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米国に賛同し、中国の途上国優遇措置撤廃を求めるオーストラリア

米国で開催された主要な外交演説で、オーストラリアのスコット・モリソン(Scott Morrison)首相は、「世界貿易規則はもはや『目的の達成に適していない』ため、先進国という中国の新たな位置付けに対応するために変更が必要である」との見解を示した。

モリソン首相は続けて、国際社会は中国の成長を支援するために協力してきたが、今後は世界第2位の経済大国である中国に対し、貿易関係で透明性を高め、気候変動問題への対応に関してより大きな責任を果たすよう求めるべきであると主張している。

シカゴ・グローバル評議会での講演で中国を「新たな先進国経済」と表現した同首相は、「国際機関はこの新たな中国の地位を認識し、中国のために環境を整備する必要がある」と述べている。

ロイター通信が提供した転写によると、同首相は講演で、「これは、常にこの地位を維持してきた米国のような諸国がそうしてきたように、中国がより多くの責任を果たすことが期待されるということだ」と語っている。

世界貿易規則は「目的の達成に適しなくなった」わけであり、場合によっては同規則は「現代には存在しないような時代の全く異なる経済向けに構成されている」とも、同首相は付け加えている。

中国を「新たな先進国経済」と呼ぶことで、中国政府が自己宣言している「発展途上国」としての同国の地位が変化する。つまり、合意した義務を履行する上で延長期間が認められるなど、世界貿易機関(WTO)により優遇措置が与えられるべき国ではなくなるということである。

これにより、中国の途上国優遇措置の撤廃を求めるドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領主導の政策にオーストラリアは賛同を示したかたちとなった。2018年4月7日、トランプ大統領は、「中国など世界の最も豊かな国々が発展途上国だと申告することで、特別に優遇されている。特に米国にとっては不公平だ」とツイートしている。

モリソン首相は過去に中国に対して経済改革および米国との貿易戦争の終結を強く求めることはあったが、これまで世界貿易機関による優遇措置について公に意見することはなかった。

2015年に中豪自由貿易協定(FTA)が発効して以来、両国間の双方向貿易は成長し、2018年には12兆7,000億円相当(1,830億豪ドル/1,270億米ドル)と記録的に増加したが、時に二国間関係は緊張している。

2017年12月、当時のマルコム・ターンブル豪首相はオーストラリアの内政に干渉したとして中国を非難し、昨年にはオーストラリア政府が自国の5Gブロードバンドネットワークから中国の大手通信会社であるファーウェイ(Huawei Technologies Co. Ltd.)社を事実上締め出したこともあり、両国の関係はさらに悪化している。

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