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宇宙軍を公式に発足した米国

AP通信社

2019年12月下旬、ドナルド・トランプ米大統領が「宇宙軍(USSF)」を発足させた。独立軍の創設は70余年ぶりとなる。

宇宙軍創設を含む国防予算の大枠を定めた2020会計年度の国防権限法案に署名したトランプ大統領は、国家安保の最優先事項の1つを遂行したと主張した。

これは、米国国防総省の予算を含む140兆円相当(1兆4,000億米ドル)の歳出法案の一部である。

2019年12月20日、ワシントンに程近いメリーランド州のアンドルーズ空軍基地で開催された調印式でトランプ大統領は、「宇宙は新たな戦闘領域だ」と強調し、「重大な脅威が米国の安保に迫る中、宇宙における米国の優位性は死活的に重要である。これで米国はリードしたが、まだ断然優位に立ったとは言えない。しかし、間もなく他を大きく引き離すことができる」と述べている。

宇宙軍は戦闘部隊を宇宙に配置するように構成されているわけではなく、またはそうした意図もない。これはむしろ、宇宙における米国の利害を軍隊がより効果的かつ組織的に保護できるようにするための手段である。

記者団に対して「宇宙ベースの能力への依存度が劇的に高まっている今日、宇宙は独自の戦闘領域へと進化した」と述べたマーク・エスパー(Mark Esper)米国防長官は、宇宙領域における優位性を維持することが宇宙軍の使命であると説明している。

米国経済と日常生活にとって、宇宙の重要性がますます高まっている。たとえば、全地球測位システム(GPS)によるナビゲーションサービスは軍隊だけでなく民間人も利用している。軌道を回る約20個のGPS衛星の一群を米国コロラド州シュリーバー空軍基地にある米国空軍の第50宇宙航空団が運用・制御している。

2019年2月に米国国防総省が発表した報告書には、中国とロシアが危機発生時または紛争時に米国と同盟国の衛星を混乱・破壊する技術を開発する大規模な取り組みに着手したことが示されている。

同報告書には、「宇宙における活動の自由に関して、米国は深刻な課題に直面しており、この問題は増大しつつある」と記されている。

2018年6月、米国国防総省に対して宇宙軍の発足を公式に指示したトランプ大統領は、その際、宇宙における米国の優位性を達成するというより広範な構想の一部として宇宙での軍事任務について説明している。

独自の軍事部門として確立されている海軍、陸軍、空軍とは異なり、宇宙軍は空軍長官の管理下となる。法律により「宇宙軍司令官」という称号で宇宙軍を率いる空軍大将は米国統合参謀本部に所属している必要があるが、初年はこれに準ずることなく、トランプ大統領は米国空軍司令官のジョン・W・レイモンド(John W. Raymond)空軍大将を宇宙軍司令官に指名している。(写真:2019年12月20日、メリーランド州のアンドルーズ空軍基地で開催された2020会計年度国防権限法案の調印式でアメリカ宇宙軍(USSPACECOM)宇宙軍司令官の任命状に署名した後、ジョン・W・レイモンド大将と握手を交わすドナルド・トランプ大統領)

空軍が陸軍から独立して1947年に設立されて以来、宇宙軍は創設された初の独立軍となる。宇宙軍は、2019年に入ってから宇宙関連の軍事作戦を総合的に監督する組織として再編成された別組織のアメリカ宇宙軍に部隊を提供することになる。

宇宙軍と統合軍であるアメリカ宇宙軍の責任と資産の分割については完全な合意に至っていない。

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