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北極圏における攻撃的姿勢に対して中国とロシアに警告する米国

AP通信

気温上昇と海氷の溶解に伴い、開発と商業に関する注目が急速に高まりつつある北極圏について、2019年5月、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権は中国とロシアによる侵略的な活動は容赦しないと両国に警告した。

マイク・ポンペオ米国務長官はフィンランドにおける演説で、米国は北極圏への介入に対抗し、一国であろうと、二国であろうと、戦略的予備とする試みを防ぐと述べている。北極圏の平和維持を保障するためには法治を優先する必要があると述べたポンペオ米国務長官は、「ハイノース(北部地域)」に不安定性を招く強制的行為であるとして中国とロシアを批判している。

北極評議会(AC)閣僚会合に参加する前日、同国務長官は、「同地域は世界的な権力と競争が渦巻く場となっている。したがって、北極圏に領土を持つ8つの国家はこの新しい未来に適応する必要がある」と語っている。

以前は科学的、環境的、文化的問題だけに注力することが可能であったが、北極圏における環境の深刻な変化と戦略的な対立により、現在はそれが非常に困難な状況となっている。

同国務長官は、「戦略的関与という点で、北極圏は新たな時代を迎えつつある。北極圏の利益とその物的財産に対する新たな脅威も発生している」と述べている。

これにより、米国は新たな軍事演習、砕氷船、沿岸警備隊作戦の拡大という手段で、米国の安保を強化し、外交的存在感を高めることになると、同国務長官は説明している。

ロシアとは異なり、北極圏に領土または領有権がなく、北極評議会で常任オブザーバーの地位を保持している中国に同国務長官は特に焦点を定めている。

インフラプロジェクトおよび商業投資の推進により北極圏への介入を試みる中国を阻止する必要があると述べた同国務長官は、中国が自国を「北極圏に近い国」とする主張を拒絶している。

同国務長官は、「北極圏諸国と非北極圏諸国があるのみで、中間はない」とし、「これ以外の主張をする中国には全く何の権利もない」と述べている。

北極圏は責任ある中国の投資家を歓迎するが、他地域における中国の「略奪活動」を見ると懸念が残ると、同国務長官は語っている。

同国務長官はさらに、「他地域における中国の侵略行動パターンを見れば、同国が北極圏をどのように扱うかが分かる」とも述べている。また、南シナ海での中国の勢力拡大により、近隣の島嶼国の多くに不安がもたらされた事実を指摘し、「北極海を軍事基地化し、領有権問題が発生している南シナ海のようにしたいか?」と問いかけている。

北極評議会に出席した中国・北極担当の高峰(Gao Feng)特別代表はポンペオ米国務長官の警告を却下し、中国と取引するのは各国の自由であると反論している。

ポンペオ米国務長官の演説の後、高峰特別代表は記者団に対して、「米国務長官は新たな時代だと述べた。では競争だ。友好国が多いのはどちらか、いずれはっきりする」と語っている。

ポンペオ米国務長官はまた、北極圏で大規模な軍事拡大作戦に着手したロシアの意図についても言及し、同国の歴史を考慮すると、その行動により不安定な状態がもたらされるかもしれないと警告している。同国務長官はウクライナ東部における紛争を指摘し、「ロシアの領土に対する野心により、同国が暴力的な行動を取る可能性があることは周知の事実である」とし、「北極圏は荒野である。しかし、だからといって、無法地帯にしてよいというわけではない」と述べている。

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