インドネシア政府は、東南アジア最大の経済体における贈収賄とマネー・ローンダリングを抑制するため、現金取引を制限する法律を議会に提案していることを、同国のマネー・ローンダリング対策監視機関長が明かした。
草案では現金での支払いを最大1億ルピア(7,260 米ドル)にまで制限し、2019 年の法的優先事項として割り当てたと、金融取引報告分析センター(PPATK)長であるキイ・アガス・バダルディン氏も述べている。
バダルディン氏は、「基本的にこの制限はマネー・ロンダリングやテロ資金供与を許す範囲を削減するものになる」とコメントしている。
こういった法律がどの程度強制力があるかの詳細は示されなかった。
インドネシアでの取引の約 85% は現金であり、銀行やその他の電子チャネルで行われた取引よりも追跡がしにくく、政府がマネー・ローンダリング、汚職、テロ資金供与に対策を立てるのを難しくしている。
バダルディン氏は、PPATK の検知したところでは、現金によるほとんどの取引で賄賂が増加しているとしている、とレポーターに話した。
PPATK ではインドネシア全土で行われる地方選に関連している可能性のある、疑わしい現金取引を 1,000 件以上発見したが、これに対して電子取引では疑わしい取引は53件にとどまっていると Tempo.coは報告している。
インドネシアは、トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International)による 2017年年間腐敗認識指数において 180 ヵ国のうち 96 位でコロンビアとタイと同ランクに位置づけられた。
アグス・マートワルドホ(Agus Martowardojo)氏は、インドネシアの中央銀行は、法律の草案作成に携わっており、提案されている制限は法執行、ひいてはインドネシア銀行の働きを改善することができると考えているとし、支払いシステムの担当者にとっては、「現金取引は問題ないが、現金以外の取引の方がより効率的だ」とも述べている。また、この計画では、銀行のより多くの人々が電子取引できるようにするキャンペーンもサポートしていると加えている。ロイター