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ブーゲンビルで元革命軍司令官が大統領に当選

ロイター

2020年9月、南太平洋に位置するパプアニューギニア(PNG)のブーゲンビル自治州の大統領選で、元ブーゲンビル革命軍司令官のイシュマエル・トロアマ(Ishmael Toroama)(写真参照)が当選したと選挙当局が発表した。今後、独立交渉を先導していくと考えられる。

ブーゲンビル選挙管理局によると、パプアニューギニアからのブーゲンビル独立の是非を問う2019年後半の住民投票で、独立賛成票が大多数となってトロアマ率いる革命派が圧勝して以来、同地で開催された総選挙は今回が初めてである。

鉱物が豊かなブーゲンビル島では、結果的に2万人以上に及ぶ犠牲者を出した内乱が1998年まで10年以上にわたり続いていたことで、経済的発展が妨げられていた。

内乱の主な発端は、ブーゲンビル島に所在していたパングナ鉱山の利益配分を巡る政府との対立および鉱山により発生する環境破壊に関する論議である。

パプアニューギニアのジェームズ・マラぺ(James Marape)首相は声明で、今後数週間以内にトロアマ大統領と会談する予定であると発表している。

マラぺ首相は、「昨年実施された住民投票によりもたらされた独立の状態に関する協議を進め、ブーゲンビルの長期的な経済発展および住民の永続的な平和確立に向けてトロアマ大統領と協力できることを楽しみにしている」と述べている。

選挙運動中、トロアマ大統領は「今こそ戦争の時、和解の時、そして新しい国の建国の時」をスローガンとしてきた。

同大統領はまた、「時は熟した。よって、神の導きにより、我々の同胞等に建国の力が与えられる。目標に向かって進む」とも述べている。

過去に分離独立運動のブーゲンビル革命軍を率いた同大統領は、後に平和と武装解除のプロセスに取り組んでいる。

革命軍の妨害暴動を受けて閉鎖に追い込まれた銅山の操業を再開できれば、ブーゲンビルの独立資金調達のメリットとなる可能性があるが、開発権を巡る競合により再開交渉が行き詰っている。

世界最大級の銅山であるパングナ鉱山は、コンジンク・リオティント・オブ・オーストラリア(CRA/Conzinc Riotinto of Australia Ltd)社(旧リオ・ティント)が暴動のために鉱山を閉鎖せざるを得ない状況に追い込まれるまで、パプアニューギニアの経済的原動力となっていた。

ブーゲンビル島は豊富な鉱物や肥沃な火山性土壌、優れた地理を有しているにも関わらず、現在、パプアニューギニア政府からの財政支援に依存している人口約25万人のブーゲンビル自治州の経済はどん底の状態にある。

ブーゲンビル自治州が独立体制をどのように維持するかに関する議論が交渉の大部分を占める可能性が高いが、同州の某上級政治家の見解によると、同地域は制度自体を再構築する必要があるため、移行には10年かかる可能性があると推定されている。

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