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中東紛争の影響を受けた比人の本国帰還をフィリピン海軍が支援

ヘッドライン | Mar 9, 2020

フェリックス・キム(Felix Kim

中東情勢の緊迫化を受け、強制帰国命令が発令されていたイランとイラク滞在のフィリピン市民の帰還支援を目的として、2020年2月初旬、フィリピン海軍艦船2隻がオマーン湾に向けて出航した。2020年2月5日にオマーン・マスカットのスルタンカブース港に到着した艦艇の乗組員等は、海外労働者の本国帰還書類を処理して、医療ニーズに対応し、そして労働者を帰国させる任務を負っている。

フィリピン海軍報道官ジョナサン・ザタ(Jonathan Zata)大佐がFORUMに語ったところでは、ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)比大統領がカババヤン(kababayan/同郷人の意)または紛争地域で立ち往生している仲間のフィリピン人と呼ぶ比人を帰国させるため、フィリピン海軍は500人を収容できるドック型輸送揚陸艦(LPD)「ダバオ・デル・スール(BRP Davao del Sur)」と重武装の7,200トン哨戒艦艇「ラモン・アルカラス(BRP Ramon Alcaraz)」を派遣している。フィリピン海軍艦艇の前に付けられる頭字語「BRP」は、フィリピン共和国の船舶を意味する「Barko ng Republika ng Pilipinas」を表している。(写真:オマーンのマスカットに停泊するラモン・アルカラス)

ザタ大佐は、「当地にフィリピン海軍艦艇を派遣したのは、必要に応じて艦船で本国に安全に帰還できるという安心感を海外フィリピン人労働者(OFW)に与えるためである。これにより、フィリピン軍(AFP)の近代化プログラムにはフィリピン国の平和と利益を世界的に保護するという意図も含まれていることを『カババヤン』に理解してもらえる」と述べている。

同大佐はまた、「派遣された海軍艦船は輸送目的だけでなく、フィリピン政府の水上作戦センターとしての機能がある」とし、「これは、海外フィリピン人労働者が1ヵ所で本国帰還書類すべてを処理できる『ワンストップショップ』ともなる。艦船を停泊させることで、緊急の医療ニーズに対応すること、また困窮した海外フィリピン人労働者に一時的な宿泊施設を提供することが可能となる」と説明している。

フィリピンの国営報道機関、フィリピン通信社(PNA)が報じたところでは、ノエル・ベレラン(Noel Beleran)大佐率いるフィリピン第82海軍機動部隊(NTF-82)が救出作戦を実施している。オマーン海軍司令官を務めるオマーン海事保安センター主任のマンスール・ムハンマド・マンスール・アル・ハルスィ(Mansoor Mohammed Mansoor Al Kharusi)准将が港湾で同機動部隊を迎え入れた。

国際通貨基金(IMF)によると、1,000万人を超す海外フィリピン人労働者が多くの諸国で就労に従事している。主に生産労働者やサービス提供労働者として雇用されているが、看護師や技術者として働く者も増えている。

NTF-82の任務は最近実施された米国や日本による中東海域への海軍派遣や特定の脅威対策とは何の関連性もないことを、ザタ大佐は強調している。

同大佐は、「今回のフィリピン海軍の任務と目的は非常に明確で、中東紛争地域の影響を受けたフィリピン人を支援することにある」とし、「フィリピンは中東諸国との友好関係を維持している。他国の海軍や軍隊がフィリピン海軍艦船に敵対する、または艦船を攻撃する必要性は全くない」と話している。

フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者

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