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動的戦力運用により戦略的柔軟性を強化する米軍

FORUMスタッフ

今日では戦闘空間が多次元にわたることから、戦略の柔軟性を高める必要性が発生している。米国の動的戦力運用(DFE)の概念により、合同部隊は世界的な活動計画や戦闘領域全体で任務を積極的かつ拡張可能な形態で遂行できる選択肢が得られる。

この動的戦力運用とは、戦争が勃発した場合の即戦力を優先しながら、現在の日常的な作戦における需要を満たすことを目指す戦力管理の枠組である。これは迅速な展開と多目的任務を果たす航空兵に焦点を当てるもので、これにより軍の戦闘能力が強化される。

「2018年米国国防戦略概要」には、「米軍の強みおよび同盟国との協力体制は攻撃阻止に対する米国の取り組みを実証するものであるが、米軍の動的な部隊の展開、軍事的姿勢、作戦により、敵の司令者が予測できないような効果もたらす必要がある」と記されている。

ここ数週間の間、米インド太平洋軍(USINDOPACOM)と太平洋空軍(PACAF)は、戦略的には予測可能であるが作戦上は予測不可能な部隊能力を強化することを目的とした訓練を通じて、動的戦力運用の戦力投射を実証している。

太平洋空軍によると、2020年11月、バージニア州ラングレー空軍基地に常駐する第1戦闘航空団・第94戦闘飛行隊の隊員300人がグアムのアンダーセン空軍基地に派遣された。米国領土保護と外国からの侵略阻止を目的としてインド太平洋全域に配備されたパイロットは、任務全体にわたる演習を完了した。第36空輸飛行隊が空中給油システムを搭載した「C-130J」スーパー・ハーキュリーズ(「ヘラクレス」の英語読み)を用いて、エンジンを停止しないまま燃料補給を行う訓練を支援している。太平洋空軍は、こうした資産により「戦略的には予測可能であるが作戦上は予測不可能な方法で、インド太平洋地域のどこででも燃料補給できる能力を実証することができた」と発表している。(写真:「自由で開かれたインド太平洋」の推進を目的とした統合空母作戦を実施するニミッツ空母打撃群の航空機とルイジアナ州バークスデール空軍基地のB-52戦略爆撃機。ニミッツ空母打撃部隊として、南シナ海で複合空母作戦を実施したニミッツ空母打撃群とロナルド・レーガン空母打撃群)

作戦の安保上の理由から匿名を条件に取材に応じた第94戦闘飛行隊の飛行指揮官は太平洋空軍に対して、「米インド太平洋軍は地域全体の事態に影響を与え得る最大の戦略的競争相手に対抗できるニア・ピア(同等に近い敵)機能の本拠地である」とし、「第94戦闘飛行隊はインド太平洋の公海における航行能力を実証している。世界最高級の制空戦闘機を潜在的な戦域に配備することで、敵の戦力に対抗し、その影響力を判断することができる」と述べている。

2020年7月、第96爆撃飛行隊のB-52ストラトフォートレス戦略爆撃機がアンダーセン空軍基地に帰還する前に、ニミッツ空母打撃群とロナルド・レーガン空母打撃群が南シナ海で実施していた海上統合演習に合流したが、その訓練にも動的戦力運用の概念が取り入れられていた。太平洋空軍によると、B-52戦略爆撃機が28時間の飛行任務を遂行した事実は、インド太平洋の安全と安定を推進する米インド太平洋軍の取り組みを実証するものである。

太平洋空軍が発表したところでは、米国海軍第7艦隊・第70任務部隊(CTF-70)航空作戦士官を務めるジョシュア・フェイガン(Joshua Fagan)中佐は、「インド太平洋の潜在的戦域全体で展開を図る中で当軍の艦隊部隊は提携諸国の部隊と共に、全領域を考慮した共同結合作戦を行う能力と機能を強化できるあらゆる機会を良好に活用することを考えている」とし、「最近の演習や活動では、統合任務の強化を目的として空軍のB-52とB-1の戦略爆撃機や海軍航空機と艦船を共有する連絡網で繋いで海上に集めており、同地域で安全かつ効果的に活動するために不可欠となる共同の任務計画や協調作戦を試す良好な機会となる」と話している。

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