ヘッドライン

フィリピン当局からの発表:中国が紛争海域における外国軍の行動を制限することを主張

ASEANと中国は海域紛争を対話で解決するための枠組について現在交渉中であるが、2019年9月上旬のフィリピン外相の発言によると、これまで中国は南シナ海における外国軍の行動および同紛争海域における石油・ガス田プロジェクトへの外国の関与を制限することを求めていた。

しかし、ABS-CBNニュースの会見に応じたテオドロ・ロクシン・ジュニア(Teodoro Locsin Jr.)比外相(写真参照)は、中国がこうした要求を緩和したことで、ASEANと交渉中のいわゆる「行動規範(COC)」策定における潜在的な障害が取り除かれたと述べている。

中国および他の主権主張国による攻撃的な行為を防止するため、中国とASEAN加盟10ヵ国は不可侵条約を交渉中である。放っておけば、世界で最も盛んな海上交通輸送路の一部にまたがる紛争海域において大規模な武力対立が発生する可能性がある。

ASEANと中国は交渉内容を秘密にすることに同意しているが、一部の報道機関の報道により、中国側が策定作業中の行動規範で紛争海域における外国軍の駐留と演習を制限すべきと主張しているという情報が流出した。少なくとも東南アジア諸国の外交官2人がAP通信に対して中国側の同要求が事実であったことを認めている。

ABS-CBNニュースから行動規範に関する質問を受けたロクシン外相は、中国が「南シナ海においては外国軍による軍事的存在を許可せず」、「諸外国が石油・ガス開発を希望する場合は、我々と共同で行うこと」を強く主張していたことから、交渉は「しばらくの間非常に難航した」と応答している。

同外相は、「現在は中国が穏健になってきているという報告を受けている。もはや外国軍の存在を排除することを主張していない。あれこれ強く主張することもない」とし、「実質的に私のお陰(翻訳者注:ロクシン外相と中国の王毅/Wang Yi外相の会談を指す)で基本的に中国の敵と我々の同盟国にこの結果がもたらされたのである」と述べている。

今のところ中国または米国当局からのコメントは得られていない。同戦略的水路における米軍の哨戒と演習に中国側は眉をひそめている。

一方で、中国のせいでこうした地域協定の枠組交渉の開始が何年も遅延したとして、諸国からは非難が高まっていた。中国政府がASEANとの正式な協議開始に同意したのは、同国が南シナ海で最も紛争が高まっているスプラトリー諸島(南沙諸島)に7つの人工島を建設した後であるということを指摘する批評家等は、今回の行動規範が完成すれば、紛争海域でこうした大規模建設を行う中国の行動を抑制できる可能性があると述べている。

ブルネイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムの4ヵ国のASEAN加盟国および中国と台湾はこれまで長引く紛争に巻き込まれてきたが、中国が紛争海域の7つの岩礁を埋め立てて、敵国に対して中国の軍事力を投影する前方基地として機能する人工島を建設したときから諸国の敵対心が一層煽られることになった。

中国が自国の利益を損なうような協定を締結することは決してないとして、行動規範の重要性を軽視する意見もある。しかし、ロクシン外相は中国が要求のいくつかを緩和してきており、「南シナ海で公正で正当かつ客観的な行動規範が確立される見通しがある」と述べている。

ロクシン外相によると、ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)比大統領は中国の習近平主席に対して、敵対する主権主張国間の緊張が高まっているため、行動規範の完成を早めるべきであると主張した。

ロクシン外相は、「ドゥテルテ大統領は習主席に対して、『このCOC [行動規範] の策定作業には時間がかかり過ぎている。早めることはできないか?さっさと仕上げてしまおう。そうすれば、緊張状態が収まり、万が一事変が発生しても、過失のある国を判別できる』と伝えた。習主席は『よかろう、そうしよう』と応答した」と述べている。

習主席は3年以内に同行動規範の策定を終える目標に近づいたと表明している。最近、中国とASEAN当局は予想されている3段階のうちの第1段階が完了したと発表した。

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Back to top button