対 中国 影響工作

対 中国 影響工作

長年にわたる中国との抗争で台湾リード

ヴィンセント・W・F・チェン(Vincent W.F. Chen)中将 /台湾国家安全局(NSB)

台湾に対する中華人民共和国 (中国)の影響工作を説明し、それを地域的・世界的な戦略的環境という状況に含めて考察する記事の執筆依頼をいただいた。これに応じて、まず中国共産党 (CCP)の性質に関する台湾側の見解を提供し、「逃亡犯条例」改正案が引き金となって発生した香港の民主化運動に対する中国共産党の影響工作という観点から香港の現状に関するいくつかの側面に言及する。さらに、全体的な発展状況に対する台湾側の見方に焦点を当ててみたい。中国の影響力に対抗してきた台湾側の経験に基づいて言えば、その影響工作は差し迫った脅威に進化している。台湾の根底にある最も強力な信念は、この独特な台湾の地位が消滅してはならないということである。

自由民主主義、人権、市場経済、法治に基づく世界秩序を中国共産党が崩しつつあるこの時代に、台湾はその世界秩序の前線に立ち、真っ只中で中国の思惑と闘っている。台湾はロシアの影響力に直面しているウクライナやバルト三国と同様の状況にあると言えるが、意を決して台湾の現状の崩壊を企む史上最も強力な政党国家である中国に直面しているという点で台湾は特有である。この自由民主主義と全体主義的独裁政治の闘争の中核にある問題は、中国共産党のシャープパワー、認知戦、影響・洗脳工作である。

1912 年に臨時政府として成立して以来、特に1949 年以降、台湾は民主的啓蒙の歴史を歩んできた。中国共産党による中国統制は 1979 年に鄧小平(Deng Xiaoping)が提起した「4 つの基本原則」に基づいており、習近平(Xi Jinping)中国主席はこれにいくつかの近代技術を起用して、全体主義をさらに推進した。

中国のジャーナリストがその職を維持するためには、政府が構築したアプリで習近平主席の思想を学習して、試験に合格する必要がある。同アプリにより、中国共産党員も監視・評価されている。
ロイター

現在の香港の状況は、政治的自由や市民的自由を損なうだけでなく、政党国家の包括的な権限で個々の人権を支配しようとする中国政府の願望を顕著に表す事例である。

「知識の兵器化」として定義される認知戦の観点から見ると、中国と台湾の双方で標準中国語(マンダリン)が共通言語となっているため、台湾には 独特の脆弱性が存在する。 

中央集権化された政策で自由裁量により際限なく資源を利用できる中国政府は、中国語を話す人々を容易に独占または圧倒し、潜在意識に働きかけることで認知操作するという中国の目標を達成することができる。

習主席によるデジタルレーニン主義は世界に拡大している。習主席は帝国時代の政府を真似て中国を統治している。同主席の場合は、高度な監視技術でそれを強化したというだけの話である。ノルウェーの社会学者かつ政治学者であるシュタイン・リンゲン(Stein Ringen)博士は、この組み合わせを政党国家による「完璧な独裁」と表現している。

習政権は現在、習主席への忠誠度を評価する定期的な試験を 8,000 万人の党員に課している。2019 年 9 月以降、ジャーナリストがその職を維持するためには、赤を基調にデザインされた「学習強国(学構强国/Study [Xi] Strong Country)」という名称のスマートフォンアプリで学習して、試験に合格する必要がある。2020 年に導入が完了すると考えられる中国の「社会信用システム」は、中国国民全体に対するジョージ・オーウェル式の扱いを極めるものである。

マルクス・レーニン主義の経済決定論の影響も受けている中国共産党には、世界の現代的生産手段を適切に活用して党の寿命を永続させるという意図がある。1980 年代に鄧小平が対外開放政策を推進して以来、中国共産党は国家資本主義の一途を辿りながら、市場経済の規則を無視して富を蓄積してきた。この方向性に沿って、
習主席は一帯一路(OBOR)政策や「中国標準 2035 」戦略などの長期的戦略という策略を通じて一連の既成事実を作り上げることを狙ってきた。

習主席はまた、南シナ海に要塞を構築しようとしているだけでなく、徐々に空中領域やサイバー領域、また北極圏の占有を試み、中国が優先する技術規格をほぼ強制的に国際社会に採用させようとしている。同主席の指導の下、中国は法治に基づく国際秩序を省みず、戦争回避を重視する西側諸国の政策を紛争解決手段としてうまく利用する。

2019 年 6 月、台北に所在する立法院の前で「台湾は香港を支援」、
 「逃亡犯条例反対」と書かれたプラカードを掲げる香港の学生と台湾の支持者等。「逃亡犯条例」改正案を発端として香港で発生した反政府抗議活動は台湾にも波及した。AP 通信

シンクタンクや社会組織への投資および孔子学院などの機関による他諸国の権力者層への働きかけを通じて、中国共産党は諸外国への影響力を拡大して世界の親中世論を喚起している。同国が国際的な宣伝戦略を開始したのは 2009 年のことである。現在、中国の国営放送局「中国中央電視台(CCTV)」は 5 つの異なる言語で少なくとも 170 ヵ国で放映されている。一方、ファーウェイ(Huawei Technologies Co. Ltd.)社、ZTE(ZTE Corporation)社、中国経済日報(CE)社、IEC 社、ハイビジョン(High Vision)社などの国営技術企業は、監視機器をアルゼンチン、ビルマ、カンボジア、モロッコ、フィリピン、南アフリカ、スリランカ、アラブ首長国連邦などに輸出しており、中でもファーウェイ社は同社の公共安全プロジェクトにより 100ヵ国以上の都市にそのソリューションを導入している。

中国共産党の宣伝攻勢はラテンアメリカ、東南アジア、アフリカでより高い効果を発しており、少なくとも今のところは西側諸国における影響は比較的小さい。米中貿易戦争時には、中国共産党はその中核的な優位性、米国有権者の操作、中国の国家主義を手段として認知戦を開始している。2019 年 9 月の最も新しい宣伝工作のテレビ番組では、中国の戦略的忍耐と米国の経済成長低迷が強調された。

中国共産党のインフラと認識向上活動においては、国連も多角的な主要な足場の1つに含まれる。中国共産党はその一帯一路政策目標を国連の持続可能な開発目標に局部的に組み込み、内容を国連のウェブサイトで公開している。国際電気通信連合(ITU)と国際民間航空機関(ICAO)の代表としてそれぞれ再選された趙厚麟(Houlin Zhao)事務総局長と柳芳(Fang Liu)博士は両者共に中国籍である。2019 年、中国共産党はハイブリッド戦を通じて、自国民を国連食糧農業機関 (FAO)の事務局長の地位に据えることに成功した。某情報によると、中国は対抗馬の出馬を断念させるために、アフリカの某国が中国に負っていた数千万ドルの借金を帳消しにした疑いがある。また、2019 年 6 月の事務局長投票前、中国共産党はフランスの候補者の通信を妨害している。これにより、フランス政府は暗号化システムを設置することになった。投票日当日も中国共産党は抜かりなく、親中の有権者に交通手段を提供した。こうした過程を経て、中国人候補者が第 1 回目で過半数を制した。

対香港活動

では今度は、香港で発生している抗議行動に対する中国共産党の認知戦について考察してみよう。 「逃亡犯条例」改正案が発端となった香港の対中活動は、全体的に地球規模の影響と台湾海峡両岸関係 (両岸関係)に関する含意を伴う勇壮な闘いである。長期にわたり、中国共産党は全国人民代表大会(全人代)の代表に抜擢する、また保護の下に報道機関を占有するなどの手段を用いて香港事業界の大物に全国的な名声を与える代償として、同党への政治的支援を求めてきた。相手が要求を受け入れない場合は、広告を取り消すだけでなく、暴力団絡みの暴力という強行手段に訴える。

香港の報道・出版社の約 50%は中央政府駐香港連絡弁公室により管理されている。この繋がりを利用して、中国共産党は両岸関係と米台関係を操作することで中国で「平和に向けた変革」が発生しないように、香港の抗議運動発生の初期段階から外国の関与を指摘していた。2019 年 9 月 27 日、デモ参加者等が習主席の死を求める内容が書かれた大きな横断幕を掲げたことは注目に値する。香港の抗議活動に関連する米国議会の動きを中国共産党は国家安保上の脅威と見なしている。

2019 年から続いている香港民主化デモにより、中国共産党の認知戦の弱点が露呈した。香港の抗議活動は柔軟性が高く、強いて言えば流体のように滑脱であることから、中国側の一部の観測筋は、米軍が通信ブロードバンドを用い裏で香港デモ参加者等を操っているのではないかという疑いを抱いていた。某情報によると、香港デモは、金融、貿易、法務、報道、およびイデオロギーの側面に打撃を与える不正規戦の様相を呈している。2019 年 8 月、香港で発行されている中国語新聞の東方日報などの親中報道機関は、香港に関して中国共産党が流した情報と宣伝内容は両方共に単なるおうむ返しでしかなかったことを認めている。中国共産党によるおうむ返しや中傷活動を見れば、この信憑性が高まる。

2019 年 11 月 17 日、再出馬を表明した台湾の蔡英文総統を応援する支持者等 。 AP 通信社

対台湾活動

中国共産党による台湾への影響工作に目を向けてみよう。いわゆる「失われた領土の再獲得」を果たさずして中国の回春は起こり得ないと習主席は明言している。同主席は対岸を併合するという「台湾問題」を2049 年までに解決する目論見である。台湾に対する 中国の影響工作は、中国共産党のデジタルレーニン主義 で欠くことのできない重要課題となっている。これは同党のイデオロギーと国家安保という屁理屈により 概念化することができる。2019 年 9 月に開催された中国 共産党中央党校での演説で習主席が香港での闘争に関する内容を取り上げたことで、中国共産党がデモ鎮圧を優先していることが測り知れる。同主席は演説の中で、党の存続が最重要事項であり、中核的な必須課題であると述べている。この必須課題は中国共産党による 政党国家と世界諸国との間に存在する根本的な相違を表すものである。

今日、2019 年 1 月に習主席が強調した中国人民解放軍(PLA)による軍事的強制、対外的な台湾の隔離、浸透工作と(政治体制などの)転覆、中国共産党中央統一戦線工作部(中央統戦部)との連携、サイバー活動と偽情報の拡大という 5 項目に基づき、中国共産党は台湾政策を実施している。こうした活動はすべて、台湾の洗脳を実現することを目的とした中国の宣伝工作の枠組に組み込まれている。2018 年、中国共産党は比較的新しい国ぐるみの台湾排除活動を開始した。これは、特に民間部門や非政府組織で台湾の主権を根こそぎ奪うことを目的とした「ネームフェア (名號戰)」と呼ばれる作戦である。

軍事面では、2019 年に中国人民解放軍の台湾に対する短期的威圧が目に見えて明らかとなった。聯合報系の中国海外新聞である世界日報が2019 年 2 月に報じたところでは、2 人の中国人学者が2019 年 1 月にカリフォルニアを訪れて元米国情報当局者と会談し、2022 年までの習主席による強力な統一計画を伝えた。その内容によると、台湾に介入する米軍を抑圧することを目的として、ロシア、イラン、北朝鮮と協力して中東と北東アジアの情勢を調整するというのが同主席の意図である。中米貿易戦争が泥沼化していた当時、この習主席の計画は根拠のないはったりと捉えられたが、2019 年が半ばに差し掛かる頃にはこれが見せかけではなかったことが判明した。6 月 20 日にロシアの Tu-95MS(ツポレフ)戦略爆撃機が初めて台湾本土を周回したのである。

2019 年 7 月 23 日には、中国人民解放軍空軍 (PLAAF)とロシアの航空機が共同で東シナ海で哨戒活動を実施した。2019 年 10 月までに、北朝鮮は短距離ミサイルと潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)実験を11回にわたり実施している。そして、2019 年 9 月にサウジアラビアの石油施設に対する攻撃が発生した後、イランが西インド洋で中国とロシアと共に合同軍事演習を実施すると発表した。中国共産党の真意は未だ不明であるが、一連の行動は一部習首相の計画に沿っている。

長期的な威圧

何十年にもわたり、中国共産党は中央統戦部との連携および台湾への浸透工作を追求してきた。中国共産党は台湾海峡を跨ぐ地方政府との完全な連絡網を構築しており、台湾の 24 社に及ぶ事業や報道機関、また半官的な代表者等が広範な繋がりを発展させている。中には公式な使命を超えた活動に従事する者もいる。少なくとも 22 の親中組織と親中政党が存在しており、その多くが組織犯罪に関係していることが確認されている。これは、人脈を地元組織や中国本土で活動する台湾の実業家、また台湾の報道機関に拡大するための手段である。

一方、中国共産党のサイバー活動が台湾にとって差し迫った脅威となっている。2010 年頃のことになるが、中国サイバー軍が台湾の医療保険データをハッキングし、台湾の人口構造に関する重要な人口統計情報を獲得した。

2016 年から 2019 年7月にかけて、中国サイバー軍は台湾の防衛、外交、対外事業、医療サービス、海上機関、消防機関を標的として 2 万 1,000 件を超える攻撃を仕掛けている。攻撃の多くは中継局を介して実施された。2019 年 1 月から 7 月にかけて、世界で発生したハッキングのうち約 300 件が中国共産党指導のハッカーによるものである。

年月をかけて台湾報道機関への影響力を培ってきた中国共産党は、2015 年以来、台湾報道機関に圧力をかけ、「両岸ジャーナリスト北京サミット(Cross-strait Media Summit)」への参加を半ば強制している。2019 年 5 月、台湾の読者や視聴者の認識を独占的に操作することを一部の目的として、同サミットは 80社に上る共産主義新聞、テレビ局、ラジオ局、ニュースウェブサイト、出版社に台湾の報道機関の幹部を混じえて開催された。

台湾の世論操作を企む中国の狙いはある程度成功しているかもしれないが、台湾の主権や国家的同一性を損なうという点では失敗した。2019 年 5 月に台湾の大陸委員会が発表した世論調査結果では、回答者の86% がいわゆる「一国二制度」に反対し、78.5% が台湾当局による自由民主主義組織の正当性を支持している。国立政治大学が発表した別の世論調査結果では、40.3%が現状維持と独立を支持しているのに対し、現状を維持して後に統一するという案を支持したのはわずか 3.7%に留まっている。

中国共産党は 1990 年代から台湾の選挙に干渉してきた。1995 年から 96 年にかけて発生した第三次台湾海峡危機は、初の総統民選を前に中国側が台湾有権者への威圧を企んだことが発端となった。2008 年中華民国選挙では、中国サイバー軍が選挙活動を行う主要政党の本部をハッキングしている。2018 年と 2020 年の選挙妨害作戦として、中国共産党は 2017 年後半、選挙の評価、親中党への資金提供、中国本土における同系統の集団の支援を担う任務部隊を複数部門の人員で構成した。この任務部隊はまた、地元のトークショーホストやウェブサイト記事の執筆者にも賄賂を渡している。

2018 年、中国人民解放軍の戦略的支援部隊である中国共産党の中央国家安全委員会(NSC)と呼ばれる組織が設立された。同組織は中国共産党中央宣伝部、サイバー戦部隊、国務院台湾事務弁公室(国台弁)、中央統戦部と連携して、台湾世論を操作する認知戦を実施する任務を負っている。中国政府はいわゆる 「セルフメディア(自媒体)」、つまり他諸国ではソーシャルメディアと呼ばれる媒体を開発した。YouTube でビデオメッセージを広め、膨大な量のインターネットポスターの掲載やボットの作成を行うことができるセルフメディアは大変なブームとなっている。これはまた、中国独自の情報技術企業と協力して、所望の課題の特徴付けや操作の評価、戦略の変更を適宜行っている。さらに、台湾の親中報道機関やネット有名人を利用して、Facebook、Twitter、Live などのソーシャルメディアで中国共産党メッセージを反響させている。中国共産党による対台湾認知戦の新型モデルまたは傾向と言えるこうした活動により、台湾側の対応がより困難となっている。

台湾国内における対中措置

では、台湾の対中政策を見てみよう。2019 年3月、台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は台湾の運命を切り開くため、中国共産党が目指す「一国二制度」にさまざまな側面から対抗するためのガイダンスを提案している。法的側面では、国家の情報活動における機密技術情報の保護および法律違反に対する罰則を強化して刑法の反逆罪の範囲と定義を拡大するなど、蔡政権は両岸の相互作用を統制する 11 件の法律と約 134 件の規制を包括的に見直し、必要な修正を加えて再定義している。

国家および中国共産党による台湾選挙への浸透工作や干渉に関して、台湾の国家安全局は情報機関を統合して、国内と中台間の闇金融取引を監視する任務部隊を結成した。地元の博打、兵器や麻薬の密輸、暴力団絡みの暴力、特定の外国人訪問者の異常な活動などが監視対象となる。台湾当局はまた、サイバーセキュリティ対策として、早期警告を実現するために国家安全会議の幹部、国家通訊伝播委員会、国家安全局を統合し、検知中継体制を整えるために国防部、警察、法務部調査局、海外の提携諸国と連携することで、鉄壁のトライアングル(台湾島が三角形であることに基づく表現)を構築した。

情報対策として、現在、一部の新聞社にはデマを排除する部門が設けられている。安保機構がこうした情報を特定し、これが適切な当局に転送されて対処される仕組みである。一般市民の意識向上を図るため、当局は民間部門と協力して、虚偽報道や偽情報に関するインターネットメディアプログラムを紹介している。 

同志による支援

前述のように、台湾はさまざまな措置を講じているが、まだやるべきことが多く残っている。台湾は志を同じくする世界の友好国、特に米国の支援を高く評価している。米国では 2018 年にアジア再保証推進法、2019 年に台湾保証法案、そして 2020 年には台北法案が可決されている。2019 年 7 月に米国国防総省が初めて発表したインド太平洋戦略報告書では、台湾は米国にとって極めて重要な提携国として位置付けられている。米国と台湾が管理する世界的な訓練・協力枠組は目覚ましい進歩を遂げており、最近では日本やスウェーデンなどの他国もこれに参加するようになった。また、イスラム国対策として米国が主導する「有志国連合」の会議にも台湾代表が参加している。 「ネームフェア」を立ち上げた中国政府を、米国政府は国際社会を「1 つの中国」原則に強制的に引き入れるものとして非難している。

最近の台湾による M1A2 エイブラムス戦車と F-16V 戦闘機の購入は、台湾国防に対する米国政府の配慮を示すものであり、特にこの同国の姿勢を台湾は高く評価している。

米国当局はまた、米国の 2018 年中間選挙に干渉するために諸国が使用した技術への対処に関する情報を台湾と共有している。2019 年 10 月下旬、台湾は英国の専門家を招聘し、偽情報に対する均衡のとれた英国のアプローチを紹介するワークショップを開催した。

中国共産党のデジタルレーニン主義の脅威が高まっていること、また中国が台湾統一に向けてより早急な対策を練っていることを考えると、将来的に台湾が自力で生き残ることがますます困難になる。米国の支援という認知的視点から、偽情報に対抗するために、台湾が志を同じくする諸国と共に、情報や関連する早期的な警告を共有できるサイバーセキュリティ地域間同盟を構築することは良策と考えられる。

この同盟の目的は言論の自由を守り、インターネット活動の規制を模索することにある。台湾は実質的に継続的な戦闘地域であることから、インド太平洋戦略の一環として、米国と台湾が偽情報対策に関する共同覚書を調印することも一案である。

中国共産党の活動と台湾の防衛経験は自由世界の貴重な参考資料として役立つはずである。さらに、台湾は自国内で経験した知識に基づく相互運用性をさらに拡大することもできる。たとえば、その手段として米国と台湾の二国間自由貿易協定、台湾の公共テレビと HBO 間の協力の強化、台湾人の CNN ヒーローズへの出演などが挙げられるが、これらはほんの数例に過ぎない。

2019 年 3 月、新時代における国家安保上の脅威に対抗すること、および台湾における将来の世代のために選択肢を維持することを自身の義務として明言した蔡総統は、両岸関係の平和的発展の鍵は中国の民主化であると主張している。同発言は台湾の独自性が中国民主化に向けた動機付けとなること、また台湾に対する中国共産党の影響工作に対抗するための重要な要素であることを示唆するものである。2019 年 12 月に国防総省を去ったランドール・シュライバー(Randy Schriver)元国防次官補は、在任中、台湾がその独特の地位を維持できるように米国が引き続き支援すると明言した。これは台湾にとって心強い支えである。

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