参照)を監視している。フィリピン当局によると、中国船舶には海上民兵が乗船していると考えられる。

ロイター通信が伝えたところでは、フィリピン軍の報道官を務めるエドガード・アレバロ(Edgard Arevalo)少将は声明で、「同海域における当国海軍の存在感の高めることにより、威嚇行為に対処して国民を保護し、当国の豊かな漁場における権利を国民が享受できる環境を確立することに対するフィリピン軍の強力かつ揺るぎない専心力を国民に実証する」と発表している。

2016年、ハーグに所在する常設仲裁裁判所が、広範にわたる南シナ海東部の水域の領有権を訴える中国の主張は無効との裁定を言い渡したが、ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)比大統領は同判定を強調し、駐フィリピン中国大使に問題を提起した。

ドゥテルテ政権のハリー・ローク(Harry Roque)大統領報道官は記者会見で、「ドゥテルテ大統領は深い懸念を表明している。これほど大量の船舶に威嚇されて懸念を抱かない国などない」とし、「大統領は自国領土を支持・保護するという国連[国際連合]に伝えた内容を再度強調した」と述べている。

ラグーンの悪天候の影響で一部の中国船舶が同海域に退避しており、船舶は中国側の海域に係留されているというのが中国政府側の主張である。しかし、今回の事態も、世界的な交易路である南シナ海の紛争海域で中国共産党(CCP)がこれまで繰り返してきた挑発行為のパターンに当てはまる。常設仲裁裁判所の判決を無視した中国共産党は、埋め立てた土地に軍事施設を着々と配備するという手段で領有権獲得を目指している。アナリスト等の見解によると、中国共産党の海上民兵は漁船団になりすまして他国の領海や排他的経済水域(EEZ)に侵入する。

フィリピンの他にも、ブルネイ、マレーシア、台湾、ベトナムが南シナ海の一部の主権を主張している。この重要な水路における法治を維持することを目的として、米国を含むインド太平洋諸国は同海域で定期的に軍事演習や「航行の自由」作戦を展開している。

複数の報道によると、2020年後半から、このブーメラン状に伸びる岩礁に頻繁に中国船舶が集まることが衛星画像により確認されている。戦略国際問題研究所のアジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)を率いるグレゴリー・B・ポーリング(Gregory B. Poling)部長は、「牛軛礁でこの事態が発生したのは初めてではないが、結集する船舶の数が著しく増えている」と説明している。

ロイター通信が報じたところでは、ベトナムは今回の中国船舶集結によりベトナム領海も侵害されたと表明している。ベトナムでは??頭(Da Ba Dau)と呼ばれる同岩礁は、ベトナムが領有権を主張する南沙諸島(スプラトリー諸島)の東端に位置しており、3月下旬にはベトナム海上警察の船舶が同海域付近に係留されていた。

ベトナム外務省のレ・ティ・トゥー・ハン(Le Thi Thu Hang)報道官は、「中国が侵入を止め、ベトナムの主権を尊重するよう要請する」と発表している。

在フィリピン日本国大使館は、南シナ海の問題は「平和と安定に直接関係するもので、すべての人々の関心の対象である」と述べている。

3月23日に同大使館は「日本政府は南シナ海の緊張を高めるいかなる行為にも強く反対する。同海域における#法治(#RuleOfLaw)を支持し、国際社会と協力して自由で開かれた平和な南シナ海の維持に取り組む」とツイートしている。

カナダ、ニュージーランド、米国などの諸国も同様の懸念を表明している。

3月28日、アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官はTwitterを通して、「牛軛礁に集結した中国の海上民兵問題に関して、米国は同盟国であるフィリピンに味方する」とし、「米国は常に同盟諸国を支え、法治に基づく国際秩序を支持する」と述べている。

リュック・ベロン(Luc Veron)駐フィリピンEU(欧州連合)大使は、海洋安保と国際法を一方的に弱体化させる諸国は「同海域の平和的発展に対する深刻な脅威」となると繰り返し表明し、「欧州連合は法治に基づく秩序を支持する」とツイートしている。

 

画像提供:AP通信社

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