ヘッドライン

平和維持活動を優先する日本自衛隊

フェリックス・キム(Felix Kim

2020年7月に日本防衛省が発表した防衛白書には、日本自衛隊(JSDF)は平和維持活動(PKO)に関する訓練や災害救援活動、また他の人道的活動に従事することで、国際平和協力活動を引き続き優先すると記されている。

防衛省は2007年、国際平和協力活動を日本の防衛や公共秩序の維持といった任務と並ぶ自衛隊の本来任務に位置付けた。日本は中東やアフリカなどの要所への隊員や専門家の派遣、アフリカとインド太平洋の地元の軍人技術者を訓練することを目的とした自衛隊員の派遣、インド太平洋諸国の国連平和維持軍の訓練を実施し、世界的な人道支援・災害救援(HADR)活動にも従事している。

防衛白書には、「防衛省・自衛隊は紛争・テロなどの根本原因の解決などのための開発協力を含む外交活動とも連携しつつ、国際平和協力活動などに積極的に取り組んでいる」と記されている。

1992年から2017年にかけて、防衛省は国連平和維持活動の一環として、電気技師、軍事監視員、工学部隊・輸送部隊、隊員、司令部要員をアフリカ、インド太平洋地域、ラテンアメリカ、中東の紛争地帯に派遣する自衛隊海外派遣を実施していた。国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に派遣されていた自衛隊の最後の第4次隊が帰国したのは2017年5月のことである。部隊活動が収束した後も司令部要員派遣は継続され 自衛隊将校4人が顧問として南スーダンに留まった。

国際戦略研究所(IISS)で日本の防衛・安保政策の分析・発信を行う越野結花研究員はFORUMに対して、「PKO[平和維持活動]への参加は、自衛隊が訓練や演習以外で運用経験を得ることができる数少ない機会の1つである」とし、「また、これにより現地の民間人や他国の参加軍隊との交流を通じて自衛隊は国際的な体験を得ることができる」と述べている。

近年、自衛隊は国連三角パートナーシップ・プロジェクト(UNTPP)(旧「国連PKO支援部隊早期展開プロジェクト(RDEC)」)を通じて現地で、また東京に所在する防衛省統合幕僚学校・国際平和協力センター(JPC)を利用して本国で他諸国の国際平和維持軍を訓練するなど、国連平和維持活動への貢献方法を移行している。

防衛白書によると、国連三角パートナーシップ・プロジェクトは日本が拠出した資金を基に、国連活動支援局が重機の調達や工兵要員への訓練を実施するものとして始動したプロジェクトであり、同白書には「(前略)延べ164名の陸上自衛官をアフリカに派遣し、9回の訓練をアフリカの8ヵ国277名の要員に対して実施してきている」と記されている。(写真:2019年、ケニアの工兵要員に訓練を提供するために現地に赴く準備を整える自衛官等)

日本外務省が発表したところでは、2018年以降、インド太平洋諸国の工兵要員に重機操作の訓練を提供することを目的として、39人の自衛隊員が海外派遣されている。直近では、2020年3月にベトナムで航空救難セミナーが実施された。

国際平和協力センターは外国軍隊の将校にコースを提供し、海外の平和維持センターでの訓練コースにはその研究者を派遣している。

国際的な人道支援・災害救援活動に対する日本の取り組みを強調するため、同白書には以下2件の最近の活動が取り上げられている。

2019年11月には大雨により大規模な洪水被害が発生したジブチ共和国政府からの要請により、また2020年1月から2月にかけては大規模な森林火災が続いていたオーストラリア政府からの要請により、防衛省は自衛隊を派遣して国際緊急援助活動を実施した。

フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Back to top button