米国戦略司令部が「核の3本柱」の全要素を実験

米国戦略司令部が「核の3本柱」の全要素を実験

ヘッドライン | Feb 24, 2020:

FORUMスタッフ

一連の作戦演習と「核の3本柱(三元戦略核戦力)」の実験を完了した米戦略軍(USSTRATCOM)は、世界的に共同作戦を実施し、提携・同盟国の不安を解消し、そして世界的な戦略的抑止という主要任務を達成する能力を見事に実証した。

長距離爆撃機、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)という核の3本柱すべての実験を実施するため、米戦略軍は複数の地理的領域で戦闘部隊司令官と構成要素を関与させて今回の演習を構成している。

米戦略軍司令官のチャールズ・リチャード(Charles Richard)大将は、「世界各地における米国軍事作戦の後ろ盾となっているのが当軍の核抑止戦略であり、これは米国国防の基盤かつ最終手段である」とし、「こうした実験と作戦演習を実施することで、核の3本柱の信頼性、正確性、性能を検証すると共に、抑止に関して米国大統領に広範かつ柔軟な選択肢を確実に提供できるようになる」と説明している。

2020年2月3日から12日にかけて実施された今回の共同演習には、爆撃部隊(BTF)によるB-52ストラトフォートレス長距離爆撃機の飛行訓練と模擬弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイルと潜水艦発射弾道ミサイルの試験発射が含まれている。(写真:2020年2月5日にカリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地で実施された開発実験で発射された模擬弾頭搭載「ミニットマンIII」大陸間弾道ミサイル)

リチャード大将は、「核兵器戦力の統合運用を担う米戦略軍に属する約15万人の男女軍人が米国戦略システムの維持・運用を行う任務を負っており、必要に応じて年中無休で即時に対応できる準備を整えている」とし、「今回の一連の演習・行事により、軍隊全員の揺るぎないプロ意識と永続的な即応性が実証された」と述べている。

米軍は演習の一部を日本自衛隊と共に実施している。この共同の取り組みにより、インド太平洋地域の安全と安定を支える重要な同盟と継続的な協力関係の重要性が強調された。

空:爆撃部隊の任務

2月3日、ノースダコタ州マイノット空軍基地から離陸した米国空軍のB-52Hストラトフォートレス戦略爆撃機は、合同爆撃部隊演習と継続的な爆撃機展開任務の一環として、青森の三沢基地近くでグアムのアンデルセン空軍基地からのB-52Hと合流した。

また、爆撃部隊はアンデルセン空軍基地に戻る前に、日本付近で日本航空自衛隊のF-2 13機、F-4 4機、F-15 28機、および米国空軍のF-16 6機と共に二国間共同訓練を実施している。

地域別戦闘軍の作戦と機能を統合・同期すること、また抑止、保証、集団安全保障に対する米国の取り組みを実証することを目的として、米戦略軍は2014年から定期的に爆撃部隊任務を実施している。戦略的な爆撃部隊の任務は、世界における潜在的危機や課題に対応するために必要な即応性と訓練を強化することにある。

陸:大陸間弾道ミサイルの実験  

2月5日、モンタナ州マルムストロム空軍基地の第341ミサイル航空団、ワイオミング州F・E・ウォーレン空軍基地の第90ミサイル航空団、ノースダコタ州マイノット空軍基地の第91ミサイル航空団に所属する地球規模攻撃軍団(AFGSC)パイロットが、実験用の再突入体(弾頭部の搭載部位)を搭載したミニットマンIII大陸間弾道ミサイルをカリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地から発射した。

大陸間弾道ミサイルの再突入体は約6,750キロを飛行して、マーシャル諸島のクェゼリン環礁に落下している。新開発の部品や交換部品の信頼性を検査して兵器システムの価値を評価する開発実験では、保管されている予備ミサイルを使用して、可能な限り実際の作戦に近い環境で発射を行う。

大陸間弾道ミサイル試験発射プログラムは、ミニットマンIIIの運用能力、そして運用責任を担う隊員等の即応性を実証するものである。強力かつ信頼性の高い核抑止は、米国の国家安保だけでなく、米国の同盟・提携諸国の安保における重要な要素である。こうした実験を実施することで、その米国の核抑止力を検証することができる。

海:潜水艦発射弾道ミサイルの実験

2月12日、カリフォルニア州サンディエゴ沖の西部試験場で、米国海軍がオハイオ級原子力潜水艦の16番艦「メイン」から、模擬弾頭を搭載した寿命延長型「トライデントII」弾道ミサイルの試験発射を実施した。

今回の実験はDASO-30と呼ばれる示威整調活動(Demonstration and Shakedown Operation)の一環である。示威整調活動の主要目的は、実際の展開に対応できるように、潜水艦の燃料交換を伴うドック入りの後、潜水艦の戦略兵器システムの性能と隊員の即応性を評価・実証することにある。

米国が構成した核の3本柱による戦略的核抑止の大部分(約70%)は海に集中している。核の3本柱の中で最も高い攻撃耐性を備える兵器である潜水艦発射弾道ミサイルにより、持続的な展開と柔軟な作戦概念が可能となる。

核の3本柱の演習により、複数の戦域において異なる戦闘指揮の下で同期作戦を調整・実施する米戦略軍隊員の能力を試すことができるだけでなく、米戦略軍の最新兵器システムであるカーティス・E・レメイ大将指揮統制施設(C2F)の運用能力を検証することが可能となる。2020年1月に稼働した91万6,000平方フィートの同施設は、米国の戦略的抑止力の長期的な実行可能性と信頼性の支えとなるものである。米国の核指揮の中核となるC2Fは、核兵器戦力の統合運用を担う米戦略軍の近代化に向けた第一歩となる。

最近C2Fを訪問したマーク・エスパー(Mark Esper)米国防長官は、米戦略軍の任務の重要性を強調した。

エスパー国防長官は、「米国の最優先事項は安全性を維持して安保を確保し、信頼性が高く効果的な戦略的抑止力を備えることである」とし、「つまり、核の3本柱の全要素、核指揮、制御、通信、そして非常に効果的な司令官による非常に効果的な指揮が必要であるということだ」と述べている。

定期的な核兵器の実験およびC2Fなどの軍隊近代化の取り組みにより、米国の戦略的軍隊による世界的な展開を実証し、米国の同盟・提携諸国の不安を解消できるだけでなく、世界平和の維持に対する米国の取り組みを敵に見せつけることができる。

「戦略的抑止は能動的な任務であり、当軍は安全性を維持して安保を確保し、効果的な抑止力を備えるために日々鍛錬している」と述べたリチャード大将は、「今回の一連の演習により、万が一抑止が失敗した場合にも、世界各地に存在する米国の戦闘部隊に即応性だけでなく、世界中の脅威に徹底的に対応できる能力が備わっていることが実証された」と締めくくっている。

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