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オーストラリアと東ティモール間の海上国境紛争が間もなく終結

FORUMスタッフ

海上国境および石油と天然ガスの埋蔵量が豊富なガス田・油田からの収入の分配方法について対立していたオーストラリアと小国の東ティモールの1年にわたる紛争が後数週間で終結する可能性がある。

2019年6月下旬、東ティモールのディオニシオ・ダ・コスタ・バボ・ソアレス(Dionisio da Costa Babo Soares)外務・協力大臣はロイター通信に対して、2019年8月30日に海上国境条約の批准が行われると述べている。この日は1999年にインドネシアからの離脱が投票により決定された東ティモールの「住民投票記念日」に当たる。

同条約が発効すれば、1974年に発見された自然環境保全区・海中特別区であるグレーター・サンライズガス田の開発にも弾みが付く。ロイター通信によると、同ガス田のガス埋蔵量は5兆1,000億立方フィートと推定されている。

ソアレス外務・協力大臣は、「批准が行われれば、東ティモールは国家主権だけでなく海事主権も無事に達成することになる」と述べている。

同条約の批准により、世界で最も貧しい国の1つである東ティモールが熱望している経済的推進力が同国にもたらされる可能性もある。アジア開発銀行の報告書によると、同国では国民の40%以上が貧困の中で暮らしている。2018年に再設定された海上国境線により、グレーター・サンライズガス田の70%が東ティモールの領海内に属することになった。

ガス田は両国が共同で開発し、東ティモール側にガスが輸送されれば、東ティモールがその収入の70%、オーストラリアが30%を得ることになる。オーストラリア国立大学法学部のドナルド・R・ロスウェル(Donald R. Rothwell)国際法教授の分析によると、処理工場がオーストラリアにある場合は、東ティモール側が収入の80%、オーストラリアが20%を得ることになる。グレーター・サンライズガス田は東ティモールから南東約150キロ、オーストラリアのダーウィンから北西約450キロの地点に位置している。(写真:2018年3月に開催された国連での式典で展示された東ティモールの国旗(左)とオーストラリアの国旗)

ロスウェル教授がオーストラリア戦略政策研究所に提出した報告書には、両国が収益配分に合意に達するのは難しいと記されている。その一部の理由として、ウッドサイド・ペトロリアム(Woodside Petroleum)、ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)、コノコフィリップス(ConocoPhillips)、大阪ガスといったエネルギー企業がグレーター・サンライズガス田に対して示している法的関心に対応する必要があることが挙げられる。

オーストラリア放送協会によると、東ティモールは数十年にわたり、海上国境線はオーストラリアと東ティモールの海岸線の中間に設定するべきであるとの主張を続けている。両国間で国境に関する交渉が始まったのは2004年のことである。2006年に調印された条約では恒久的な国境が確立されておらず、グレーター・サンライズガス田からの収入は両国に均等に分配されることが定められている。

2018年に両国が合意した条約が今回の批准の対象となっているが、同条約では海底資源の多くが東ティモール領域内に属することになる。これにより、楽観的な見方が溢れ返ることになった。

最近、東ティモール国営石油会社のTimorGapがロイヤル・ダッチ・シェルとコノコフィリップスが保有するプロジェクトの権益を650億円相当(6億5,000万米ドル)で買収したことで、同国営石油会社がグレーター・サンライズガス田の過半数の所有権を有することになった。ロイター通信が伝えたところでは、同国営石油会社は東ティモールに液化天然ガス工場を建設するための提携先を模索している。

TimorGapの最高経営責任者、フランシスコ・モンテイロ(Francisco Monteiro)は、「2025年、2026年には市場で良好な機会がもたらされると当社は考えている。現時点では、2、3年でのFID(最終投資決定)を見込むことが合理的だと思う」と述べている。

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