中国国営企業とその汚職行為のあぶり出し

中国国営企業とその汚職行為のあぶり出し

2020年9月中旬、カンボジアのダラ・サコールプロジェクトの建設に関連した保護対象区域の強制押収、脅迫行為、破壊を伴う汚職について中華人民共和国(中国)国営の天津連合開発集団(UDG/Tianjin Union Development Group)に制裁を課すと米国財務省が発表した。

今回の制裁により、米国内のUDGのすべての財産と利益が凍結され、米国市民がUDGと取引することが禁止される。今回、米国財務省は人権侵害と構造汚職の加害者を対象とするグローバル・マグニツキー人権問責法に基づき発布された大統領令13818に従って制裁措置を実施した。

政府が市民を適切に保護する能力の喪失、社会の法的、道徳的、倫理的構造の侵食、国際犯罪の促進に繋がる汚職は世界的な問題である。UDGへの制裁措置は特にインド太平洋地域における腐敗の主な原因である中国国営企業(SOE)のネットワークを明らかにするものとなった。中国政府が推進する巨大な一帯一路(OBOR)プロジェクトや他の国際的な投資を多くの中国国営企業が先導しているが、その不審な商慣行と透明性の欠如に対しては絶え間なく批判の声が上がっている。異常なコスト上昇や贈収賄といった詐欺・汚職行為に起因して、世界銀行や他の多国間開発銀行は多くの中国企業を除外している。

国際的な活動歴が全くない不明瞭な中国国営企業である「UDG」はこうした企業の代表的な見本である。

2008年、カンボジア政府は公開入札なしで、ダラ・サコールの4万ヘクタール超の土地についてUDGと99年賃貸契約を締結した。これはカンボジアの法律で譲渡が許可されている規模の3倍の広さである。3,800億円相当(38億米ドル相当)のこの賃貸地は、国王令によってのみ譲渡できる自然保護区のボタム・サコール国立公園にまで広がっている。

UDGはダミー会社を数社設立することで、こうした制限を回避した。各社はカンボジア所有会社として登録し、許可範囲内で隣接する土地区画を受け取るという仕組みである。UDGはまた、10年間の賃貸料支払免除も受けている。(写真:中国国営企業のUDGが開発したカンボジア・ココン州ボタム・サコールの空港建設現場。2018年5月撮影)

このように中国が投資を餌として外国に影響力を拡大できるのは、多くの場合、中国国営企業との関係を汚職慣行の維持と正当化の絶好の機会と見なす役人が投資先の国に存在するためである。UDGのダラ・サコールプロジェクトの場合は、カンボジア王国軍のクン・キム(Kun Kim)上級大将が自国軍隊を使用して強制立ち退きを実施し、村民等に対して脅迫行為を働いた。これには問題の土地における農業の禁止、家屋の焼き討ち、村民の移動の制限が含まれる。

これには国際的な非難が集まり、住民の財産破壊の中止を求める指令がカンボジア閣僚評議会から出されたにも関わらず、UDGの活動は免責され続けただけでなく、キム大将はその献身の報酬としてUDGから多大な経済的利益を受け取った。2019年12月に米国財務省から制裁対象とされた同大将は、とりわけ不法行為から得た利益を共有しなかったという容疑などの理由に基づいてその地位を追われ、カンボジア空軍参謀長がこれを継承した。

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