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防衛関係強化に取り組む日本がオーストラリアとの合同演習に軍艦を派遣

FORUMスタッフ

オーストラリア海域で実施される合同演習に日本海上自衛隊の艦船が初参加する。これは日本政府がオーストラリアと米国との防衛関係の深化を強調するためである。

2019年6月下旬から8月上旬にかけて実施される米豪合同軍事訓練「タリスマン・セーバー2019(Talisman Sabre 2019)」は、米豪軍隊間の戦闘即応性と相互運用性を改善するように構成されている。本年の演習にはカナダ、ニュージーランド、英国の防衛軍も参加している。同演習には物流訓練、水陸併用戦訓練、陸上部隊演習、都市・空中・海上における作戦、特殊部隊演習が含まれている。

海自が今回初めてタリスマン・セーバー演習に参加したことから、米豪両国共に日本との軍事関係強化を望んでいる傾向が窺える。(写真:2019年5月、東京近郊で訪日中のドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領(左から2番目)と握手する海自護衛艦「かが」の水田英幹艦長(右)。日米間の軍事的絆が明らかとなった瞬間を捉えた画像。トランプ米大統領の右横は安倍晋三首相)

ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の報道によると、オーストラリアのシドニーに所在するアメリカ研究センターのジョン・リー(John Lee)博士は、「この3ヵ国間にははるかに大きな戦略的、軍事的、防衛的、情報的協力体制が見られる」とし、「中国人民解放軍(PLA)の軍艦が突然シドニーに出現したときの状況と比べれば、日本の軍艦の寄港および日本の演習参加に対してはるかに高い国民の支持が得られることは間違いない」と語っている。

中国軍艦がシドニー港に4日間停泊したのは2019年6月上旬のことであるが、豪政府による事前の発表がなかったことから、この寄港には批判が高まった。

2万5,000人近くの軍人が参加するタリスマン・セーバー演習では、陸海空の全分野で戦闘シミュレーションによる訓練が実施される。ボイス・オブ・アメリカが伝えたところでは、演習の大半はクイーンズランド州セントラルクイーンズランド地方のショールウォーターベイ演習場と周辺の森林で実施される。

今回海自が初めて参加したことに加え、オーストラリアと日本は日豪安保協力体制を強化する法的枠組を交渉中である。横須賀アジア太平洋研究会議(YCAPS)のマイケル・ボーザック(Michael Bosack)政務特別顧問が執筆した記事によると、両国は円滑化協定(RAA)の締結を望んでいる。同協定が結ばれれば、軍隊が他国で活動する上での法的パラメータが得られる。これには課税要件、他国への軍人の出入国に関する規則、そして刑事管轄権が含まれる。

オンライン雑誌のザ・ディプロマット(The Diplomat)に掲載されたボーザック政務特別顧問の記事によると、交渉は数ヵ月にわたっているが、このオーストラリアとの協議により、日本は将来的に他の安保提携国とも協定を締結して新境地を開拓できる可能性がある。

オーストラリアでは1985年に死刑が廃止されているのに対して日本は死刑存置国であることなど、政治的な支障が交渉を長引かせる要因となっている。しかし、同協議により日本と他国との防衛関係が強化される可能性があると綴った同政務特別顧問は記事の中で、「明らかに協定にはそれぞれ独自の特徴があるとは言え、オーストラリアと日本が協議している内容により、日本の安保提携国が何を期待できるかをある程度予測できるようになるため、政治的に著しく容易に他国との関係を発展させることが可能となる」と述べている。

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