ヘッドライン

防衛関係強化を図る韓国とフィリピン

2019年9月2日から4日にかけて行われた韓国軍艦2隻のフィリピンへの親善寄港は、両国間の防衛関係が拡大していることを示すものである。2019年8月には韓国政府からフィリピン政府に対潜哨戒艇が供与され、それ以前にもフィリピン政府が韓国製FA-50戦闘機を購入しているが、今回の寄港はこうした取引により強調される両国関係を表す最新の序曲となった。

フィリピンの国営報道機関、フィリピン通信社(PNA)によると、フィリピン海軍沿岸戦闘部隊(LCF)司令官のレイ・デラ・クルス(Rey dela Cruz)代将は、韓国の駆逐艦「文武大王(DDH-976)」と高速補給艦「華川(AOE-59)」の寄港を「両国間の政府と海軍の関係強化を図る比韓の継続的な努力」を強調するものであると表現している。

フィリピン通信社が報じたところでは、韓国の軍艦2隻の士官と乗組員はフィリピン海軍隊員等と共に、艦船見学、スポーツ・文化的行事、合同演習などを通した信頼醸成活動に参加している。

韓国から供与されたBRPコンラッド・ヤップ(写真参照)は2019年8月20日にマニラ港に到着した。同艦船は対潜戦(ASW)機能を備える韓国製の浦項級コルベット(哨戒艦)であると、フィリピン通信社は伝えている。2019年9月5日にザ・フィリピンスター(The Philippine Star紙に掲載された意見論文によると、供与された艦船名は、1950年代初頭に発生した朝鮮戦争時の韓国派遣フィリピン軍(PEFTOK)に所属していたフィリピンの軍人、コンラッド・ヤップにちなんで命名されたものであると、韓東萬(Han Dong-Man)駐フィリピン韓国大使が説明している。

韓大使はまた、同艦船により、フィリピン海軍の対艦、対潜、対空能力が強化されると述べている。これはレーダー・ソナー監視システム、オート・メラーラ76mmコンパット砲2機、オート・ブレーダ40mm連装機関砲2機、3連装短魚雷発射管2機を搭載した「比類なき兵器と速度」を備える艦船である。

同大使は、「朝鮮戦争中、韓国派遣フィリピン軍の隊員は韓国を守るためにさまざまな犠牲を払い、献身を尽くしてくれた。こうした高貴な犠牲と献身に対する感謝の印として、韓国政府は深い感謝の気持ちを持ってお返しをしようと努力してきた」と著述している。

フィリピン海軍報道官のヘンリー・クイント(Henry Quinto)大佐がフィリピン通信社に語ったところでは、「1隻を哨戒に派遣している間、乗組員と予備軍が他の1隻で訓練を実施できるように」、フィリピン海軍は韓国政府からさらに2隻の浦項級コルベット艦を入手することを検討している。

同大使はまた、2019年8月27日に調印された契約に基づき、フィリピン海軍が所有するフリゲート3隻は間もなく韓国の造船所で改修される予定であると述べている。沖合哨戒艇のグレゴリオ・デル・ピラール級フリゲートは、米国沿岸警備隊を退役したハミルトン級カッターを再就役させたものである。

フィリピン通信社の報道によると、同フリゲートの取引は2018年4月にソウルで開催された国防相会談に端を発している。同会議で両国は武器開発における開発提携の促進を誓約した。

2017年にフィリピン南部の都市、マラウィ市で5ヵ月間にわたり発生したイスラム主義過激派組織「アブ・サヤフ(ASG)」との戦闘「マラウィの戦い」でフィリピン軍を勝利に導いたのは、フィリピン空軍が採用した韓国製のFA-50PH戦闘機である。当時フィリピン軍(AFP)参謀長を務めたカルティート・ガルべス(Carlito Galvez)退役大将は、アブ・サヤフからのマラウイ奪回作戦において、フィリピン軍地上部隊の損失の抑制に多いに貢献した同ジェット機を「既成の概念を一変する戦闘機」と呼んでいる。

韓国政府系報道機関の聯合ニュース(Yonhap News Agency)が報じたところでは、12機のFA-50は韓国KAI(Korea Aerospace Industries Co.)社で製造されている。420億円相当(4億2,000万米ドル)の注文が履行されたのは2017年7月のことである。当初は練習機として設計されていたが、軽戦闘機として機能するように改良された。

韓大使の記事によると、防衛資産の譲渡に加えて、2019年8月28日には「防衛提携体制の水準向上」を目的とする比韓の防衛産業協力セミナーがマニラで開催された。

フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Back to top button