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国防改革により防衛輸出国トップ10に躍り出た韓国

フェリックス・キム(Felix Kim)

「国防改革2.0」による透明性、専門知識、開発の改善を目指す取り組みが功を奏し、韓国が兵器輸出シェア第10位に食い込んだことで、同国は主要防衛装備輸出国になるという目標達成にまた一歩近づいた。

韓国の徐旭(Suh Wook)国防部長官は、「改革により挑戦的かつ革新的なR&D[研究開発]、輸出に焦点を当てた産業構造、信頼性の高い防衛事業」が達成されたとして、「本格的な実施」が開始されてから18ヵ月間を経た同国防改革の功績に言及した。2020年9月28日に韓国国防部(MND)が仮想形式で主催した国防改革2.0と第四次産業革命スマート防衛イノベーション(Fourth Industrial Revolution Smart Defense Innovation)の検討会議で、徐国防部長官が上記のように発言している。

韓国の環太平洋戦略研究所(Pacific Rim Institute for Strategic Studies)上級研究員の金在烨(Kim Jae Yeop)博士はFORUMに対して、韓国国防部は汚職と贈賄を取り締まり、防衛装備品の購買プロセスの透明性を向上させることに成功したと述べている。

金博士はまた、同国防部は防衛政策の策定における民間人の役割を拡大し、「現役軍将校への依存度を削減した」と付け加えている。これにより防衛産業の発展を主導する上での政府側の専門知識が強化された。

金博士の説明によると、「主要防衛技術および関連する材料と部品の国内での開発能力が強化されるように」業界を導くことで、同国防部は「防衛産業の競争力を強化し、自国の脆弱性と外国技術への依存度を削減している」。

こうした改革により、無人車両、人工知能、ビッグデータソフトウェアなどの技術に注力する中小企業を巻き込むことで、コングロマリットへの依存を削減したと、同博士は話している。

こうした協調的な取り組みにより、韓国は2015年から5年連続で世界第10位の防衛輸出国としての地位を維持してきた。インド、インドネシア、フィリピン、タイといった輸出先国が存在するインド太平洋地域が主要市場となっているが、韓国はエストニア、フィンランド、ノルウェーなどの欧州にも輸出している。

同博士は、「中国とロシアからの脅威に直面しているこうした諸国は、経済的な価格と短い期間で技術的に実証された兵器システムを入手する必要がある。そのため韓国製の戦闘艦と自走砲はこうした諸国に人気がある」と説明している。

インド太平洋諸国に韓国が防衛装備品を輸出することで、同地域の諸国は中国の防衛供給業者に頼る必要がなくなり、中国政府がもたらす脅威を阻止できるようになることから、同地域で存在感の強化を図る中国政府にとってはこの状況が二重苦となる。

オンライン雑誌「ディフェンス・ニュース(Defense News」が報じたところでは、過去10年間で最も注目に値する韓国の防衛輸出装備品として、ハンファテックウィン社製造のK9自走榴弾砲(愛称:サンダー「雷鳴」)とKAIT-50(愛称:ゴールデンイーグル)型の練習機と軽攻撃機(写真参照)が挙げられる。

フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者。

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