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中国を新型コロナウイルス震源地と指摘するイラン

ヘッドライン | Mar 18, 2020:

FORUMスタッフ

イラン保健相が発した冷静な発言は、新型コロナウイルス流行の終焉を見ないまま、景気後退の回復を目的として国民の職場復帰に取り組む中華人民共和国(中国)の苦肉の策に一石を投じるものとなりそうである。

サイード・ナマキ(Saeed Namaki)保健相がイラン国営テレビ中継を通して伝えたところでは、中国を起点として広がった新型コロナウイルス急性呼吸器疾患(COVID-19)は中国への旅行者を経由してイランにも侵入し、イラン、イタリア、韓国で感染集団発生が起きていることで、同ウイルスの世界的流行が新たな段階に突入したとの懸念が各地で高まっている。

ナマキ保健相の発表によると、イランでは聖地の1つであるゴムで最初のウイルス感染が確認されており、ウイルス感染症により死亡したイラン人の1人は国際的に移動していた商人である。AP通信が報じたところでは、イランで中国への直行便の運航が停止された後も、数週間の間に同商人は乗継便を使用して移動していたと、同保健相は述べている。

ゴムはシーア派イスラム教徒の主要な巡礼地であるが、同保健相は、「ゴムや他の巡礼地の訪問は勧められない」と話している。

同保健相の警告が発せられたのは、中国の習近平(Xi Jinping)主席が操業再開を推進したことで、隔離措置から解放される中国人労働者が増え始めた矢先のことである。中国政府の発表によると、隔離措置による事業閉鎖により、中国の第1四半期の経済成長が打撃を受け、新卒者の就職活動も妨げられていた。

ところが現在、中国の産業の多くではすでに事業が再開されている。中華人民共和国国家発展改革委員会(NDRC)の発表によると、大企業の多くで従業員がすでに職場復帰していると、CNBCニュースが伝えている。

鉄鋼業界では約67.4%、非鉄金属業界では86.3%の従業員が業務を再開している。

ウイルス拡散防止を目的として、これまで多くの中国人従業員は在宅勤務であったが、今回の職場復帰方針が早計であることを示す証拠がすでに上がっている。

たとえば、ロサンゼルス・タイムズ紙が報じたところでは、北京に所在する複数の企業では2020年2月10日に職場復帰が許可されたが、同時に可能な限り最善の感染拡大防止手段を講じることが命じられている。

また、西城区に勤務するある公務員は中国北部の河北省に住む家族を訪問した後、2020年2月1日に仕事に復帰したが、親戚の1人がその10日後に新型コロナウイルス急性呼吸器疾患と診断された。その後病院で受診した公務員にも感染が確認されている。

同紙の報道によると、現在、同公務員と同日に勤務していた69人の同僚全員に隔離措置が施されている。

中国の労働者が再び公共の場に集まるようになったことを受け、イランや世界諸国の首脳陣は自国国民の中国訪問を阻止しようと躍起になっている。

2020年3月2日、イラン首脳陣はイラン・イスラム共和国軍に警告を発し、保健当局にウイルス流行防止策を講じることを促している。AP通信が伝えたところでは、これまでに中国以外の国で最も多くの犠牲者が発生したイランでは、2020年3月3日時点で77人が死亡している。(写真:イランのテヘラン北部に所在するショッピングセンターに入館した男性の体温を測定し、手を消毒する医療従事者等)

イランの植樹祭に向けて、使い捨て手袋を着用して植林する80歳の老人を捉えた映像が国営報道機関により放送された。イラン最高指導者のアリー・ハーメネイー(Ayatollah Sayyid Ali Hosseini Khamenei)師が軍隊配備を発表したのはこの直後のことである。イランの報道機関はまた、救急医療サービス部門の責任者、並びに議員23人のウイルス感染が確認されたと報じている。

ハーメネイー師は、「公衆衛生を推進し、疾患の蔓延を防止する要素はすべて『善』であり、ウイルスを拡散する行為は『罪』である」と述べている。

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