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マレーシア: 労働改革

マレーシアは、外国人労働者に法外な斡旋料を課す就職斡旋業者の排除に取り組んでいる。これら斡旋業者のため借金漬けになり、搾取されやすい状況に身を置く外国人労働者は何百万人もいる。

東南アジア諸国は、工場、建設現場、農園などにおいて、一般の地元民が敬遠する労働を大きく外国人労働者に依存している。

多くの人が、就職斡旋業者に支払う斡旋料を借金してやって来るため、これらの人々は何年も収入がほぼゼロの状態で労働を強いられることになる。これは債務奴隷という、現代における奴隷制度の一形態である。

この問題に対処すべく、マレーシアはネパールと、仲介業者を通さずに直接労働者を募集する契約を結んだ。この合意が行われる前に、ネパールは自国から派遣される労働者の待遇を危惧して、労働者の派遣を一時的に停止していた。

マレーシアの M. クラセガラン (M. Kulasegaran)人事相は、「この契約は、人身売買や労働搾取の抑制を目的としている」と述べた。

「この国において、彼ら労働者が借金返済のためにお金を稼ぐという悪循環に囚われてしまうようなことがあってはならない」

2018 年 10 月に施行されたこの契約において、ネパール人の労働者は政府間で雇用されることになる。フライトチケット、ビザ、医療検診等の雇用にかかるコストは、マレーシアの雇用主が負担することになる。

クラセラガン人事相によると、現在バングラディッシュ、インドネシア、ベトナムとも同様の協定について交渉が進められている。

政府の統計によると、マレーシア国内の 200 万近い外国人労働者の大部分がバングラディッシュ、インドネシア、ネパールから来ているとのこと。また、就労許可を得ずに働く外国人は更に何百万といる。

世界最大の手袋メーカーであるマレーシアのトップグローブ(Top Glove)社は 2018 年 12 月、一部の出稼ぎ労働者が債務清算のために過度の残業を強いられたことが発覚したことを受け、非倫理的な就職斡旋業者との関係を断つと述べた。

長年、活動家らはマレーシアに対し、2 万リンギット(4,790 米ドル、約 50 億円)もの手数料を課す斡旋業者の排除を求めてきた。

国連の国際労働機関 (ILO) によると、債務奴隷は現存する奴隷制度で最も一般的な種類であり、世界中で 4000 万人以上の人々がこれに苦しんでいる。ロイター

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