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北朝鮮の脅威対策として、艦船への電子戦システム搭載を増やす韓国

フェリックス・キム(Felix Kim)

韓国は現在も続く北朝鮮からの脅威対策として、海上電子戦(EW)システムの開発と製造を強化し、大韓民国海軍の艦艇に同システムを搭載している。

同取り組みには、潜水艦に搭載される韓国初の電子戦システム開発が含まれる。国内生産される同装備により、インドネシアと輸出契約を締結している張保皐(Jang Bogo)級潜水艦の価値がより高まる。

韓国の最新の電子戦システムは、ソウルから約50キロ離れた利川市に拠点を置く民間の防衛専門メーカーであるビックテック(VicTek)社製である。

同社の資料によると、船舶がレーダーやソナーを使用した場合、またミサイルや無人偵察機(ドローン)を発射した場合に放射される電磁波がビックテック社のACES(高度概念電子サポートシステム)により信号として検出、分析、識別される仕組みである。次に、電子戦システムから味方船舶の人員と自動システムに警告が発せられる。これにより、味方船舶が回避措置や反撃を準備することが可能となる。

韓国情勢に詳しいランド研究所のブルース・ベネット(Bruce Bennett)博士はFORUMに対して、「北朝鮮の船舶検出技術は向上している。同国が外国船舶を検出できれば攻撃できるということである」と説明し、2010年3月に、韓国で西海と呼ばれる黄海で大韓民国海軍所属の浦項級コルベット「天安(ROKS Cheonan)」が北朝鮮潜水艦からの魚雷攻撃により沈没した「天安沈没事件」に言及している。同事件により、韓国側の乗組員46人が死亡した。

2019年から大韓民国海軍は水上艦用に特別設計されたACES-Iシステムを浦項級コルベットに装備しており、韓国防衛当局は「これにより敵対国の脅威に迅速に対応できるようになることで、黄海における主要戦艦の残存性能が大幅に強化される」と発表している。 (写真:大韓民国海軍艦船に搭載されたビックテック社製のACES-I電子戦システム)

ビックテック社は潜水艦用に同様のシステムを開発している。「ACES-III」として知られる同システムは、2020年12月に韓国防衛事業庁(DAPA)から金賞を受賞している。ACES-IIとはビックテック社における輸出プログラムの名称である。

ビックテック社によるACES-IIIの研究・開発成果を称賛した韓国防衛事業庁は、この完全な国内生産システムは「非常に重要」であると宣言し、現在開発中の大韓民国海軍の張保皐III級攻撃型潜水艦にも同システムを搭載する計画を発表している。韓国防衛事業庁の発表によると、同システムにより現在大韓民国海軍が運用する張保皐級潜水艦の「性能改善」を図ることもできる。韓国はインドネシアと同艦の輸出契約を締結している。

電子戦システムを国内生産した韓国政府は、これを海外に輸出することで生産コストを賄うことができる。

ベネット博士は、「要は、韓国は北朝鮮に自国船舶の場所を把握されないように、北朝鮮の検知を回避することを望んでいる。電子戦システムはその一手段である」と説明している。

フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM 寄稿者。

 

画像提供:ビックテック社

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