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スマート技術により軍事改革を推進する韓国

フェリックス・キム(Felix Kim

韓国(ROK)の大韓民国国軍と防衛産業は引き続き高度技術の限界に挑戦しながら、人的資源をより効率的に使用する「スマート部隊(先端科学技術を基盤とした軍事構造)」に国軍を改革することに取り組んでいる。最近、朝鮮半島西部に位置する瑞山空軍基地(瑞山飛行場)で韓国の鄭景斗(Jeong Kyeong-doo)国防部長官が視察したシステムの中には、「スマート」な滑走路、物流と警備用の基地ロボット、仮想飛行訓練装置などが含まれている。

ニュースリリースで「スマート部隊では指揮の決定を効果的かつ迅速に行うことができる」と述べた鄭国防部長官は、人工知能(AI)、ビッグデータ、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、モノのインターネット(IoT)などの革新技術により、これが実現すると付け加えている。複雑な環境でもこうした技術により司令官や隊員が正確かつ適時に意思決定を行うことができるようになるため、スマート部隊の場合はより小規模な部隊で作戦を遂行することが可能となる。

同国防部長官はまた、「さらに部隊管理に関しては、部隊全体の全情報をリアルタイムで監視できるようになることから、主要な資産、部隊、教育・訓練、予算管理などの部隊指令管理を高い透明性をもって合理的に実施することができる」と語っている。

2020年6月19日の新システムの視察では、鄭国防部長官に科学技術情報通信部(MSIT)の崔基永(Choi Kiyoung)長官が同行した。

航空管制に使用されるデジタル管制塔の実演から始まった視察で、デモを担当した大韓民国空軍のキム・ヒョソン(Kim Hyo-sun)大佐は、スマート管制塔により、管制担当者は夜間でも航空交通のリアルタイム3Dビューを得られることで「視覚監視の制限がなくなり」、飛行管制に関する意思決定が強化されると説明している。

両長官は次に3D合成戦場可視化システムを見学している。これはビッグデータ分析と人工知能を組み合わせて、人工衛星や無人偵察機で収集したデータから高品質の画像を生成するシステムである。画像は正確な標的の設定に使用することができる。(写真:瑞山空軍基地でKT-1飛行教育・訓練システムを視察する韓国の鄭景斗国防部長官)

両長官が次に見学したデモは、物資の積み降ろしと配送を行うロボットフォークリフトなどが含まれる自律型物流機器である。この物流機器は在庫の監視や供給品の注文を行う能力を備えている。ニュースリリースによると、自動化により時間の余裕ができた兵士等は他の任務に取り組むことができる。また、ロボットにより実現する境界監視により、基本的な警備が強化される。

KT-1飛行教育・訓練システムを見学した両長官は、仮想現実と拡張現実を使用することで、実際に飛行機を使用するよりも低い費用とリスクで、単発航空機操縦の現実的なシミュレーションを訓練生に提供できることを理解した。

鄭国防部長官が「第四次産業革命」の一部と表現した新技術は、主に韓国で開発・製造されたものである。2020年6月15日、同国防部長官は防衛産業の企業幹部等に対して、韓国国防部は「海外から購入するのではなく、地元企業からの製品調達により多くの支出を割り当てるように来年度予算を策定する」と語っている。

フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者。

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