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民間宇宙事業に関する米中協議の見通し

ロイター

米国高官からの発表によると、商業宇宙市場において急速に拡大している中国の活動に懸念が高まる中、2019年後半に米国で民間宇宙事業に関する2ヵ国間協議が開催される予定となっている。

おそらくワシントンDCで開催されることになると考えられる同2ヵ国間協議は、2019年6月下旬に日本の大阪で開催されたG20サミットに合わせて開かれたドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平(Xi Jinping)主席の会談の席で決定的となったと、当局者は語っている。

米国国務省宇宙先端技術部(U.S. Department of State, Office of Space and Advanced Technology)のデビッド・ターナー(David Turner)次長は、「これは完全に別件である。何が起こるかに関係なく、米国側は宇宙で責任ある行為を行うことについて中国側と協議しなければならない理由がある」と述べている。

経済改革に関する公約を破ったとして米国が中国を非難したことで協議が決裂した2019年5月から、米政府と中国政府の関係は悪化している。

当局者が伝えたところでは、同対立は最終的には商業宇宙経済にも波及する可能性があるが、当面の間、米国政府は宇宙問題に関して中国との関与を継続することを強く望んでいる。

2007年、中国政府は予期せぬ衛星攻撃(ASAT)兵器実験を実施して世界に衝撃を与えた。同実験により莫大な宇宙ゴミ(スペースデブリ)が発生し、国際宇宙ステーションに危険をもたらす結果となった。

この世界2大経済大国が民間宇宙事業に関して協議したのは、米中貿易戦争が激化する前の2017年11月に北京で開催された米中交渉の席が最後となる。

米国商務省宇宙商務局のケビン・オコンネル(Kevin O’Connell)長官は、中国の競合他社が作り出す人為相場と知的財産の強制移転に対する米国企業の懸念はますます高まっていると述べている。

またオコンネル長官は、米国政府はこうした報告およびおそらくは「商業」市場というものを中国政府が異なるかたちで理解していることを「非常に心配」していると語っている。

同長官は、「これは同政府が民間宇宙レベルで話し合いたい話題である」とし、「中国にとって商業とはどういう意味か、商業の文脈においてどのような行動が禁止されるべきかなどを話し合う必要がある」と述べている。

同長官によると、中国は成長している収益性の高い商業宇宙市場に技術分野とサービス分野の両方で参入していると米国企業は考えている。さらに、中国企業は市場で活発な米国企業の買収を何度か試みているが、今のところいずれの入札も却下されている。(写真:2019年4月11日にフロリダ州ケープカナベラルのケネディ宇宙センターから打ち上げられた「ファルコンヘビー」ロケット。これは米国の民間宇宙探査会社、スペースX(SpaceX)が開発したロケットで、通信衛星を搭載した初の商業打ち上げとなる)

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