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二国間演習により、インド太平洋地域における新たな爆撃機戦略を実証

ヘッドライン | May 14, 2020:

FORUMスタッフ

2020年4月、米国本土から飛び立った米軍のB-1B「ランサー」戦略爆撃機は30時間後に日本自衛隊(JSDF)の戦闘機との二国間訓練を終えてサウスダコタの基地に帰還した。

米国内や海外の拠点に配置された爆撃機により、予測が困難な脅威の場合でも世界中場所を問わずに合同作戦や多国間任務に参加して事態に確実に対処することを目的として、米国空軍は戦略を再編している。同演習により、米国の戦略改善が実証された。4月22日の演習は、戦略的な予測可能性を向上すると同時に運用上の予測不可能性を伴う意外性を生成するように設計された空軍の新規動的戦力運用(DFE)モデルを初めて披露する場となった。

今回の二国間演習はインド太平洋地域の「安全性と安定性の確保に対する米国の揺るぎない専心」を強調するものであるとニュースリリースで説明した太平洋空軍(PACAF)司令官のチャールズ・ブラウン・ジュニア(Charles Brown Jr.)大将は、「目には見えないウイルスのパンデミック対策から軍事的侵略や強制活動の対処に至るまで、米軍は今後も『自由で開かれたインド太平洋』を維持するという共通の構想に焦点を当て、著しく強力な革新的かつ相互運用可能な力を発揮し続ける」と話している。

「ランサー」の愛称で呼ばれるB-1B爆撃機はサウスダコタ州のエルスワース空軍基地から青森の三沢基地まで飛行し、そこで航空自衛隊(JASDF)F-2戦闘機7機とF-15戦闘機8機と合流して演習を実施した。これには三沢基地に拠点を置く6機の米軍F-16も合流している。(写真:米インド太平洋軍(USINDOPACOM)と米戦略軍(USSTRATCOM)の爆撃機統合任務部隊演習の一環として三沢基地近くの天ヶ森射爆場上空で訓練を実施する航空機)

2019新型コロナウイルス急性呼吸器疾患(COVID-19)パンデミック危機の最中であるにも関わらず、米国国防総省当局が演習継続を推進したことで、今回の二国間演習が実施される運びとなった。2020年4月中旬、マーク・エスパー(Mark Esper)米国防長官は、「今こそ米国を潰せるときだと考えている者がいるとしたら、それは大間違いである」とツイートしている。

military.comが報じたところでは、エスパー国防長官のコメントに共鳴した地球規模攻撃軍団(AFGSC)司令官のティム・レイ(Tim Ray)大将は、「今回、空軍が急速に同能力を導入できたことで、国防戦略を直接的に支援できる。また、これにより、場所や時間を問わず、圧倒的な強制力をもって米国やその提携・同盟国の利益を確実に保護できるようになる」とし、「今回の演習は世界の友好諸国に対して、平和維持の取り組みにおいて米国が諸国の期待に十分に応じられること、並びにパンデミック危機の渦中にあっても世界各地の多くの拠点から作戦を実施する能力が米国にあることを実証するものである」と述べている。

また、ブラウン大将は、「60年以上にわたり、日米同盟は同地域の安定性と安全性の要となってきた。インド太平洋地域において空自と爆撃機統合運用を図ることで、総合準備態勢の強化と相互運用性の促進が実現するだけでなく、世界的に戦力投射を実施し、地域全体の透明性を向上する重要な機会が得られる」と付け加えている。

米国の爆撃機は定期的に同盟・提携諸国との二国間訓練や作戦を実施している。2020年2月には、B-52ストラトフォートレス戦略爆撃機2機が米国空軍のF-16戦闘機6機と空自のF-2、F-4、F-15戦闘機45機と共に日本周辺空域で飛行訓練を実施している。

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