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進化する脅威に合わせて防衛目標の再編成を図る日本

フェリックス・キム(Felix Kim

日本は、急速に変化するセキュリティ環境に対処する態勢を整えるため、サイバー空間や電磁スペクトルにおける課題を含む今日の脅威に対する防御の必要性を反映させ、その防御目標を再定義している。

最新の防衛計画の大綱(防衛大綱/NDPG)には、国に対して危険と認識される脅威およびそれらへの対処法の両方が明確に示されている。

同防衛大綱には、「日本の国家安保を究極的に保証する手段は防衛力である」と記されている。これは、「脅威が日本に到達するのを阻止する、またもし脅威が日本に到達した場合は、主権国家として自発的に自ら進んで努力を払うことで、当該脅威を排除し、日本国民の生活、市民、財産、並びに領土、水域、空域を最後まで守り抜く」という日本の意思と能力を表すものである。

日本は従来型の能力と宇宙、サイバー空間、電磁スペクトルに対応する能力を組み合わせた多次元統合防衛力の構築に専念している。同防衛組織には平時および武力が関与する不測事態において良好かつ柔軟に行動できるように訓練が提供される。

同防衛大綱では中国の従来型の軍事能力およびサイバー空間、宇宙、電磁に関連する軍事力だけでなく、海上・空中における中国の激しい軍事活動が考察されている。

「日本が実効支配する尖閣諸島周辺では、日本からの強い抗議にも関わらず、中国人民解放軍海軍の艦艇が日本領海を絶えず侵害しているだけでなく、同国の軍艦が同諸島の周辺海域を継続的に航行している」と、同防衛大綱には記されている。

一方、ロシアについても、同国がその軍事力を近代化し、日本の北方領土海域を含む多くの地域に軍事活動を拡大していることから、「細心の注意を払う」必要がある。

共同通信が報じたところでは、日本政府は2019年に過去最高となる4兆7,000億円相当(470億米ドル)の防衛費を投入する予定である。これには、米国からのF-35Aステルス戦闘機6機とイージス・アショアミサイル防衛システムの購入が含まれる。(写真:千歳基地から離陸する航空自衛隊(JASDF)のF-15DJイーグル戦闘機)

高度な軍事資産を取得することに加えて、日本政府は日米両国の防衛能力を向上させるために、日米共同研究開発に一層従事することを計画している。

ランド研究所の日本防衛アナリスト、ジェフェリー・ホーナング(Jeffrey Hornung)博士はFORUMに対して、「日本は自国の能力にいくらかのギャップがあることを認識しており、今後5年から10年の間に欠落が生じる可能性のあるエリアを見越して将来に備えようとしている」とした上で、「日本は資源だけでなく、こうしたギャップを埋めることができる人材を求めている」と述べている。

女性と大学生新卒に目を向けることによる軍隊採用状況の強化、定年退職年齢の引き上げ、そして「人工知能などの技術革新の活用」が、日本の労働力不足による負担を軽減する方法として同防衛大綱に挙げられている。

同防衛大綱ではまた、特に米国との緊密な協力による作戦実施と戦略協調の拡大、宇宙とデジタル領域分野への参加に関する成長と発展、防空とミサイル防衛、二国間訓練と演習、諜報・監視・偵察、および二国間抑止政策が強調されている。

協力関係はオーストラリアとインドにも拡張される模様である。

防衛に関して日本は新たな積極的姿勢を取っているにも関わらず、憲法上は相変わらず専守体制であることをホーナング博士は指摘している。

同博士が話すところでは、「日本が攻勢に出ることはない。日本にはまだ攻撃能力が備わっていない」のである。

フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者。

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