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中国の脅威に対抗する能力の強化を図る日本

フェリックス・キム(Felix Kim)

2019年9月下旬の閣議で配布された新たな「令和元年版防衛白書」では、中国による脅威の高まり、および宇宙、サイバー空間、強力な対空・海上防衛システムを含めたハイテク兵器への移行の必要性が日本の防衛計画立案者等により指摘されている。

「令和元年版防衛白書の刊行に寄せて」の中で岩屋毅元防衛相は、「(中略)中国は周辺海空域における活動を拡大・活発化させており、日本海さらには太平洋に進出する戦闘機や爆撃機の飛行も増加しつつあります」と述べている。

同防衛白書には、原子力潜水艦から発射する弾道ミサイルにより先制精密爆撃を開始することを目的として最近中国が新規システムを取得したことからも脅威の度合いが高まっていると記述されている。

中国政府による防衛費増加の発表を受け、日本防衛省は過去最大となる5兆3,223億円の2020年度予算の概算要求を決定した。

ランド研究所の日本アナリスト、ジェフリー・ホーナング(Jeffery Hornung)博士はFORUMに対して、日本による高額な購入品にはF-35 A/B両型のステルス戦闘機および米国製の迎撃ミサイルが含まれると説明している。防衛省による防衛予算には短距離離陸と垂直着陸が可能なF-35B 6機の購入が含まれており、同戦闘機は護衛艦「いずも」に搭載される予定である。(写真:三菱重工の小牧南工場(愛知県豊山町)で公開されたF-35Aステルス戦闘機の国産初号機)
ホーナング博士はまた、「日本政府は将来に備えた戦闘機 [航空機] の開発を開始している。海上自衛隊も艦種記号「FFM」の新型護衛艦を建造しており、これは護衛艦と掃海艇としての機能を兼ね備えている」と語っている。

岩屋毅元防衛相は同白書の中で、「(中略)『自由で開かれたインド太平洋』というビジョンを実現するためには、米国とも連携しつつ、各国との安全保障協力をこれまで以上に強化していくことが重要です。オーストラリア、インド、ASEAN諸国などとの間で、多角的・多層的な安全保障協力を戦略的に推進していく考えです」と述べている。

元防衛相は日米の同盟関係の重要性を強調しており、同白書で「(中略)日米同盟は、我が国自身の防衛体制とあいまって、我が国の安全保障の基軸です」と表現している。

さらに、「首脳レベルから現場レベルに至るすべてのレベルで連携を深め、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化を図らねばなりません」と述べている。

新たな防衛計画の大綱(防衛大綱/NDPG)に「有事において、我が国への攻撃に際して当該攻撃に用いられる相手方によるサイバー空間の利用を妨げる能力」が明記されたことから、防衛省・自衛隊のサイバー防衛能力の抜本的強化を図るため、日本は2019年度予算においてサイバー防衛隊の人員と機能を30%増加する取り組みを進めている。電磁スペクトルについては、自衛隊は「日本への侵入を試みるし敵のレーダーと通信を中和する能力を強化」していく構えである。宇宙空間については、防衛省はレーダーの配備により監視衛星に対する脅威を監視し、敵の指揮統制、通信、情報収集を妨害する能力を構築することを計画している。

元防衛相は同白書で、「(中略)陸・海・空という従来の領域に、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域を融合させた『多次元統合防衛力』の構築を図る考えです」とも述べている。

フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者

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