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ウイルス流行中に軍事演習を繰り返す中国人民解放軍に怒り心頭の台湾

ヘッドライン | Apr 14, 2020:

フランス通信社

中国・台湾が両国共に新型コロナウイルスのパンデミック対策に追われる状況下にあっても、なおも繰り返し台湾付近に姿を現わす中国の戦闘機や軍艦のせいで、台湾は中国人民解放軍(PLA)への怒りが収まらなくなっている。

中国人民解放軍が最近実施した複数回にわたる演習は世界的な健康危機下でも同軍が健在であることを示す狙いがあると考えられるが、これにより共和制の法治国家であるこの島国では中華民国国軍の戦闘機をスクランブル(緊急発進)させる事態が発生している。

しかし、同戦術により、台湾内では中国への非難が高まっている。

3月24日、台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は、「世界が深刻な新型コロナウイルス感染症のパンデミック対策に取り組む中でも、台湾周辺における中国の軍事活動は止むことなく続けられている」と、同総統が自国の中華民国国軍を訪問した際の写真を添えてツイートした。

蔡総統は続けて、「国防か、疾患の拡大防止対策かに関わらず、当国の中華民国国軍は現在も油断なく警戒体制を続けている」と綴っている。

「一つの中国」原則により台湾を中国の不可分の領土とする概念を同総統が拒否したことで、2016年に同総統が初就任して以来、台湾周辺での中国人民解放軍の演習が増加している。

中国を起点として広まった壊滅的な新型コロナウイルスが猛威を振るう中でも、中国人民解放軍はほぼ手を休める気配がない。

台湾国防部の発表によると、今年に入ってから中国人民解放軍は台湾の領土付近で「標的型」演習を4回実施しており、同国防部はこれを「中国が挑発的かつ脅迫的である具体的な証拠」と説明している。

これに対抗するかたちで、最近、台湾も自国軍のF-16戦闘機で演習を実施している。

国立中正大学の軍事アナリストである林穎佑(Ying-Yu Lin)博士は、「パンデミックの真っ只中にあっても自国の軍事力と防衛力が健在であることを世界に対してだけでなく、自国民に対して誇示するために、中国は演習を継続する」と述べている

中国のこうした行動により台湾のソーシャルメディアでは怒りが巻き起こっており、中には中国のジェット機撃墜を要求する声も聞かれる。

「『中国/武漢肺炎』流行を収束させ、共産党の軍隊の嫌がらせに抵抗することを政府に強く要求する」。これは蔡総統のFacebookページに投稿されたメッセージの1つである。

蔡総統が再選してからわずか1ヵ月後の2020年2月には、中国大陸と台湾本島を隔てる台湾海峡の中間線を中国軍機が越えて台湾側に侵入している。

中国では新型コロナウイルスによる死者が3,000人を超えている。一方、その中国に地理的に非常に接近している台湾では、2020年3月30日時点で確認されている症例は300件超、死者数はわずか3人に留まっている。

台湾は中国政府の圧力により世界保健機関(WHO)などの世界規模の機関の活動から締め出されているが、世論ではパンデミック対応の優れた見本として称賛されている。

与党・民進党の王定宇(Wang Ting-yu)議員は、「ウイルス感染防止における台湾の手腕は国際的に認められている。これは、民主主義の台湾が権威主義の中国を凌いでいることを示すものだ。中国にはこれが我慢ならない」と述べている。

各国が感染拡大防止に喘ぐ中、台湾の外交的孤立防止を促す法律が米国で発効し、台湾の世界保健機関参加を支持する立場を表明する国が増加していることで、中国は「ウイルス流行を利用して自国の独立性を推進している」として台湾を非難している。

別国家として台湾が再編成されてから70年が経過しているというのに、中国は依然としてこの法治国家を自国領土の一部と見なし、たとえ強制手段に訴えてでも中国と台湾を統一する必要性を主張している。

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