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国内産のミサイルプロジェクトにより防衛能力を強化する韓国

Felix Kim(フェリックス・キム)

大韓民国国軍は韓国(ROK)で初めて設計・開発された新型中距離地対空誘導ミサイルにより、同国の米国製システムを補完し、ミサイルと航空機に対する防衛能力の足場を固めた。

国防科学研究所(ADD)が2020年4月28日に発表したところでは、同研究所が主導する製造コンソーシアムは「KM-SAM」としても知られる「天弓1(Cheongung Block-1)」ミサイルの大韓民国空軍への引き渡し作業を完了した。同システムは米国製のパトリオットミサイルと終末高高度防衛ミサイル(THAADミサイル )システムを補完する役割を果たす。

ランド研究所の上級国際/国防研究員で韓国情勢に詳しいブルース・ベネット(Bruce Bennett)博士はFORUMに対して、「韓国が製造した防空システムとミサイル防衛能力により、明らかにコスト削減が見込める」と話している。ベネット博士はまた、「鉄鷹2(Cheolmae-2)」の性能を改良して構築された天弓1は、パトリオットミサイルの能力の一部を欠いているが、コストが低いことで韓国政府は「予算内でより多くの拠点にこれを配備」することができるとも付け加えている。

同博士の説明では、防空・ミサイル防衛能力を広範に分散することが韓国の空域防衛の鍵となる。

韓国国防部(MND)の発表によると、2017年に実施された天弓1の実験(写真参照)では、高度40キロで対象兵器を100%の精度で迎撃することに成功している。

IHSJDW(ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー)が伝えたところでは、最高速度がマッハ4.5に達する全長4.6メートルの天弓1の製造コストは12億円相当(120万米ドル)と推定されている。同ミサイルは動力源が電池の誘導弾8発を搭載するトラック発射台、交戦統制所、多機能レーダーで構成されている。

韓国国防部が2019年に発表した白書には、天弓1はパトリオットミサイル、終末高高度防衛ミサイル、長距離地対空ミサイル(L-SAM)と共に「広域多層防御」能力の一部となる。

高まる北朝鮮のミサイル脅威に備えることを目的として、韓国は2017年6月に天弓1の改良型「天弓2(Cheongung Block-2)」の生産を開始すると発表した。天弓2は高度約20キロで弾道ミサイルを迎撃するように設計されている。ベネット博士は、「天弓1はミサイル迎撃能力を備えてはいるが、主に対空使用を目的として設計されている。しかし、天弓2ではミサイル迎撃能力が強化されたと言われている」と説明している。

天弓ミサイルの開発には韓国企業が関与しており、LIG Nex1社がミサイルを、ハンファシステム(Hanwha Systems)社が多機能レーダーを製造している。

ミサイルを国内生産することで、韓国の防衛機器メーカーは「業界内で自社の知識と能力の基盤を拡大できる」と話す同博士は、韓国防衛産業はまた、比較的低い製造コストを「売り」にして、新型ミサイルを輸出することもできると付け加えている。

フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者。

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