技術革新連載記事

核の 3 本柱 と真の戦略的核抑止力

米国と同盟国を守るために存続する

FORUM スタッフ

国は冷戦時代に核の 3 本柱(nuclear triad)の戦略的構造を発展させた。この 3 本柱とは、米国戦略空軍司令部のミサイル・爆撃システムと、米国海軍の弾道ミサイル潜水艦隊を組み合わせた軍事力の構造である。1992 年 6 月に米国戦略軍(USSTRATCOM)が任務に就役したとき、その主要な任務は、日常的な管理と任務遂行のための態勢整備であった。

過去 1 世紀に開発されたこの戦略概念は、核攻撃に対する積極的抑止力として米国と同盟国に役立っている。2020 年 2 月 3 日から 14 日にかけて行われた一連の共同イベントでは、米国の核の 3 本柱の存続力が確認され、信頼性のある試験方法が実証された。

これらイベントには、B-52 Hストラトフォートレス爆撃機による爆撃任務部隊の飛行や非武装の大陸間弾道ミサイル (ICBM)および潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)2 発の試験発射が含まれていた。デモで使用された兵器システムは、冷戦時代に端を発し 1960 年から 1980 年にかけて実用化された。

マーク・エスパー(Mark Esper)米国防長官は、USSTRATCOM の司令部を訪問し、ミッションの重要性を強調した。「我々の最優先事項は、安全で、確実で、効果的かつ信頼できる戦略的抑止力を確保することである。」とエスパー氏。「つまり核の 3 本柱である、核指揮、統制と通信、そして非常に効果的な指揮官の指揮下での非常に効果的な指揮を意味する。」と述べた。

米国の核抑止力が持続可能であるためには、国家安全保障上の目的を達成するために多くの要素が一体となって機能する必要がある。このミッションで最も重要な役割を担うのは、日常的にこれらの機能をメンテンナンスして使用するすべてのボランティア専門家だ。

アーティストによる次世代爆撃機 B-21 レイダーのイメージ図 米国空軍

1588 年のスペインとイギリスの海戦は、高度に訓練され準備された要員の価値を示している。より訓練された英国艦隊は、はるかに大きなスペイン艦隊を破った。この勝利の重要な要因は、イギリスが船舶を常に海上に配備し、艦隊の訓練と準備が整っている状態を維持していたことである。イギリスの船乗りたちは感覚を研ぎ澄ませ、敵の襲来だけではなく海がもたらす事象にも備えていた。

USSTRATCOM は、兵器システムの試験、定期的な演習、および核の 3 本柱の作戦展開を通じて継続的な訓練と即応性という時代を超えた原則を支持する。

兵器システムのハードウェアとソフトウェアを必要に応じて実行可能状態に保つことは、抑止態勢を維持するための第 2 の要素である。航空機、ミサイル、潜水艦、関連軍需物資、支援指揮統制能力は、行動要請があった際に最良の状態であるように専属の保守要員部隊によって維持される。これはフィールド部隊から始まり、複数年のサイクルで深いレベルでの清掃と改修を行う武器庫レベルでのメンテナンスによって支えられている。この規律ある整備・改修の典型例が、核抑止兵器システムの要となる B-52 戦略爆撃機だ。B-52Hは軍艦延命改造計画(SLEP)の一環として複数のシステムアップグレードや構造改善を通じて最新の状態に保たれており、これにより 1960 年代製のビンテージ機が 2050 年まで運用可能な状態に保たれる。

3 本柱の 1 本である有人爆撃機には、第二次世界大戦後に就役した B-52 Hストラトフォートレスと B-2 スピリット(1990 年初頭に就役)の 2 つの輸送機がある。ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)社は次世代爆撃機「B-21レイダー」 を開発している。B-2 の設計と運用の経験、および新興技術を利用して、B-21 は 2025 年に就役する予定である。

核の 3 本柱の第 2 の柱は大陸間弾道ミサイル(ICBM)である。ICBM 戦力は、1970 年に実戦配備された LGM-30Gミニットマン III ミサイルで構成されており、B-52 Hと同様に、21 世紀半ばまでの実効性を確保するため、一連の SLEPによって維持されてきた。ミニットマンIIIの代替型は、地上配備型戦略抑止(GBSD)プログラムのもとノースロップ・グラマン社の航空宇宙システムによって開発されており、2029 年に就航する予定である。この GBSD の開発と調達の努力は、ICBM 能力全体の大幅な資本増強を意味する。

ネブラスカ州のオファット空軍基地で、米国戦略軍司令部の戦闘デッキの説明を受けてるマーク・T・エスパー(Mark T. Esper)国防長官。 イアン・ホーホランダー二等軍曹/米国空軍

核の 3 本柱の第3の柱は弾道ミサイル搭載原子力潜水艦隊 (SSBN)である。1981 年に就航したオハイオ級 SSBNは、トライデント II D-5 潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射する。SSBN の代わり現在、エレクトリック・ボート(Electric Boat)社とニューポート・ニューズ造船所 (Newport News Shipbuilding)によって開発中されている。コロンビア級の艦隊は2031年に就航を予定しており、交換プログラムのリスクを低減する D-5 寿命延長プログラムの SLBMであるトライデント II を搭載可能である。

核の 3 本柱のそれぞれと、これを支える核の指揮・統制・通信システム(NC 3)の各部分はリフレッシュされたか、あるいは次世代でのリフレッシュが予定されている。NC3 のリフレッシュの1つは次世代のミルスター(Milstar)であり、これは実戦配備された核戦力と通信するコマンド能力を大幅にアップグレードさせるものである。2019 年 12 月、USSTRATCOM は、米国の核戦力の日常管理を戦略航空司令部の支援の下に設立されたグローバル・オペレーション・センターから多くの教訓を得て建設された最先端の指揮統制施設に移管した。 

冷戦から生まれた米国の核の 3 本柱は、21 世紀に米国の敵対国による壊滅的な行動を防ぐために必要な抑止力であり続けている。米国は核の 3 本柱を維持・訓練し、この重要な能力を将来にわたって国の安全確保を目的として態勢を整え、準備を整え、関わっていけるように技術的・計画的な開発を継続する。

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