技術革新連載記事

分解性プラスチックが可能にする 軍事 作戦およびサプライチェーン 革命

務を完了した途端、跡形もなく消えてしまう小さな飛行機 やドローンを想像してみてほしい。その活動の痕跡は消し去られ、本体が敵の手に渡る可能性もない。あるいは、環境や医療データを収集して送信した後、まったく痕跡を残さずに分解されて無くなる秘密のセンサーを想像してみてほしい。

ジョージア工科大学は、こういった 痕跡をまったく残さない奇襲攻撃を実現す るための研究を行っていて、この研究には米国防省高等研究計画局(DARPA)から資金が提供されている。

サイエンティフィック・アメリカン誌は、技術者チームによって開発された新たなプラスティックについて報じた。このプラスティックは、柔軟な シートや頑丈な機械部品に成形でき、その後紫外線や 80℃ 以上の温度に曝され ると数分から数時間以内に蒸発する。

DARPA はすでに、この新種のプラスチックを使ったパラシュートとグライダーのテストに成功している。ジョージア工科大学の教授でありエンジニアリングチームのメンバーであるポール・コール(Paul Kohl)博士は、カリフォルニア州サンディエゴで開催された 2019 年 8 月の会議で、サイエンティフィック・アメリカン誌に、「この技術は、痕跡を即座に消し去りたいような用途に適している」と述べた。

多くの研究者チームが、リサイクルやその他の目的で分解性プラスチックについての研究を続けているが、今までに開発された自己分解材料は室温で崩壊してしまうケースがしばしば見られた。しかしコール氏は、例年のアメリカ化学会 において、この新しい材料が、太陽にさらされなければ最大20年間は安定であると説明している。彼のチームは、分解がコマンドによって本質的に引き起されるような方法を開発した。

DARPA は、ICARUSInbound, Controlled, AirReleasable, Uncoverable Systems)と一般的に呼ばれる航空輸 送用消失材料を開発するためのプログラム への資金提供を開始し、ジョージア 工科大学の研究を支援している(ギリシャ神話では、蝋で作られたイカロ スの翼は、太陽に近付き過ぎた瞬間に溶け出してしまった)。NBC.com を 通じ、DARPA は、このプログラムは イカロスの死を招いた物質的な過渡状態 を模倣してはいるものの、むしろその能力を活用することにより希望のあるエンディングにつなげようとするものだ」と報告した。

軍事廃棄物の再利用

DARPA は、戦闘材料のリサイクルに 革命をもたらすような別の研究にも投資 している。DARPA の新しいプログラム である ReSource プログラムは、配備時に発生する軍事廃棄物を、重要な在庫品、たとえば兵器や機械用の化学潤滑剤、あるいは食料や水にさえも変換する事によって、米軍の定評あるサプライチェーン管理能力をさらに高めようとするものだ。この携帯型の自給システムは、エネルギー密度の高い廃棄物をオンサイトで、またオンデマンドで 再資源化することで、人道支援や 災害救援活動を支援するとともに、特殊作戦部隊が行う遠征作戦も支援 する。

DARPA のプログラムマネジャーであるブレイク・ベクスタイン(Blake Bextine)氏は、「生存のための基礎的な備えさえも確約できないような厳しい遠隔環境では、『使い捨て』という概念は存在しない」と述べた。

DARPA は、このシステムが機械的、生物学的、化学触媒的アプローチを融合させ、生体分子と微生物の組み合わせによって部分的に燃料化できる可能性についても言及している。例えば 兵士たちは、食事を包みから取り出
した後、本来ならば捨てられるだけの包装材料をシステムの中に投入し、その場のニーズに応じて、必要な再生製 品を選択的に得ることができる。

「我々は、現場でのあらゆる資源 を活用することで、部隊の作業時間や作業可能性を拡大したり、また危険にさらされている人々がより安定した 環境で過ごせるように出来ると考えている」とベクスタイン氏は述べている。
「この技術によって、私たちは、不毛の場所においてさえ、廃棄物を探し出し、それらを分解する事で緊急食料やその他の重要な生活必需品に変換できるようになる。」

ReSource プログラムは、廃棄物管理を、単なる廃棄物の焼却、埋立て、輸送から、使用済み資材の戦略的資源へのオンサイトでの転換へとシフトさせ、さらに環境維持コミュニティにも関与していく可能性を有している。

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