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核兵器保有数を増やし続ける中国に軍縮協議への参加を要求する米国

FORUMスタッフ

中国の核兵器増加に対する米国の懸念が高まる中、米露間で発効した核兵器軍縮条約の期限が切れるまで残り6ヵ月となったことで、両国間で延長に関する協議が続けられている。

2010年に米国とロシアが署名し、2011年に発効した新戦略兵器削減条約(新START)は、冷戦時代の元敵対国の米露両国が保有する戦略的核弾頭、ミサイル、発射装置、爆撃機の数を規定するものである。同条約は2021年2月に期限切れとなるが、最大5年の延長が可能と定められている。

2020年7月23日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領とウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領は電話会談で軍縮協議を実施した。

ホワイトハウスのジャッド・ディア(Judd Deere)報道官は、「トランプ大統領は費用のかかる米中露の三国間兵器競争を回避するという自身の希望を繰り返し伝え、オーストリアのウィーンで開催される予定の軍縮協議で進展が見られることを楽しみにしている」とツイートしている。

米国政府は中国に対して新戦略兵器削減条約の後継条約に関する協議への参加を呼びかけているが、今回の電話会談が実施されたのは、米国防総省特別委員会のマーシャル・ビリングズリー大統領特使(軍備管理担当)が今後も中国の参加を要請すると発表した1ヵ月後のことである。米国当局は中国政権が秘密裏かつ急速に核兵器を拡大していると指摘している。(写真:北京の軍事パレードで披露された中国の核弾頭搭載可能な大陸間弾道ミサイル「DF-41」)

7月23日、マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は、「中国共産党は数百に上る核弾頭を保有している」とし、「これは深刻な世界的脅威であり、合意点、つまり世界にとって真に悪い事態が発生するリスクを軽減するための共通の理解を見つけられる範囲で模索することに努めるべきであり、これには合意と検証が必要となる」と話している。

新戦略兵器削減条約では大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、重爆撃機に搭載する核弾頭の保有数は両国共に1,550発に制限されている。非営利機関の軍備管理協会(ACA)によると、航空機には通常複数の弾頭を搭載できるが、各爆撃機はまとめて弾頭1発として数えられる。

同二国間条約では長距離兵器自体の数も規定されており、大陸間弾道ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイル、重爆撃機の配備数は両国共に700基、未配備分を含め大陸間弾道ミサイル発射装置、潜水艦発射弾道ミサイル発射装置、重爆撃機の保有数は両国共に800基とされている。

中国当局は米国が核兵器の数を中国の水準まで減らす用意があるなら米露の軍縮協議に参加すると述べている。一方、ロシアの外交官等は多国間交渉として、フランスや英国などの他の核保有国に対して参加を求めている。

ストックホルム国際平和研究所が2020年6月に発表した報告書によると、米国は5,800発、ロシアは6,375発の弾頭を保有している。配備済み弾頭および保管中または解体待ちの未配備の弾頭を含めた両国の弾頭の合計は、世界の核保有国9ヵ国が保有する弾頭数合計の90%を占めている。

ビリングズリー大統領特使はまた、米露間の唯一有効な核兵器協定である新戦略兵器削減条約で戦略兵器を規定するだけでなく、すべての核兵器に制限を課す新たな条約の考案を呼びかけている。

以前は1987年に米ソが調印した中距離核戦力全廃条約(INF条約)が存在していたが、ロシアが巡航ミサイルを開発・展開して繰り返し条約違反を犯したとして米国が同二国間条約の破棄を宣言したことで、これは2019年8月に失効した。ロシアは条約違反を否定している。

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