ヘッドライン

任務固有の演習で、朝鮮半島における共同軍の準備態勢を整える韓国

フェリックス・キムFelix Kim

平和確保に向けた外交的努力を支援しながら、強固な防衛体制を維持するため、韓国と米国の軍隊が大規模訓練に代わる新たな演習を組織した。

2019年3月2日に中止された大規模な共同演習「キー・リゾルブ(Key Resolve)」と「フォールイーグル(Foal Eagle)」の代わりとして、2019年3月4日から12日にかけて韓国語で「同盟」を表すコンピュータシミュレーションによる連合指揮所演習「ドンメン(Dong Maeng)」が実施された。

韓国はまた、2018年6月に米国国防総省により中断された「乙支フリーダムガーディアン(UFG/Ulchi Freedom Guardian)」合同演習の代わりとして、新しい演習「ウルチ・タズク(Ulchi Taegeuk)」の開始を計画している。これは、5月27日から30日にかけての実施が予定されている。

2019年3月3日に発表された韓国統合参謀本部議長のパーク・ハンギ(Park Han-ki)大将と米韓連合司令部(CFC)司令官のロバート・エイブラムス(Robert Abrams)大将の共同声明によると、ドンメン演習は「南北朝鮮における一般的な軍事作戦の戦略的な作戦と戦術の側面」に焦点を当てている。

同声明は、「職業軍人は訓練を受け、標準的な準備態勢を維持することが重要である」とし、同盟を維持・強化するためには合同演習が不可欠である」と付け加えている。

米韓間で実施されていた大規模演習を小規模な任務固有の訓練に置き換える方針は、北朝鮮との緊張緩和を目的とするドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権の外交努力の一環である。

2019年4月1日にワシントンで開催されたパトリック・シャナハン米国防長官代行との面談で、韓国の鄭景斗(Jeong Kyeong-doo)国防部長官はドンメン演習を「韓国の外交努力に軍事支援を加えた模範的なモデルである」と表現している。

鄭国防部長官はまた、「こうした合同演習を通して、米韓同盟および米韓の合同防衛態勢はより強化される」と付け加えている。

先にドンメン演習司令センターを訪問した同国防部長官は、同防衛態勢がどのように強化されるかについて具体的な意見を述べている。

「統制、制御、通信、コンピュータ、情報システム、そして即応能力制度を以前よりも一層活用することで、米韓の合同防衛態勢を統合するべきである」と、同国防部長官は説明している。

米国国防総省によると、ドンメン演習により防衛と即応能力の合同態勢が強化されると述べたエイブラムス大将は、さらにこれは「米韓連合司令部の戦時作戦統制権の移行における基礎を確立する上でも有益である」と付け加えている。

大韓民国国軍の目標は、米軍から大韓民国国軍司令官への戦時作戦統制権の移行であると、鄭国防部長官は述べている。

韓国政府系報道機関の聯合ニュース(Yonhap News Agency)が報じたところでは、2019年5月に実施される予定のウルチ・タズク演習は、2018年10月に初めて開催されたタズク(Taegeuk)指揮所演習と乙支フリーダムガーディアン合同演習の一環として実施されていたウルチ政府演習を組み合わせた構成となっている。

また、ウルチ・タズク演習は武力攻撃に対する大韓民国国軍の抑止力と防御力を強化すると共に、テロリストによる攻撃や自然災害などの緊急事態に備えることを目標としていると、聯合ニュースは伝えている。

2017年乙支フリーダムガーディアン演習(写真参照)は、朝鮮半島における即応性と安定性の向上および地域の保護を目的としたコンピュータシミュレーションによる防衛演習である。およそ5万人の大韓民国国軍部隊および1万7,500人の米国部隊により実施された2017年の演習に比べ、2019年5月に実施予定のウルチ・タズク演習は規模がかなり縮小され、大韓民国国軍の部隊のみが関与するものになると予想されている。

フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者。

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Back to top button