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オーストラリアが日米印合同海軍演習への参加を表明

ロイター

2020年10月下旬、オーストラリアが日米印合同海軍演習への参加を表明した。

日本海上自衛隊と米国海軍と共に「マラバール(Malabar)」を毎年開催しているインドは、4ヵ国の協力体制の証として、2020年11月にベンガル湾で実施される予定の演習にオーストラリアを正式に招待したと発表した。(写真:2017年に実施された「マラバール」演習で、ベンガル湾で編隊航行するインド海軍、海上自衛隊、米国海軍の艦船を率いる米軍空母「ニミッツ」)

インド国防省は声明で、「インドが海上安保分野で他諸国との協力強化を図る中、オーストラリアとの防衛協力体制の強化に照らして、『マラバール2020』にオーストラリア海軍が参加することになった」と発表している。

オーストラリアは2007年にも一度マラバールに参加しているが、この時は中国から批判が発せられた。同様の合同演習により地域が不安定化するというのが中国側の主張である。

オーストラリアのリンダ・レイノルズ(Linda Reynolds)国防相は、マラバール演習はオーストラリア国防軍にとって画期的な機会であり、これは「インド太平洋地域の主要な民主主義国4ヵ国間の深い信頼性、および共通の安保利益の保護を目的として協力するという共通の意志」を示すものであると述べている。

同地域で拡大しつつある中国の影響力に対する防波堤として、米国はオーストラリア、インド、日本との協力体制の深化を推進している。

非公式な戦略的同盟を組む同4ヵ国は日米豪印戦略対話を構成している。アナリスト等の意見によると、今回実施される予定の合同演習は同4ヵ国が示す初の具体的な行動となる。

日米豪印戦略対話は同地域における中国の発展の取り組みを阻害するものとして、中国側は批判の声を発している。

同合同演習を拡大したインドの決定の背景には、中印国境のそれぞれの実行支配地域を分ける境界線であるヒマラヤ地域の実効支配線(LAC)を挟んで発生した中印の軍事的対立による緊張の緩和が遅々として進まない現状がある。

インド側は中国人民解放軍の部隊がヒマラヤ西部の印領土側に侵入したと主張している。

侵入に関するインド側の主張を否定した中国政府は、紛争地域におけるインドの道路・インフラ建設により危機が発生していると訴えている。

2020年、中国湖北省武漢市を震源地とする新型コロナウイルス感染症パンデミックに関する国際調査の要請をオーストラリア政府が主導したことへの報復として、中国政府がオーストラリアの牛肉と大麦に貿易制裁を課してから、豪中外交関係は悪化の一途を辿っている。

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