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新たな課題に対処するため防衛戦略を調整する日本

中国の海上勢力拡大と広大な領土の主権主張、そして新技術によりもたらされた新たな脅威に直面している日本は、変化する安保環境に対処するために自国の防衛戦略を見直している。

日本政府は米国との防衛同盟を約束してはいるが、新たな軍事資産の取得およびインド太平洋の近隣諸国との安保協力を通じて自衛隊を「クロス・ドメイン(多次元横断)」防衛力に再構築することで、自国防衛力の自立性強化に努めている。

2019年7月18日に防衛省防衛研究所(NIDS)が発行した「第7章:日本-新たな防衛計画の大綱」で改訂内容が発表された。佐竹知彦代表執筆者と前田祐司執筆者の説明によると、日本政府が自国の防衛戦略を再評価した「主な要因」は「中国の台頭」にある。

同報告書には、「(中略)中国の量的変化は、時間の経過とともに政策的対応を要する規模になってきている」と記されている。

中国の軍事予算は2010年から2017年までに倍増して推定15兆500億円相当(1,505億米ドル)に達しており、これは米国の4分の1、日本の3倍の水準であると、佐竹・前田両執筆者は記している。中国政府は中国人民解放軍(PLA)と中国人民解放軍海軍の近代化に多大な費用をかけている。これに伴い、南シナ海全域の領有権主張から日本の尖閣諸島の主権主張と共に東シナ海にまで及ぶ中国政府の新たな「権力政治(パワー・ポリティクス)」がますます顕著になってきた。

日本にとって、「島嶼部や海上交通路の防衛といった課題への対応において特に重要になるのが航空優勢と海上優勢、さらに情報優勢の確保(中略)」であると、報告書の執筆者等は述べている。そのためには、堅牢な在来型陸上・空中・海上防衛能力と新興技術を利用した新しい能力を結び付けるクロス・ドメイン防衛力が必要となる。

同報告書には、2019年1月に戦略国際問題研究所(CSIS)における講演で岩屋毅防衛相(写真参照)が述べた発言が含まれている。

岩屋防衛相は、「日本は宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域での防衛能力の習得・強化に注力する」とし、「最終的には、新領域と通常領域の両方における全領域の機能を有機的に統合して相乗効果を生み出し、全体的な強みを増幅することを目指している」と述べている。

日本政府は今後5年間の軍事費総額を前期1%増となる27兆4,700億円(2,435億米ドル相当)とする予定であると、同防衛相は付け加えている。

日本政府はまた、新たにF-35戦闘機105機を追加する計画を策定しており、そのうち改修されたいずも型護衛艦に搭載される予定の42機は短距離/垂直離着陸機能を備えている。日本では防衛相の直接指揮の下、2022年度までに宇宙領域専門部隊、2023年度までサイバー防衛部隊が新設される予定である。

防衛省防衛研究所による同報告書には、日本はまた、安倍晋三政権が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」構想に基づきインド太平洋への関与を強化し、「30大綱も(中略)米国や地域の友好国と協力し、共同訓練・演習、防衛装備・技術協力、能力構築支援や人道支援・災害救援、そして海賊対処等の分野において、日本が一層大きな役割を果たしていくことがうたわれている」と記されている。

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