大規模なデータ漏洩により中国の「ハイブリッド戦」戦術が発覚

大規模なデータ漏洩により中国の「ハイブリッド戦」戦術が発覚

FORUM スタッフ

2020年9月中旬、国際的な報道共同体が実施した漏洩資料の調査により、中華人民共和国国家安全部や中国人民解放軍(PLA)と関係のある中華人民共和国(中国)のIT企業が、世界各地の軍司令官、政府高官、政治家、業界指導者などを含む約240万人の詳細な個人情報を収集していたことが判明した。

ザ・インディアン・エクスプレス(The Indian Express)、タイワン・ニュース(Taiwan Newsワシントン・ポスト紙が報じたところでは、中国企業の深圳振華数据信息技術有限公司(Shenzhen Zhenhua Data Technology)は、米国軍人の経歴や軍歴を含む少なくとも5万人の米国市民、3万5,000人のオーストラリア人、1万人のインド人、9,500人の英国人などに関する情報、並びにニュース報道やソーシャルメディア投稿記事をOKIDB(Overseas Key Information Database)というデータベースにまとめていた。

オーストラリア放送協会(ABC)が伝えたところでは、漏洩した記録にはカナダ人5,000人超、インドネシア人2,100人超、マレーシア人1,400人超、パプアニューギニアの国民138人超の情報も含まれていた。

オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)国際サイバー政策センターの研究者であるサマンサ・ホフマン(Samantha Hoffman)博士はワシントン・ポスト紙に対して、「今日、中国共産党(CCP)が大量のデータ収集を推進しており、将来的にそれを処理・使用する意図を持っていることは分かっている」とし、「このデータセットは中国が個人を標的にしていること、そして同党にとってソーシャルメディアが重要なツールであることを示すものである」と説明している。

ハイブリッド戦は政治的、経済的、技術的手段により永続化する非軍事的戦争として定義されているが、深圳振華数据信息技術有限公司はウェブサイトで自社を「ハイブリッド戦」にビッグデータを使用する先駆者として宣伝している。しかし、ザ・インディアン・エクスプレスで事態が初めて報道された後の9月9日にこの記述は削除された。Yahoo!ニュースによると、他諸国を弱体化させる宣伝武器としてソーシャルメディアを利用できるという記述も同社ウェブサイトから削除されている。

タイワン・ニュースが報じたところでは、中華人民共和国国家安全部や中国人民解放軍が同社の主要顧客であると、アナリスト等は見ている。

同社の広報担当者は、同社が中国政府や軍隊と関係があることも、200万人のデータベースを保有していることも否定している。

ソン(Sun)という姓だけを名乗った同広報担当者は、「当社のデータはすべてインターネットですでに公開されているデータであり、当社はデータを収集していない。これは単なるデータ統合である」とガーディアン(The Guardian)紙に語り、「当社の顧客は研究機関と事業体である」と付け加えている。

オーストラリアのサイバーセキュリティコンサルタント会社と独立系研究者が、OKIDBソフトウェアで分析されたデータベースの一部を報道機関に提供している。

研究者のクリストファー・バルディング(Christopher Balding)博士はワシントン・ポスト紙に対して、「中国が法的制限を超えて外国の個人や機関を監視するという事態は非常に現実的な脅威である。開かれた自由民主主義諸国はこうした脅威に対処するための最善策を検討する必要がある」と警告している。

タイワン・ニュースが伝えたところでは、調査結果に関する報告書で「中国は国内でテクノ監視による権威主義国家の構築を推進していることで知られている」と説明したバルディング博士とコンサルタント会社のロバート・ポッター(Robert Potter)創設者は、「情報収集と影響力行使を目的として諸外国の個人や機関を監視する」ために中国がデータを収集しているという「直接的証拠」が得られたのは今回が初めてである。

ニュース報道によると、同記録にはボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相やナレンドラ・モディ(Narendra Modi)印首相といった著名な国家首脳とその家族、および著名人、犯罪者、一般市民に関する情報が含まれている。

バルディング博士はオーストラリア放送協会に対して、「中国が国内的にも国際的にも大規模な監視国家構築に取り組んでいることは間違いない」と語っている。

今日、多くの諸国が情報や市民のプライバシーを保護するための取り組みを強化している。インドは最近、TikTokを含め、中国資金によるモバイルアプリを175本以上禁止した。米国政府は中国共産党などの悪質な行為者から機密情報を保護することを目的として、2020年8月に「クリーンネットワーク」プログラムを立ち上げている。米国国務省の発表によると、30を超える国や地域が同プログラムに参加し、信頼性の高いベンダーをネットワークに使用することを誓約している。

同国務省は、「中国共産党による監視国家や他の悪質な組織に対するデータ保護対策に取り組む傾向は高まっている。米国は世界の同盟・提携諸国の政府や業界に、この流れに乗った同プログラムへの参加を呼びかけている」と話している。

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