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今後の方向性を明確に示す新規ASEAN報告書

ヘッドライン | Feb 9, 2020:

FORUMスタッフ

ASEAN(東南アジア諸国連合)が更新した「APSC(ASEAN政治・安全保障共同体)アウトルック(ASEAN Political-Security Community Outlook)」報告書では、同機構における今後の方向性の改良が示された。「ASEAN and Beyond」をテーマとして2019年12月に発行された同報告書は、東南アジア以外の諸国との提携関係の確立、軍縮・核不拡散、平和と和解の促進という3点に焦点を当てた章で構成されている。

ASEAN事務局は、「ASEANがその加盟国だけでなく、国際原子力機関や欧州連合のような東南アジア以外の国や組織とも提携を結ぶことで、東南アジア全域以外の地域における平和と安保の推進に、ある程度貢献したことが各章で強調されている」と発表している。

昨年には、ASEAN首脳陣は協力、開放性、包摂を促進する原則を採択した。(写真:2020年1月17日、ベトナムのニャチャンで集合写真を撮影するASEAN加盟国の外務閣僚等(左から):マレーシアのサイフディン・アブドゥッラー(Saifuddin Abdullah)外相、ビルマのチョウ・ティン(U Kyaw Tin)国際協力大臣、フィリピンのテオドロ・ロクシン・ジュニア(Teodoro Locsin Jr.)外相、シンガポールのビビアン・バラクリシュナン(Vivian Balakrishnan)外相、タイのドーン・ポラマットウィナイ(Don Pramudwinai)外相、ベトナムのファム・ビン・ミン(Pham Binh Minh)外相、ブルネイのエルワン・ユソフ(Erywan Yusof)第二外務貿易大臣、カンボジアのプラック・ソコン(Prak Sokhonn)外相、インドネシアのルトノ・マルスディ(Retno Marsudi)外相、ラオスのサルムサイ・コンマシット(Saleumxay Kommasith)外相、ASEANのリム・ジョクホイ(Lim Jock Hoi)事務総長)

同報告書によると、ASEAN首脳陣はまた、海上安保、連結性、持続可能な協力、経済協力などの協力優先分野についても合意している。

同報告書には、「今日の問題が多面的かつ多次元的であること、およびASEANの3つの共同体の柱を横断していることを深く理解した上で、ASEANは分野横断的な協力体制をますます重視するようになった。そのため、機会の創出かASEANの行く手を阻む課題への対処かに関わらず、「社会全体」のアプローチが必要となる」と記されている。

協力体制に関しては、ASEANは加盟10ヵ国と協力を図るだけでなく、東南アジア内外における平和推進において共通の既得権益を有する専門家のネットワークを構築することを検討している。

さらに、同報告書には、「ASEANが紛争の発生を防止し、万が一紛争が発生した場合には問題に対処して管理できる能力を確立することを目的として、専門家の共同体と支援ネットワークを構築することが将来に向けた適切な措置である」とし、「ASEANだけでなく、世界全体で認識されているように、平和とは単に紛争がないという状況を指す言葉ではない。これはむしろ、平和を追求して努力する永続的な行程である。そしてこれこそが、女性を含むすべての人間が重要な役割を果たすべき平和構築の本質なのである」と記されている。

報告書全文の取得先:https://ASEAN.org/storage/2020/01/ASEAN-Political-Security-Community-Outlook_2019_No2.pdf

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