ヘッドライン

新型潜水艦で海上防衛強化を図るオーストラリア

ヘッドライン | Apr 9, 2020:

トム・アブケ(Tom Abke

海上領域を保護して潜在的な敵を阻止するため、オーストラリアは次期潜水艦の艦級を国内で建造する計画を進めている。

新型のアタック級ディーゼル電気潜水艦は、インド太平洋「地域の中でも優れた」設計となる。同潜水艦はフランスのナバル・ グループ(Naval Group/旧DCNS)との提携により、100社を超えるオーストラリア企業が参加し、豪国内で建造される予定である。

豪国防省報道官がFORUMに語ったところでは、このアタック級潜水艦により、「重要な貿易と通信の保護、監視の実施、潜在的な敵による海洋使用の阻止」を含む豪政府の防衛戦略における「長年の優先事項」が具現化されることになる。

同潜水艦の設計はナバル・ グループ設計の原子力潜水艦「バラクーダ級潜水艦(シュフラン級原子力潜水艦)」に基づいているが、動力をディーゼルに変更して電気推進となる。政府関連文書によると、全長100メートルのアタック級潜水艦には、重魚雷、ハープーン対艦ミサイル、Mk IIIストーンフィッシュ機雷のいずれかが搭載される予定である。航続距離は3万3,000キロ、連続航海日数は最大80日と予測されている。(写真:オーストラリアのアタック級潜水艦。アーティストによるレンダリング)

同報道官は、「2035年までに、オーストラリアが最も関心を寄せるインド太平洋地域で世界の潜水艦の約半数が活動することになると考えられる」とし、「オーストラリアの国家安保にとって、永続的かつ強力な潜水艦能力が不可欠となる」と述べている。

アタック級潜水艦の主要機能として、対潜戦(ASW)、対艦兵器(ASUW)、諜報活動、監視と偵察、および特殊作戦への支援が挙げられる。

「既成の設計」ではオーストラリアの潜水艦ニーズを満たすことができないと、同報道官は強調している。したがって、アタック級は高性能センサーとステルス特性が最適化されたナバル・グループの設計に基づいて建造され、オーストラリア海軍で現用のコリンズ級潜水艦6隻に匹敵する航続距離と耐久性が備わると考えられている。コリンズ級潜水艦の1番艦が就役したのは1996年のことである。

2016年に発表された最新の豪国防白書によると、計約3兆円(約300億米ドル)の費用を投じて最終的に12隻のアタック級潜水艦を前級のコリンズ級潜水艦に置き換える予定で、2030年代半ばまでに1番艦の就役が期待されている。

豪国内建造のコリンズ級潜水艦は、世界最大の国際的な隔年軍事演習である「環太平洋合同演習(RIMPAC)」を含め、いくつかの国際軍事演習に参加している。

特に対潜戦において米軍がオーストラリアに効果的な抑止力を提供できるように、新型の潜水艦には米海軍資産との高度な相互運用性が備わっている必要があると、同国防白書には示されている。

同報道官の説明によると、豪政府の別の優先事項として、新型潜水艦を豪国内で建造することが挙げられる。

同報道官は、「海外の支援に過度に依存することなく、主権を維持することが当国における防衛資産の維持・運用能力の基盤となっている」と話している。

トム・アブケは、シンガポール発信のFORUM寄稿者。



			
		

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Back to top button