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インドネシアの安保計画の中核を成す大規模農場開拓計画

トム・アブケ(Tom Abke

Kemhanとして知られるインドネシア国防省が発表したところでは、特に2019新型コロナウイルス急性呼吸器疾患(COVID-19)パンデミックおよび同危機によりもたらされたサプライチェーンの寸断が要因となり、食料安保が同国の国家安保上の問題に発展している。

同省はカリマンタン(ボルネオ島のインドネシア領地域)の中部カリマンタン州を皮切りに、全国的な食料栽培所または大規模農場の開発に向けた共同の取り組みを主導している。

インドネシア国防省のニュースリリースによると、2020年7月1日、最初の大規模農場開発地に指定された土地の査定を実施するため、同国のシャクティ・ワフユ・トランゴノ(Sakti Wahyu Trenggono)国防副相がさまざまな政府省庁や機関の上級職員で構成される代表団を率いて同地を訪問した。

同省は公共事業・国民住宅省、農業省、環境・林業省を含む他の省庁および国営企業と共同でイニシアチブに取り組んでいる。

空軍ヘリコプターで中部カリマンタン州に位置する農場2軒の視察に訪れた代表団は、収穫間際の稲が実るプラン・ピサウ県の水田をまず視察している(写真参照)。次に訪問した東バリト県では、トウモロコシと栄養価の高い根菜のキャッサバを栽培している地域を見学している。同国防省の報告によると、米、トウモロコシ、キャッサバはインドネシアの食料安保を支える重要な野菜である。

同国では2020年6月23日、トランゴノ国防副相が議長を務め、食用には適さないミズゴケで知られる中部カリマンタン州の土地開拓に向けた省間共同の取り組みについて協議する会議が開催されたが、今回の視察は同会議により推進されたものである。

ニュースリリースによると、同国防副相は、「戦争の歴史から得た教訓に従えば、武器があっても食料備蓄力がなければ無秩序に陥る。食糧を確保し、食用作物を栽培できる永久的な土地を所有する必要がある」と述べている。

サプライチェーンの寸断により輸入が制限されたことを指摘した同国防省は、新型コロナウイルス感染症パンデミックにより同国が被った経済的損害と食料安保の問題を強調している。

ロイター通信が報じたところでは、新型コロナウイルス感染症の流行初期に当たる2020年2月、インドネシア政府は感染の恐れを理由に中国からの食品・飲料輸入すべてを禁止することを一度は検討したものの、結局のところ当局は家畜のみの輸入禁止を実施した。ジャカルタに拠点を置くMUCコンサルティング・グループ(MUC Consulting Group)によると、2020年第1四半期の中国からインドネシアへの非燃料輸入は50%近く減少し、現在も2019年に比べて低い数値が続いている。

同国防副相の説明によると、今回の食料イニシアチブは、カリマンタン島の開拓により同国の食糧安保の強化を望むジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領の指示によるものである。インドネシアの飢餓状況は2019年の世界飢餓指数で「緊急警告レベルの飢えあり」の状態に位置付けられている。

中部カリマンタン州政府が管理する同プロジェクトには、学生や共同体が参加する予定である。

同国ではカリマンタン島の東カリマンタン州への首都移転計画が策定されており、今回指定された大規模農場はこの新しい首都から200キロほどしか離れていない。

トム・アブケは、シンガポール発信のFORUM寄稿者。

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