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仏英がファーウェイ社の5Gネットワーク機器を禁止

FORUMスタッフ

オーストラリア、日本、ニュージーランド、米国など、中華人民共和国(中国)の大手電気通信会社の機器を禁止または段階的に廃止することで、自国のデジタルネットワーク主権の保護に乗り出す国が増えているが、今回フランスと英国がこの動向と足並みを揃えた。

ロイター通信によると、2020年7月中旬、英国はファーウェイ(Huawei Technologies Co. Ltd.)社を同国の5Gネットワークから排除する方針を発表した。これにより同国のワイヤレス企業はすでにインフラで使用されているファーウェイ社製の機器を2027年までに完全に撤去しなければならなくなった。

2020年末からは、英国企業はファーウェイ社から5G機器を購入することも禁止される。

フォーブス誌が報じたところでは、議会において英国のオリバー・ダウデン(Oliver Dowden)デジタル・文化・メディア・スポーツ相が、「これは簡単に決断できることではなかったが、現在だけでなく実際のところ長期的にも英国の電気通信ネットワークおよび当国の安保と経済にとって正しい選択となる」と述べている。

ロイター通信が伝えたところでは、一方フランス当局はファーウェイ社から5G機器の購入を計画している電気通信会社に対して、当該装置ライセンスの有効期限が切れた場合は更新しないとしている。フランス政府は同方針を正式に発表したわけではないが、同国の国家情報システムセキュリティ庁(ANSSI)は、移行を回避するためにファーウェイ社の機器を使用しないよう同国企業に要請したと述べている。

通信事業者はフランスのさまざまな地域を対象とする数十のライセンスを申請する必要がある。ロイター通信によると、ファーウェイ社の機器を扱う通信事業者に付与される大部分のライセンス期間は3年から5年間であるのに対し、欧州の競合会社のエリクソン(Telefonaktiebolaget LM Ericsson)社とノキア(Nokia Corporation)社の製品を扱う企業の大半には8年間のライセンスが付与されている。匿名筋は同紙に対して、こうした制限を課すことで、仏政府は中国電気通信会社の製品を2028年までに漸次排除する意向であると述べている。

5Gネットワーク展開におけるファーウェイ社の関与は何ヵ月にもわたり物議を醸してきた。米国当局が強調するところでは、中国では中国企業が政府の情報収集活動に参加することを要求する法律が制定されている。中国共産党(CCP)は中国人民解放軍を世界で最も技術的に進んだ軍隊に改革することを目指す習近平(Xi Jinping)主席の戦略的構想「軍民融合」の目標を掲げているが、同法はこれを支持するものである。監視やインターネット制御、また情報検閲を実施する「デジタル権威主義」を中国政府が追求していると指摘する米国上院報告書が7月21日に発表されたが、これが議論を煽る結果となった。

同報告書には、中国が膨大な量のデータを収集し、人工知能やバイオメトリクスといった技術を駆使して国民を追跡し、情報を管理していると記されている。中国の検閲や監視の慣行の感化を受けること、および国家の重要データが中国により搾取される可能性を警戒した米国は、これまで同盟・提携諸国に対してファーウェイ社の排除を要請してきた。

監視やスパイ活動の懸念が存在しても、依然として5Gは民間・軍事用途で大きな期待が寄せられている通信システムである。この第5世代移動通信システムにより、4Gの最大100倍高速なデジタルセルラーネットワークが実現し、スマートフォンやコンピュータタブレットなどのインターネット接続デバイスが著しく高いレベルで動作するようになる。

米国防長官の諮問委員会である国防イノベーション委員会が2019年4月に発表した報告書によると、5Gで複数のシステムをより広範なネットワークに繋いでリアルタイムで戦域情報を共有することで意思決定が強化されるなど、5Gは軍事用途でもメリットがある。

同技術により、共通の戦域全体像を掴むことで状況把握が向上するだけでなく、部隊、場所、領域間の通信も改善すると考えられている。

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