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オーストラリアと米国が軍事保健安全保障サミットを開催

FORUMスタッフ

2019年6月中旬、世界保健安全保障(GHS)における軍隊の役割に対する意識向上を図るため、オーストラリア国防軍(ADF)と米インド太平洋軍(USINDOPACOM)の共催で新たな軍事サミットが開催された。

オーストラリア空軍少将のトレーシー・スマート(Tracy Smart)博士(写真参照:右から2番目)が同サミットの講演で述べた内容によると、米豪両軍が軍事保健安全保障サミット(Military Health Security Summit)を企画した目的は、地域の指導者等と交流を図って関係を構築すること、軍隊の共通目標への貢献方法における共通の理解を得ること、さらにバイオセイフティとバイオセキュリティに関する共通の法的枠組に向けて世界保健安全保障における軍民協力体制を推進することにある。

スマート博士は、「オーストラリア国防軍と米インド太平洋軍は同地域における民間人や大切な提携国と協力することで、保健安全保障上の脅威、人道的危機、自然災害を防止・検知し、こうした事態に対処するための堅牢かつ回復力のある能力を開発および強化することに取り組む」として挨拶を締めくくった。

世界中の軍隊および他の政府機関にとって、世界保健安全保障の確立、感染症の脅威に関連する準備・検知・対応態勢、そして国境を越えた感染症の拡大を軽減または防止する能力はますます重要な国家安全保障課題となっている。

オーストラリア国防軍と米インド太平洋軍の共催で開催された第一回軍事保健安全保障サミットは、2019年6月18日から20日にかけて開催された2019年世界保健安全保障会議の副次的イベントとして、6月16日から17日にかけてオーストラリアのシドニー大学で催された。

米国海軍のルイス・トリポリ(Louis Tripoli)少将は同サミットにおける講演で、「米国は同地域での世界保健安全保障に関するオーストラリアの強力なリーダーシップ、特に今夏に開催された米豪外相・国防相による閣僚協議(AUSMIN)の共同声明で示された高度な支援、そして米国防脅威削減局(DTRA)とインド太平洋健康安全保障センター(IPCHS)間で最近結ばれた提携関係に深く感謝している」と語っている。

多分野にわたる持続可能な世界保健安全保障の機能を確立する上で地域の連携と協力が鍵となると述べたトリポリ少将は、「生物学的監視を例として挙げてみたい。疾患には国境などない。旅行、貿易、観光により地域全体に瞬く間に致命的な感染が拡大することは周知の事実である。全員がより良好に準備態勢を整え、安全性を向上できるように、皆が強力な生物学的監視能力およびその取り組みの結果を互いに共有できる機能が必要である」と主張している。

同少将はまた、2005年の国際保健規則(IHR)や生物兵器禁止条約(BWC)といった国際条約と枠組の遵守および世界保健安全保障アジェンダ(GHSA)のような枠組に基づく協調も保健安全保障にとって重要であると述べている。

防衛・安保部門と在来の保健部門との間で協力を図ることは歴史的に見ても課題が多いが、現在もエボラウイルスが猛威を振るっているコンゴ民主共和国など、最近の壊滅的な感染症の事例を考慮すると、全部門が協力し合って民間主導の世界保健安全保障への取り組みを支援する必要があることは明白である。

さらに同少将は、「部門の枠を超え、地域内で相互が持つ独自の強みを活用して、持続可能な方法ですべての人々の保健安全保障を推進することで、より大きな成果を達成することができる。危機が発生する前に協力体制を整えることで、関係と手順を事前に確立し、必要に応じて迅速かつ効果的に政府が一体となって対応を開始できる」と語っている。

サミットの代表者団は会議への参加を通して、世界保健安全保障における軍民協力体制の促進に注力し、有意義な提携関係の構築に取り組んだ。スマート博士は、「今回の会議で構築した関係や連帯感を活用して相互に学び合いながら、継続的に活動を推進する必要がある」とし、「世界的な枠組に基づき各国の取り組みを整合するためには、まず既存の機構を検討し、各地域における共通の世界保健安全保障目標を支えられるように、それを既存の軍隊、安保任務、優先事項と一致させる術を理解する必要がある」と述べている。

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