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オーストラリアとインドが新たな防衛協定を締結

ジョセフ・ハモンド(Joseph Hammond

インドとオーストラリアが重要な防衛協定2件を締結した。これは国家と提携諸国間の防衛協力拡大の動向を示すものである。

スコット・モリソン豪首相とナレンドラ・モディ(Narendra Modi)印首相が合意した相互補給支援協定(MLSA)は、2016年にインドが米国と締結した協定に似た内容で、これにより従来の両国関係が包括的戦略提携に格上げされる。

豪国防省の報道官はFORUMに対して、「オンライン形式で開催された首脳会談で、相互補給支援協定と防衛科学技術実施協定(Defense Science and Technology Implementing Arrangement)の画期的な防衛協定2件が調印された」とし、「相互補給支援協定により一層精巧かつ高度な豪印間の軍事協力への道が開けることで、より複雑な軍事の相互運用性と地域の人道的災害対策が実現する」と述べている。 (写真:オンライン首脳会談に出席するスコット・モリソン豪首相とナレンドラ・モディ印首相)

2020年6月4日に署名された文書には、地域安保および両国に共通する懸念であるサイバーセキュリティやテロなどの他の問題に関する内容が含まれている。「自由で開かれたインド太平洋」構想の一環として、両首相は諸国に対して「海洋ごみや使い捨てプラスチック廃棄物およびIUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)の撲滅」を呼びかけた。広範な合意内容には新たな経済的・社会的協定の枠組もいくつか含まれている。

両首相は共同声明で、「共通の利益に基づき安定して繁栄する主権国家を推進する包括的な世界的・地域的制度により支えられた法治に基づく自由で開かれたインド太平洋地域構想を両国は共有している」と述べている。

両国は2007年に日米と共に「日米豪印戦略対話」として知られる4ヵ国間の会談を開催している。

米国国務省の発表によると、4ヵ国間で初の閣僚級会合が開催されたのは、ニューヨークで開かれた国連総会に合わせてマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官の主催の下で米国と他3ヵ国の閣僚が協議を持った2019年のことである。

外交政策を扱うシンクタンク「ゲートウェイ・ハウス(Gateway House)」で国際安保研究を担当するサミール・パティル(Sameer Patil)研究員は、「相互補給支援協定は豪印の安保提携の深化を反映するものである」とし、「過去数年間にわたり、中国の攻撃的な行動によりインド太平洋地域の平和と安定が脅かされているが、こうした協定は実際にはこうした事象から生まれたものと理論的に解釈できる。今回の合意によりインド海軍がオーストラリアの港湾を利用できるようになることから、これはインドにとって特に有益となる」と説明している。

インドの国家安全保障評議会事務局で文民情報アナリストとして勤めた経歴のあるパティル研究員は、今回の協定調印は最近発生した中印国境紛争とは関係がないと述べている。

同研究員は、相互補給支援協定は「今年初旬に開催が予定されていた豪印首脳会談で締結される予定であった。同会談はオーストラリアで発生した森林火災、およびその後の新型コロナウイルス感染症流行のために延期されていた」と説明している。

ジョセフ・ハモンドは、インド太平洋地域発信のFORUM寄稿者。

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