中国共産党 への 反発

中国共産党 への 反発

中国共産党による国際的な世論を統制しようとする試みに対する反動が強まり、権威に対する人々の 怒りを買っている

FORUM スタッフ

中 国共産党(CCP)は世界の他の国々に対して手加減の無い情報戦争を仕掛けている。しかし、そうした活動は効果を失い却って党の影響力を弱体化する反発を強めている。

中国共産党は、影響力を駆使するためのマルチメディア・プラットフォームやその他のツールの幅広いネットワークを通じて宣伝活動に毎年数十億ドルを注ぎ込
んでいるが、党のメッセージを拒否する国民が増えている。中国政府の影響力の低下はコロナウイルスの世界的大流行を受けて広範囲に及んだが、台湾での
2020 年の選挙や香港で進行する民主化デモなどを通じてさらに拡大を見せている。

中国共産党の宣伝活動が逆効果となる主な原因は現実である。これらの主張や約束が、一般国民の体験と矛盾しているとアナリストたちは指摘する。さらに、
中国共産党の核心的な価値観は中国共産党を盲目的にし、党の主張に含まれる攻撃性や傲慢さに気づかなくなり、党の自己中心的な意図を露呈するはめになっている。むしろ、中国共産党の傲慢と攻撃性が党の優越性と武力行使への可能性を示す意図的なものである場合、その結果もやはりマイナスである。このような高圧的かつ抑圧的な戦術は、国内外で中国共産党の主張を弱めるだけである。

武漢の病院でコロナウイルスにより死亡した中国の眼科医、李文亮のポスターを通り過ぎるマスクをした女性(チェコ共和国、プラハ)。ロイター

コロナウイルスとの対決

コロナ危機は、世界中の多くの人々、特に若い世代の人々の目を中華人民共和国(PRC)の権威主義的政府の負の側面に向けさせた。中国共産党が武漢の眼科医である李文亮氏(後に COVID-19 で死去)のような内部告発者を黙らせた結果、世界は言論の自由を規制することによる実害を目の当たりにした。巧妙なメディアキャンペーンや給料が支払われるオンライン部隊や自動化されたボットからの連続するメッセージは、それがどんなに洗練され大規模展開されたものであっても、中国政府がコロナウイルスの大流行に関する真実 (発生源、深刻度、拡散状況)を世界はもとより国民からも覆い隠すという党の不正行為の隠蔽を試みたという現実や認識を変えるには至らない。

「中国では医師やジャーナリストが新しい病気の危険性を警告すると、中国共産党は彼らを黙らせて消し去り、死亡者数と大流行の程度について虚偽の報告をする。」と米国国務長官マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)氏は 2020 年 6 月 6 日に中国共産党の「卑劣なプロパガンダ」に向けた声明で述べた。

コロナウイルスは「中国政府のコンセンサスにまつわる神話を払拭しました。」と、2020 年に引退したインドの元外務次官ビジャイ・ゴーカレ(Vijay Gokhale)氏は 2020 年 3 月、ストラト・ニュース・グローバル(Strat News Global)のウェブサイトに書いている。同氏は経済成長と安全を約束しながらも
透明性、人権問題、民主主義制度が欠如している中国の権威主義的統治モデルについて言及している。 

「中国当局は国家緊急事態に効率的に取り組んだとして彼らのシステムを披露することができるが、地球上で最も遠くに位置する国家でさえ中国の失敗を知っている」とゴーカレ氏は明記している。「今回は、簡単にごまかせません。何と言っても地球上の全人類に悪影響を与えたのですから。」

中国は、武漢で発生した大流行について米国およびその他の国を非難しようとしたが、これは継続的な軽蔑を煽ることとなった。米国政府は 2020 年 3 月、米軍が中国にウイルスを持ち込んだとする中国外交部の報道官趙立堅氏の主張を強く否定した。同様に、ウイルスがヨーロッパ、おそらくはイタリアから発生したのではないかという噂を広めようとする中国の試みは、科学者および欧州連合の偽情報監視機関によって即座に否定されたと 2020 年 4 月にワシントン・ポスト紙は報じている。

コロナウイルスとの戦いで英雄としての地位を確立しようする中華人民共和国の努力も、特に医療具や防護具(中には料金を支払ったものもある)を多くの国に届けたことにより、これらが欠陥品であることが判明した後に逆効果となった。チェコ共和国、オランダ、スペインなどは中国製の欠陥マスクや検査キットを
リコールしなければならなかった。さらに分析を進めると、世界的大流行の間に中国は防護具の供給を国際的に管理して最良品を自国用に備蓄しようとしていることが明らかになった。

中国のプロパガンダは自国を褒めそやすだけではなく、欧州、中東、南米などの国々を中傷した。ブルームバーグのコラムニスト、アンドレアス・クルース氏
(Andreas Kluth)は、「フランスでは、中国大使館がウェブサイトにフランスの老人ホームは高齢者を死なせていると激しく非難した。」と述べた。 「イタリアでは中国のソックパペット(偽のオンラインユーザー)によってコロナウイルスが実際には欧州で発生したものとする噂を拡散したり、ビデオを改ざんしてローマ市民が感謝とともに中国国歌を演奏しているように見せた。ドイツでは中国の外交官たちが政府関係者たちに中国を賞賛するよう求めた(この試みも失敗に終わっている)。」 

「中国の責任だ」と書かれ、コロナウイルスの世界的大流行の原因と非難する看板。この看板は 2020 年 5 月 17 日、ブラジルのリオデジャネイロにある中国領事館前で行われた抗議活動の名残。
ロイターREUTERS

2020 年 4 月、ワシントン・ポスト紙でフランス、 ドイツ、日本、英国、米国を含む多くの国が中国のこういった行いを受けて、主な健康・安全保障の物資を中国に依存する体制を直ちに再評価する動きに拍車をかけたと述べた。「この世界的大流行が終息すれば報いがあるでしょう」と同氏は言う。チェコ共和国やインドなどの国々は中国のコロナウイルス危機に対する失策に激怒し、台湾との貿易関係強化を始めた。

コロナウイルスの世界的大流行に対する中国の無神経な管理ミスの結果、世界中で中国に対する全体的な否定的感情が高まっている。「コロナウイルス以前にも債務の上昇、攻撃的で敵対的なメディアとオンラインでの争い、中国のイスラム教徒ウイグル人の大量投獄などの様々な問題により、開発途上国において反中感情は既に蔓延していた。世界的大流行の発生に対する中国共産党の明らかに貧弱な初期対応によって火に油を注ぐことになった」と、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス (London School of Economics)の外交政策シンクタンクであるLSE IDEASの会員、チャールズ・ダンスト氏(Charles Dunst)は述べている。 

中国は、財政的に採算の取れない多くの国々のプロジェクトに融資を拡大しており、中には 2017年後半にスリランカが99年間に渡りハンバント(Hambantota)港の使用権を中国に明け渡すことを余儀なくされたケースもある。 

「ジブチ共和国、キルギスタン、ラオス、モルジブ、モンゴル、パキスタンおよびタジキスタンは、一帯一路 (One Belt, One Road)プロジェクトを通じてそれぞれ GDP(国内総生産)の45%以上を中国に依存しており、同様に関心地域の支配権を中国政府に明け渡すことになる危険性がある。これらの国々と中国にGDP の 20% 以上 を依存する二十数ヵ国にとって、コロナウイルスによる経済的災難は主権に対する明白な脅威となる」とダンスト氏は書いている。 

アフリカ諸国は中国に最も多額の債務を負っている上位 50 ヵ国の半分を占めており、中国から同様の負担を受けている。2020 年半ばの時点で中国がウイルスの拡散を助長した結果、苦しんでいる国への債務救済は遅れている。 

中華人民共和国に対するソーシャルメディア反対ネットワークである「ミルクティー同盟」が、連帯を示すために作成したミーム。この同盟は、東南アジアや中国以外で人気のティードリンクに対するメンバーの共通の情熱にちなんで名付けられた。TWITTER

覇権の盲点

多くの場合、絶対的な忠誠心を求める中国共産党の外交の攻性は、キャンペーンが他国の市民の怒りを買うので報復の引き金にもなるとアナリストは説明している。例えば、ストレーツ・タイムズ(Straits Times)紙が報じたように、コロナウイルスの世界的流行最中の 2020 年 4 月中旬に公開されたミュージックビデオでは、フィリピンを援助しようとする中国の努力が強調されているが、多くのフィリピン人がそれを 「南シナ海全体に対する中国の主権を再び主張しようとする中国政府の隠された意図」と解釈したため、逆に幅広い怒りを買うことになった。このビデオが放映される数日前には、フィリピンが領有権を主張する南シナ海の島々において中国が管理することが国際的に認められていない2つの新しい地区を作ったことに対し、フィリピンが外交的な抗議文を提出している。  

ジャーナリストのジョー・キム(Jo Kim)氏は、2020 年 4 月下旬にジャパン・タイムズ紙に掲載された解説記事の中で、「全面的な話術戦争に関わることは、
中国国内におけるナショナリズムを強化する可能性があるが、その攻撃性は中国が描こうとしている 『責任ある大国』のイメージとは相容れないものであり、
『人類のために共有された未来を持つ共同体の構築』という習主席(中国共産党書記長)のビジョンを揺るがすものである」と説明した。

「中国共産党は『敵を見つけて戦線の団結を図る』という強迫観念にとらわれ、『中国対その他』のシナリオを作り出しそれによってパートナーシップを縮小した。そもそも、宣伝の目的は観客を遠ざけることではない」とキム氏は述べている。しかし、コロナウイルスのパンデミック時のプロパガンダにおいて中国共産党はブラジルからイラク、ナイジェリア、スリランカに至るまで公に対立してきた。

キャノングローバル戦略研究所の調査ディレクターであり外交政策研究所の代表である宮家邦彦氏は、「現在進行中のコロナウイルスのパンデミックの場合のように、国際舞台での中国政府の情報戦は期待したほどうまくいかないかもしれない。しかしながら、これは中国の情報戦争が無視できるほど貧弱という意味ではありません。」と 2020 年 3 月付けのジャパン・タイムズに記述している。 

「中国が世界的な流行病を引き起こしたという国際社会の批判を、中国政府がうまくかわすことができなかったことは歓迎 すべきことでしたが、これは中国の国内情報統制も貧弱であることを意味するものではありません。近代の中国帝国内部の情報の流れ、量、質を制御する政府のスキルは、過小評価すべきではありません。」とは語っている。 「東京にいる人の中には、このパンデミックが最終的には中華人民共和国の滅亡につながると期待している人もいるかもしれませんが、この考えは甘いです。中国政府が国内で情報を厳重に管理できる限り、その体制は予見できる将来にわたって存続するでしょう。独裁主義とはそういうものです。」

2020 年 6 月 4 日、北京の天安門広場近くで警備に立つ中国の準軍事警官。 AP通信社

自国での失敗

しかし、中国共産党のプロパガンダが国内でも裏目 にでていることを示す兆候があり、一部の中国国民 は権力に疑問を抱いている。香港大学の中国検閲 の専門家である傅景華氏(King-wa Fu)は、過去 1 年に COVID-19 の世界的大流行が国家に大打撃を与えたため中国共産党の発言は国内でつまずいており、また中国共産党の主張が中国市民の経験した現実と矛盾していると 2020 年 2 月にウォールストリート・ジャーナル紙に語っている。さらに、中国は安全保障のために個人の権利を売買する国民との暗黙の合意を否定したため、国民は人民解放軍の統治能力に疑問を抱くようになった、とアナリストらは述べている。

中国では、患者に対するひどい治療の話や遺体を積み重ねて火葬し、遺灰を不適切に処理していたという話など、ネット上での会話の量を考えるとこのウイルスによる国民の被害について真実を隠すことができなかった。ジャーナリストのレイモンド・ジョン(Raymond Zhong)氏は、「あまりにも多くの批判があり、またチェルノブイリ大惨事の発生時のように巧妙に検閲をかわす方法があるため中国政府はメッセージの統制が上手くできなくなっている。」と 2020 年 1 月付けのニューヨーク・タイムズ紙で述べている。

カリフォルニア大学バークレー校情報学部の研究員シァオ・チァン(蕭強:Xiao Qiang)氏は、「検閲が無かったからではなく、強い検閲があったにもかかわらず、中国のソーシャルメディアは怒りに満ちている。」とニューヨーク・タイムズに語っている。「ストーリーを統制しようとする努力の一環として、検閲がまた突然厳格になる可能性はまだある。」と、中国のインターネット統制を監視するウェブサイト、チャイナデジタルタイムズ(China Digital Time)を設立したシァオ氏はコメントしている。

中国共産党の試みは 検閲だけでなく、自国においてストーリーを操作することにも失敗した。例えば若い世代に信頼を得るため、中国共産主義青年団 が男女 2 人の「バーチャルアイドル」を導入しようとした 共産党キャンペーンは効果がなかった。「発表後 すぐに Weibo ユーザー からの批判が殺到した。Weibo ユーザーは中国のイメージを低下させるだけだと 組織を非難した。」とウォールストリート・ジャーナル lは報じている。ジャーナルによるとある Weibo ユーザー
は「人々が伝染病との戦いを辛抱強く続けているのに、なぜ 2 次元のアイドルでふさげているか?」と投稿している。別の Weibo の投稿では、この団体が 「資源を無駄にし国家の災害を無視している」と非難している。 

中国共産党はすぐに問題のミームを撤収した。

コロナウイルス期間の中国共産党のキャンペーンや声の抑制は、流行の仮想英雄に代わって、中国共産党に抵抗する新しい世代を奨励する本物の英雄を生み出した。ニューヨーク・タイムズ紙によると、北京に拠点を置く小説家閻連科(ヤン・リェンクォー:Yan Lianke)氏は2020 年 2 月に香港科技大学で行われた講演で、「李文亮のような内部告発者になれないなら、警告を受け止められる人になりましょう」と語った。彼の本や短編は風刺的であり、彼の最も有名な作品には中国で発禁処分を受けているものもある。中国共産党による検閲を避けるため、自らの記事を執筆する際に検閲を行ったことを認めており、「声を大 にして話せないなら、ささやきましょう」と述べた。「ささやくこともかなわないなら、記憶を持ち続ける沈黙の人になりましょう。・・・心に墓標を持つ人 になりましょう。」

2020 年の 1989 年天安門事件の記念日を記念してバンコクのチャイナタウンでミルクティーのクッキーを配るタイの学生活動家達。TWITTER

台湾選挙の拒否

2020 年 1 月に行われた台湾の選挙では、中国共産党の選挙への影響力と干渉の試みに対して投票者が強く反発したが、これも中国共産党のプロパガンダメカニズムの影響力が弱まった顕著な例である。台湾を中国の領土と見なし、台湾を支配下に置くための高圧的な措置をとっている中国共産党の大規模な介入にもかかわらず、台湾の蔡英文大統領と与党民主進歩党は大差で勝利した。 

中国共産党のハッカー、情報漏えいボット、ミニブログサービスも中国共産党の戦術に敏感で、プロパガンダや偽情報の集中砲火に慣れた一般市民や政治指導者にはかなわなかった。2019 年 11 月、外交問題評議会(CFR)のジョシュア・カーランツィック (Joshua Kurlantzick)上級研究員は同評議会のウェブサイトに、「中国はこれまで長年にわたり台湾に干渉してきた」と綴っている。

同月、香港の上場企業の幹部2人が台湾の国家安全保障法に違反した疑いで拘束された際に中国共産党の活動範囲が明らかになったと、台湾の検察官は述 べている。ロイターによると、ある中国の脱党者は、2 人の容疑者が台湾メディアを支配して選挙結果に影響を与えるために動いていたと主張した。自称中国のスパイである亡命希望者の王立強(Wang “William” Liqiang)氏は、「台湾は我々の最も重要な仕事でした。例えば、メディアや寺院、草の根組織への浸透があります。」と 2019 年 11 月 24 日、オーストラリアの放送番組 60 Minutes において翻訳者を通じて語ったと CNBC は報じた。ロイターによると、王氏は中国が オーストラリア、香港、台湾で政治に影響力を行使 しようとしていることについて、オーストラリア 保安情報機構に宣誓陳述書を提出した。

ブルッキングス研究所(Brookings Institution)の学者リチャード・ブッシュ(Richard Bush)氏によると、中国共産党は台湾では長い間、説得方法から暴力を伴わない強制に移行していた。選挙前 のしばらくの間、中国共産党は「トロール工場 (インターネットで偽の情報を拡散する組織)」を使 って Weibo、Facebook、YouTube、Twitter やその他 のソーシャルメディアプラットフォーム上にアカウント を開設して「認知空間での戦闘」を展開していたと2018 年 11 月の英字新聞Taiwan Newsは報じている。アジアレポートの 2019 年 1 月版によると例えば、ソーシャルメディアサイトで中国共産党を支持するコメントを投稿する名目で報酬を得ているネチズンから構成される中国共産党の五毛軍は、台湾のウェブサイトに対して1日あたり少なくとも2,500 件の攻撃を定期的に開始していた。 

戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies)の中国力プロジェクトの上級顧問兼ディレクター、ボニー・グレイザー氏 (Bonnie Glaser)によると、2020 年の台湾総選挙を前に、中国は他にも外交パートナーを横取りしたり、台湾を訪問する中国観光客を制限したり、台湾を威圧するためにこの地域での空軍演習や海軍演習を増やしたりする積極的な戦略をとった。

しかし、蔡氏を追放しようとする中国共産党の動きは新たなレベルの政治的操作をもたらした。中国共産党は 2020 年に現職大統領に挑戦した親中派の韓・国瑜氏(Han Kuo-yu)立候補の昇進を助けた。アナリストらは、中国共産党が 2018 年の地方選挙の際に台湾のメディアを操り、韓氏が高雄市長に当選して後の総統選挙に立候補できるようにさせたと主張している。中国共産党は中国を拠点とするプロのサイバーグループを使って韓氏が市長選で勝利できるように支援している、と2019年6月のフォーリン・ポリシー(Foreign Policy)誌は報じている。 

2020 年 1 月の選挙で蔡氏が圧勝しただけでなく、半年後の六月、高雄市の有権者が韓氏を市長の座から追放した。AP 通信によると、韓氏をリコールするための
投票数は法案を通過させるために必要な基準をはるかに超えていた。アナリストらは、台湾がこのような投票を初めて実施してリコールを成功させたことを、島の民主主義の強さと説明責任の別の兆候として歓迎した。

中国共産党の台湾における情報戦争に対抗するため、現職の大統領と台湾の主要情報機関は、中国の活動について警告を発し、民主化プロセスにおける外国の侵入と政治的干渉に対抗するための新しい法律を導入した。ロイター通信によると、2019 年 9 月に台湾の呉釗燮(Joseph Wu)外交部長(外相に相当)は、「中国政府は大統領選挙と立法委員選挙の前に意図的に台湾を攻撃することで、明らかに投票に干渉することを企んでいる。当国政府はこれを強く非難し、自国の主権および自由と民主主義の価値観を保持することを国民に訴える」と述べている。

選挙が近づくにつれ、情報プラットフォームは偽ニュースを監視するために厳戒態勢をしていた。2019年初旬、Facebook は台湾の選挙に関する偽ニュースに関連してプラットフォームの基準に違反した 200 のアカウント、ページ、グループを削除したと発表した。ロイター通信の報道によると台湾の事実確認団体もセミナーを開催し、偽ニュースを特定するためのウェブサイトやチャットルームを開設した。

ミルクティー同盟

中国共産党の主張が失敗したもう 1 つの例は、2020 年4 月にソーシャルメディアにおける反対ネットワーク「ミルクティー同盟」の登場である。この同盟は、東南アジアや中国以外で人気のティードリンクに対する共通の情熱にちなんで名付けられている。 

中国でも視聴されているタイの人気ドラマに関係するタイの有名人 2 人が、オンラインコメントで香港と台湾の独立を支持しているとして中国のオンライン軍の標的となった。タイ国民は、国境を越えて成長を続けるオンライン同盟を構築することで反撃した。香港の民主化活動家は、ミルクティーのグラスを鳴らしている 3 人の人物のミームを投稿し、「中国からあらゆる形態の権威主義をかわすために」アジア諸国の連帯を求めた。ハッシュタグ#MilkTeaAlliance と #MilkTeaIsThickerThanBloodは 100 万以上のツイートに登場した。 

タイ、バンコクにあるチュラーロンコーン大学(Chulalongkorn University)の国際関係論教授のティティナン・ポンスディラック(Thitinan Pongsudhirak)氏はボイス・オブ・アメリカに「アジア諸国のネットワークは、中国に関して、それぞれの国の公式見解と世論の違いを反映している」と語った。「東南アジア諸国の政府と国民の間 にはそれぞれの姿勢に相違点がある。」と ポンスディラック氏は述べている。「フィリピン やタイなどの政府は実は親中派である」

些細なオンラインでの攻撃として始まった 中国共産党による攻撃が、#MilkTeaAlliance とそのミームを、中国の高圧的なプロパガンダに抵抗 するためのタイ、香港、台湾などのインターネットユーザー間の連帯の象徴にした。その後、数週間から数ヵ月の間にフィリピンのユーザーはオンライン連合に 参加し、中国による南シナ海の軍事化に反対することを 示した。オーストラリアやインドのユーザーも 中国の攻撃に反対するためにオンライン上の争 いに参加した。

結果としてオンライン同盟は、地域の民主主義団体 の間で横断的で強力な対話を可能にすると、一部のアナリストは評している。「共通の敵が中国共産党 のように巨大であれば、団結による力の認識が高まる。」と、技術と人権の研究者であるダン・マクデビット氏 (Dan McDevitt)は Axios のウェブサイトに語った。該当同盟は、地域全体で「意識、注意、共感の高まり」につながっており、「特に自国で民主化を求める闘争に直面しているときには」と彼は述べている。

この同盟が現実社会にも影響を及ぼす可能性 があるという証拠がある。2020 年 6 月、タイの 学生活動家らが北京の天安門と象徴的な「タンクマン」の形にクッキーを焼き、天安門事件の記念日にバンコクの中国大使館前で配ったと、カーウ・ソット英文 ニュースサイトが報じた。クッキーはミルクティー 同盟の名の通りミルクティー風味だった。一方、台湾 の蔡英文大統領はFacebook上で香港との連帯を表明 した。台湾はまた、中国が制限的な国家安全保障法を 可決されたら市民の自由が脅かされるため、台湾への 移住を希望する香港市民を支援することを約束した。

香港城市大学のダニー・マークス(Danny Marks)助教授は、オンラインでの議論がより幅広い政治的な抗議活動に発展したのは、これらの国の住民 が中国の一方的な行為に不満を募らせているからだとボイス・オブ・アメリカに述べている。同教授は、「それはインターネット戦争を行 う中国ユーザーの能力が限定的 であることも示している」とコメントしている。「なぜなら中国ユーザーはこれまで、一方的な中国のインターネットに甘やかされていたからである。」

主張の失敗

中国共産党の対外宣伝戦の規模にもかかわらず、党のイメージは悪化している。特にコロナウイルスの世界的大流行時における戦術は、中国共産党の海外での信頼と評判、そして国内での権威に修復不可能なダメージを与えたかもしれない。

カリフォルニア大学サンディエゴ校 21 世紀中国センターのディレクターである中国学者スーザン・シャーク氏(Susan Shirk)は、2020 年 5 月、ニューヨークタイムズ紙に「中国がウイルスを管理し始めて、この医療外交を始めた時は中国が思いやりのある面を強調し、信頼と責任ある世界的な大国としての評判を再構築する機会だったかもしれませんが、その外交努力は党のプロパガンダ部門に乗っ取られ、この世界的大流行をウイルスの拡散阻止に成功したと国・制度として中国を称えるようにより積極的に利用しました。」と述べている。

さらに中国共産党に対する反発は深刻であった。なぜなら中国共産党は宣伝組織を介して偽のニュースや誤報を大量発信し、でたらめな政策によって悪化したコロナ危機による国の不安を利用しようとしていたからである。世界がリーダーシップと思いやりを必要とする中で中国の指導者たちは何も示さなかった。むしろ、他国や自国の国民を犠牲にしてでも、世界を支配する権力を手にするという中国共産党の野望が明るみに出たというアナリストも多い。本音はそういうことなのだ。

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