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資金や時間を費やすだけの無意味な中国の一帯一路政策

完了することが財政的に不可能と思われる橋梁、道路、鉄道の建設計画が山積みになっていることから、地域的にも国際的にも中国の一帯一路政策(OBOR)に対する懸念が高まっている。

東アジア、太平洋諸島、西アフリカ、そしてラテンアメリカの至るところで、中国の習近平(Xi Jinping)主席が推進する数百兆円(数兆米ドル)規模の開発計画に基づくインフラ整備プロジェクトが継続的に失敗に終わっている。空港やエネルギープラントの建設など、財政的に実現不可能であることが証明されたプロジェクトがますます増加しているだけでなく、こうした開発計画により発展途上諸国は中国から蔑視され、管理不能な債務を負う羽目に陥っている。

さらに、信頼性という点で、中国による誓約と実際の貢献度、および中国が主張する動機と実際の行動との間にギャップが存在する。一帯一路政策は世界の安保と経済構造を破壊するための中国共産党の一戦略に過ぎないのではないかと懸念を表明するアナリストが増加している。

ワシントンDCに本拠を置くコンサルタント会社、RWRアドバイザリー・グループ(RWR Advisory Group)によると、作業の遅延、世論による反対、資金不足、国家安保論争などを理由として、2013年から2018年の間に合計41兆9,000億円(4,190億米ドル)超に相当するプロジェクトが進行困難に陥っている。この金額は一帯一路政策で提案されている全プロジェクトのほぼ3分の1を占める数値である。

報告書が発表されてからわずか1年で、ますます多くの一帯一路プロジェクトが失敗に終わっている。ブルームバーグニュースが報じたところでは、2019年7月、一帯一路政策に基づき中国が進めていた東アフリカの主要鉄道の建設が停止された。これは鉄道をナイロビに接続するために必要な4,900億円相当(49億米ドル)の資金を中国が提供することを拒んだためである。また、RWRアドバイザリー・グループのベルト・アンド・ロード・モニター(Belt and Road Monitor)ニュースレターによると、時を同じくして、ジンバブエにおける大規模なソーラープロジェクトでも中国による資金提供不足が発生している。

ほとんどの場合、中国は自国の安保と軍事的野心に関連するプロジェクトを優先していることから、財政的に持続不可能なプロジェクトが現在も引き続き建設されている状態または部分的に建設された状態となっている。アナリスト等の見解によると、一帯一路政策の恩恵を最大限に享受できる立場にあるのは中国のみで、主催国は経済的・政治的に不安定化している。

特に、南アジアと東南アジアにおける一帯一路プロジェクトでは、投資に対する利益が得られなかったことで、政治的関係さえも損なわれたという事例がある。

最も顕著な例として、スリランカが過重な中国融資の返済に行き詰まったことから、2017年にハンバントタ港の港湾運営権を中国国営企業に貸し出すことを余儀なくされた事例が挙げられる。一帯一路プロジェクトのせいで、スリランカだけでなく、ビルマからモンゴル国に至るまでのインド太平洋諸国は、ほぼ返済不能の債務に悩まされ、主権の喪失および自国への中国の干渉増加のリスクに曝されている。

こうした失敗事例が相次いでいることで、同地域だけでなく世界の国々は、特に譲許的融資という形態で中国から資金融資を受けることにより慎重になっている。2017年後半、ネパール政府は中国と契約していたブヒガンダキ(Budhi-Gandaki)水力発電所の建設計画を撤回している。2018年8月、中国の「借金地獄の罠」に嵌ったビルマは、中国後援のチャウピュー港プロジェクトを7,300億円相当(73億米ドル)から1,300億円相当(13億米ドル)に縮小したと、ガーディアン(The Guardian紙が伝えている。より最近では、バングラデシュのコックスバザール県に所在するマタバリ港プロジェクトを含むいくつかのプロジェクトに関して、中国の腐敗が発覚したことで、同政府は代わりに日本と取引することを決断している。

東アジア、欧州、ラテンアメリカでも一帯一路プロジェクトの失敗による影響が発生している。ロイター通信によると、モンテネグロでは中国国営企業により「どこにも通じていない道路」(写真参照:2019年4月にビオチェ村近くで撮影された道路の状況)が建設された。これはアドリア海沿岸の港町バーとセルビアを結ぶ道路を完成させるだけの十分な資金をモンテネグロが借り入れることができなくなったためであると、アナリスト等は推測している。同国の借金額はすでに国内総生産の80%近くに及んでいる。同様に増え続ける債務に直面していたパキスタンは、いわゆる「中国・パキスタン経済回廊」プロジェクトについて再交渉を求めていたが、中国はディアマーバシャダムの共同プロジェクトから撤退するという仕打ちを行った。2019年、中国の資金を管理していた地元の銀行が倒産したことで、カザフスタンでは2,000億円相当(20億米ドル)のライトレールシステム建設工事が頓挫している。

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