米国財務省:デジタル権威主義の海外普及を企む中国企業を制裁

米国財務省:デジタル権威主義の海外普及を企む中国企業を制裁

FORUMスタッフ

中国が引き続きデジタル監視技術を世界各国に輸出する中、米国は民主主義崩壊を目的として人工知能(AI)搭載装置が利用されていると警告を発している。

ロイター通信が報じたところでは、2020年11月、米国財務省は中国电子进出口有限公司(CEIEC)を制裁対象に指定した。市民のインターネット利用を制限し、デジタル機能で政敵をスパイするという政策で民主主義弱体化を狙うベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の取り組みを同中国企業が支援したことが今回の制裁の理由である。

スティーブン・ムニューシン(Steven Mnuchin)米財務長官は声明で、「ベネズエラ国民や世界諸国の市民の民主的意志を抑圧する政策を支援する者には、米国は躊躇なく制裁を加える」と述べている。

ロイター通信によると、ベネズエラではマドゥロ大統領の政敵や同政権を批判する地元の報道機関のウェブサイトにはパソコンやスマートフォンからアクセスできなくなっているが、何年にもわたり、この状況に対して同国の国民は不満を訴えている。

米国財務省が発表したところでは、2017年以来、中国电子进出口有限公司はソフトウェア、研修、技術的専門知識を提供するという手段でマドゥロ政権を支援してきた。広範にわたり不正と見なされた2018年の大統領選挙でマドゥロ大統領が再選した後、制裁と外交圧力を強化していた米国政府は、2019年1月、ベネズエラの政治家であるフアン・グアイドを同南米国家の正当な指導者として認め、ベネズエラ暫定大統領への就任を承認した。

今回の制裁措置により、同中国企業の米国内の資産と利益はすべて凍結され、同社と米国市民の取引が禁止される。

中国からデジタル監視技術や取り締まり技術を購入する国は増加しているが、ベネズエラもこうした諸国の1つである。2020年4月にブルッキングス研究所が発表した論文「Dealing with Demand for China’s Global Surveillance Exports(仮訳:中国の監視技術輸出の世界的な需要への対処)」によると、2008年以来80ヵ国が中国の監視・公安技術基盤を導入している。

通常、こうした技術基盤は中国最大の供給業者であるファーウェイ(Huawei Technologies Co. Ltd.)社が「公共安全」プロジェクトという名称で宣伝している商品である。ブルッキングス研究所の報告書には、同社の技術により、犯罪歴、政府データベース、監視カメラ、顔認識/ナンバープレート認識アプリケーションといったさまざまな情報源からデータを収集、統合、分析することができる。

世界的なデジタル技術の普及は、政府による巨額の投資により支えられている。人工知能、ロボット工学、量子コンピューティングなどの部門に焦点を当てる「中国製造2025(Made in China 2025/MIC 2025/中国語表記:中国制造2025)」方針により、中国は製造業から高価値技術部門にその焦点を移行した。

政治に特化した報道機関「ポリティコ」が2020年11月に配信した記事によると、現在、中国の大手ハイテク企業は米国を除く全世界諸国のハイテク企業の数を上回っている。中国が最近発表した5ヵ年計画(国民経済および社会発展第14次5ヵ年計画)では、半導体と人工知能への国家投資額が100兆億円相当(1兆米ドル)超増加されている。(写真:2018年に北京で開催された第14回セキュリティチャイナ(China International Exhibition on Public Safety and Security)に出展された顔認識技術のような監視技術の輸出を続ける中国)

民主主義の西側諸国の多くが危惧しているのは、中国が国内で実施している検閲と監視機能を輸出して、海外でも同様に言論の自由や中国批判を抑圧することを企んでいる可能性である。中国共産党が実施する「金盾のファイアウォール機能(万里のファイアウォール)」により、外国報道機関や人権団体のインターネットだけでなく、TwitterやFacebookといった外部ソーシャルメディアにも中国国内からはアクセスすることができなくなっている。

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