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日本がソマリア沖海賊の対処活動を延長・増強

トム・アブケ(Tom Abke)

主要海路と貴重な海事資産の保護を目的として実施されているソマリア沖海賊の対処活動を、日本政府がさらに1年間延長すると発表した。

岸信夫防衛相が2020年11月10日に発表した同決定は、東アフリカ沿岸の海賊対策を目的として実施されている自衛隊海外派遣期間を延長し、自衛官を増員する計画である。同地域への自衛隊派遣が開始されたのは2009年で、その後多国籍部隊として編成されている第151合同任務部隊(CTF151)に編入された。

派遣自衛官数は90人から130人に増員され、ジブチ拠点の改修に伴い、派遣海賊対処行動支援隊の人員数が現在の約110名から約120名に変更される予定である。

ドイツの調査会社「スタティスタ(Statista)」の統計によると、海賊対策活動が開始されてから、ソマリア近辺における海賊攻撃発生件数は2010年〜2015年の358件から2015年〜2019年の8件に劇減している。岸防衛相はソマリア沖とアデン湾での海賊対策任務部隊による「抑止効果」に対する認識を示している。

日本防衛省の発表によると、2009年3月以来、日本は護衛艦1隻とP3C哨戒機2機を同地域に展開している。2009年から2015年の間に、同地域に派遣されている艦船は海賊出没が激しい海域を通過する621件の護衛任務で実に3,577隻の船舶を護衛している。2009年以来、P3C哨戒機による哨戒活動は数千回を数えるだけでなく、日本はソマリア沖の海賊行為の根本原因と考えられている貧困を改善するため、ソマリアに数億円(数百万米ドル)に上る開発援助を提供している。(写真:2020年6月、ソマリア沖とアデン湾での約7ヵ月間の海賊対策任務を終えて帰国した海上自衛隊隊員等)

ジャパンタイムズ紙が報じたところでは、ジブチ共和国における自衛隊拠点が開所されたのは2011年6月で、2017年にはジブチ政府から3ヘクタールの土地を新たに借り上げて12ヘクタールの敷地を拡大した。

ケンブリッジ大学のビクター・テオ(Victor Teo)研究員が執筆した2019年の 「Japan’s Arduous Rejuvenation as a Global Power(仮訳:日本の大国としての復活への奮闘)」によると、日本国籍船がマラッカ海峡付近で海賊の襲撃を受けるという事件が発生した後、日本は海賊対策に取り組むようになった。1992年から2001年にかけて、5隻の日本船舶が海賊の襲撃を受けている。これには、海賊に襲撃されたタンカー「ナガサキ・スピリット(Nagasaki Spirit)」号が他のコンテナ船と衝突したことで、大規模な油流出と火災が発生し、44人の船員が死亡した事件が含まれる。

同書には、日本経済は輸出入に大きく依存していることで、海賊行為は「日本の包括的な国家安保に対する脅威と解釈されるようになった」と記されている。

トム・アブケは、シンガポール発信のFORUM寄稿者。

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