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影響力強化を推進する中国への牽制として防衛関係を強化する日豪

AP 通信社

インド太平洋地域において中国がますます主張を強める状況の中、国間の関係強化に取り組む米国同盟国のオーストラリアと日本が、二国間防衛協定に大枠で合意した。同協定により、両国軍隊がより緊密に協力を図ることが可能となる。

スコット・モリソン(Scott Morrison)豪首相と菅義偉首相が説明したところでは、円滑化協定(RAA)と呼ばれるこの法的枠組により、オーストラリア国防軍と自衛隊が訓練や統合作戦のために相互の国を訪問することが可能になる。2020年11月に開催された菅首相とモリソン首相との会談の席で、両首相はこれにより相互運用性と協力体制が強化されると述べている。(写真:2020年11月17日、東京の首相官邸で行われた「日豪首脳共同声明」の調印式の前に共同記者発表を行う菅義偉首相(右)とスコット・モリソン豪首相)

日本とその周辺地域における米軍兵士約5万人の駐留と活動に関する条件を定めた1960年の日米安全保障条約を除けば、日本にとって部隊訪問に関する協定はこれが初めての事例となる。

中国との重要な貿易を維持しながら米国とも同盟関係を維持している両国にとって、同協定は「画期的な」展開であると述べたモリソン首相は、オーストラリアと日本はインド太平洋地域の全諸国と強力かつ前向きな関係を維持しているとも話している。

今年日米同盟60周年を迎えた日本は、外交と安保の要として米国との同盟関係の深化に取り組んでいるが、近年、中国が海上活動を過激に拡大している状況を受け、特にオーストラリアなどの他諸国との協力体制を強化して地域防衛を補完することに目を向けるようになっている。

日本は第二次世界大戦後の「平和主義憲法」に基づき、基本的には軍事活動を自衛に制限し、先制攻撃を禁止しているが、安倍晋三前政権の下、自衛隊の役割範囲と防衛支出が増加された。

安倍元首相が米軍との軍事協力と兵器の互換性の向上を推進したことで、自衛隊が米軍と共同演習を実施する機会も増えており、米国製のステルス戦闘機や他の兵器の購入量も増加している。

体調不良による安倍首相の辞任後、2020年9月に新たに就任した菅義偉首相は前政権の外交・安保政策を継承している。

日本はオーストラリアを「準同盟国」と見なしており、2007年には両国首脳が「安全保障協力に関する日豪共同宣言」に署名している。日本にとって、これは米国以外では初の外国との安保関連共同宣言となる。2013年には物品・役務を相互に提供するための枠組を定める日・豪物品役務相互提供協定(日豪ACSA)が締結され、日本の武器輸出三原則改訂を受けて、2017年には弾薬の融通措置などを加えた新たな物品役務相互提供協定が発効している。

自由、民主主義、人権、法治などの基本的価値観を共有する「特別な戦略的提携国」と日豪関係を表現した菅首相は、地域の平和と安定を達成するために協力していく構えであると述べている。

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