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太平洋島嶼国の警察が連邦捜査局による実地訓練に参加

高速インターネットの到来により新たな脅威が太平洋島嶼国にもたらされることを考慮して、2019年10月、ミクロネシア連邦(FSM)国家警察官がハワイのホノルルに集結し、経験豊かな米国連邦捜査局(FBI)の支援を受けて犯罪対策技能に磨きをかけた。

チューク州、コスラエ州、ポンペイ州、ヤップ州の警官20人が、証拠収集、犯罪現場の写真撮影、証拠品の処理とラベル貼付、現場略図の作成、現場指紋の検出に関する訓練に没頭した。10月8日から18日にかけて、ハワイ大学構内に所在する東西センター(イースト・ウエスト・センター)とハワイ海兵隊基地(MCBH)で銃器指導や射撃演習を含む訓練が実施された。

FBIホノルル事務所のブライアン・D・デュシェンヌ(Bryan D. DuChene)副管理責任特別捜査官は、「連邦捜査局は常に外国政府機関に手を差し伸べ、訓練を提供している。しかし、特にこの担当分野に関しては、ミクロネシア連邦の警官等は熟練していないと当局は感じている」とし、「事件の良好な扱い方、最善の証拠入手方法、成功裏に訴追に繋げる方法に関する研修を提供している」と話している。

死者4人、負傷者17人が発生したカリフォルニア州ギルロイ市のフェスティバルにおける2019年の銃乱射事件、死者3人、負傷者187人を出したサンフランシスコ国際空港における2013年のアシアナ航空着陸失敗事故、3人が死亡し、数百人が負傷した2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件など、連邦捜査局の訓練指導者等は世界で最も破壊的な数々の事件に関与している。

FBIサンフランシスコ事務所の証拠収集担当上級幹部は、証拠収集は単独で行うものではないと警官等に注意を促している。同幹部の説明によると、法廷で証拠に対して異議が唱えられた場合、警察側には確証のための情報が必要となるためである。

同幹部は、「2人揃っていなければ何も収集してはいけない。被疑者側に対して単独で立ち向かわなければならない立場になるべきではない」と説明している。

ミクロネシア連邦の警官等は、貴重な洞察を得たと述べている。

「犯罪現場における証拠収集と証拠保存方法を学んだ」と言うコスラエ州警察のダニー・ジョー(Danny Joe)警官は、「非常に有意義だった」と語っている。

ポンペイ州の連邦警察に属する警官である19歳のダーニー・フィリップ(Darney Phillip)大尉の発言によると、離島では連邦捜査局が担当するような大規模な銃撃戦や暴力犯罪事件は滅多に発生しないが、今日では人身売買犯罪が増加しており、漁船で働く人員が少女等を誘拐して風俗への従事を強要する事例もある。

同大尉は、「今回の訓練で習得したことを自国での業務に活かしたい」と述べている。

(写真:ハワイ海兵隊基地で実施された射撃演習に参加するミクロネシア連邦の警官等)

今回の訓練は諸島への支援増加を推進する取り組みの一環として実現したものである。2019年9月、マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官はニューヨークで開催された国連総会で島嶼国首脳陣と会談した際、新たに65億円相当(6,500万米ドル)の援助供与を発表している。これは、2019年8月に開催された第50回太平洋諸島フォーラム(PIF)首脳会議で提供された36億5,000万円相当(3,650万米ドル)への追加として供与された金額である。同資金はサイバー能力の向上、開発支援、ブロードバンド接続、違法漁業対策、海上安保体制の改善、優れたガバナンスイニシアチブといったさまざまなプロジェクトに利用される予定である。開発段階はそれぞれに異なるが、諸島の多くはブロードバンド構築に取り組んでいる。

接続性の向上により進歩がもたらされると同時に、サイバー犯罪や児童ポルノなどの新たな脅威も発生するため、連邦捜査局は同諸島の警察能力を確立するために継続的に支援を提供してきた。2019年7月、ミクロネシア連邦が主催した人身売買対策会議では、連邦捜査局の捜査官が協調体制構築のベストプラクティス、地域社会の意識を高める方法、人身売買事件の訴追方法について講演を行っている。

ミクロネシア連邦のディビッド・W・パニュエロ(David W. Panuelo)大統領は、「就任演説を含め、これまで何度も申し上げてきたが、本日もう一度言わせていただきたい。この政権は透明性、説明責任、法治の維持に取り組んでいる」と述べている。

ホノルルで実施された今回の警察官訓練は、機関間の良好な協力体制を実証するものとなった。今回の訓練は、1960年に米国議会の予算で設立された研究・教育センターである東西センターが施設を提供し、米国国防総省と連邦捜査局が資金提供している。

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