労働党創建75周年を祝う北朝鮮

壊滅的な洪水、国際制裁、2019新型コロナウイルス急性呼吸器疾患(COVID-19)パンデミック(世界的大流行)は、労働党創建75周年を控えた北朝鮮が現在直面している課題のほんの一部に過ぎない。
こうした問題が発生しているにも関わらず、朝鮮労働党(WPK)創建記念日まで2週間を切った9月下旬、北朝鮮政府を代表する金星(Kim Song)国連大使は国連総会の一般討論演説で、北朝鮮が「安全で安定した状態にある」と語った。ロイター通信が報じたところでは、金国連大使はまた、同政権が「自衛を目的とした信頼性の高い効果的な戦争抑止態勢」を確立し、経済発展に注力していると述べている。
同通信社によると、同国連大使は弾道ミサイル計画の報いとして課された国際制裁により自国が厳しい状況に陥っていることを明らかに認識しながら、「国家と国民の安全を保護するという信頼性の高い保証の下、現在、DPRK(朝鮮民主主義人民共和国)は経済建設に全力を注いでいる。経済建設のために良好な外交環境が必要なのは事実である」と認めたものの、「しかしどれほど輝かしい変革を願っても、そのためにこれまで命をかけて守ってきた我々の尊厳を売り渡すつもりはない。これが北朝鮮の不動の姿勢である」と述べている。
北朝鮮を専門に扱うシンクタンクの38ノースが分析した衛星画像により、新型コロナウイルスの規制下であるにも関わらず、北朝鮮平壌近郊の美林(Mirim)の訓練場に軍隊と車両が集合していることが明らかになった。38ノースの報告によると、朝鮮労働党創建記念に向けて軍隊が大規模な軍事パレードの練習を実施していると推測される。
1945年10月10日に発足した朝鮮労働党により、その指導者であった金日成(Kim Il-sung)が権力の統合に成功し、最終的には今日孫の金正恩(Kim Jong-un)最高指導者率いる政権まで続いてきた王朝が誕生した。(写真:2020年9月、北朝鮮の故最高指導者、金日成(Kim Il-sung)(左)と金正日(Kim Jong-il)の銅像の前に集まって平壌で建国記念日を祝う人々)
トロイ大学のソウル分校で国際関係学教授を務めるダン・ピンクストン(Dan Pinkston)博士は、ドイツ国営の国際放送事業体であるドイチェ・ヴェレ(DW)に対して、「こうした記念日は象徴主義的な祝い事であるため、北朝鮮政府の幹部にとっては非常に重要である」とし、「ロケット砲、無人航空機(UAV)、誘導ミサイルなど、北朝鮮が多くの新兵器システムの開発や他のシステムの改良に取り組んでいることは分かっており、今回パレードでこうした兵器を披露するか否かは政治的判断となるが、同国は歴史的に軍事パレードで兵器を公開してきた」と説明している。
この秘密主義国家の内部動向を推測するには、多くの場合、諸国やアナリスト等は衛星画像や他の情報に依存せざるを得ない。対外的には新型コロナウイルス感染者皆無の発表を続けている北朝鮮は、米国からのウイルス関連支援の受け入れを拒否している。こうした状況下でも、朝鮮半島の非核化に取り組む米国と韓国は、北朝鮮政権が受け入れる意思がある場合はウイルス関連支援を提供するという姿勢を崩していない。
聯合ニュース(Yonhap News Agency)が伝えたところでは、2020年9月下旬、米国のスティーブン・ビーガン(Stephen Biegun)国務副長官は記者団に対して、韓国を正式名称の「大韓民国」と表現し、「朝鮮半島の永続的な平和、非核化、すべての韓国・朝鮮人とっての明るい未来の実現および良好な米朝関係の常態の確立に向けて、米国と大韓民国は引き続き外交に専念している」と述べている。
以前に北朝鮮政策特別代表を務めた経験のあるビーガン国務副長官は、非核化と平和体制の確立を目指す共同の取り組みについて韓国外交部の李度勲(Lee Do-hoon)朝鮮半島平和交渉本部長とソウルで会談した際に北朝鮮について言及している。
聯合ニュースによると、ビーガン国務副長官は、「米国と韓国だけでこれを実現することはできない。北朝鮮の関与が必要があり、同国が納得したときに率直に協議できるように米韓は門戸を開いておく必要がある」と話している。