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海賊対処活動に永続的な支援を提供する日本

ジョセフ・ハモンド(Joseph Hammond

海賊による被害件数が低下したことで他国が優先順位をソマリア沖から他に移行する中、日本海上自衛隊(JMSDF)は同地に留まり、この重要な海上交通路における民間船舶の護衛を引き続き実施する構えである。

ソマリア沖では2019年4月に7ヵ月ぶりに海賊の被害が発生したが、欧州連合主導の欧州連合海軍部隊(EU NAVFOR)「アタランタ作戦」に従事する乗組員等は、海賊によりシージャックされたイエメンのダウ船を最終的に保護することに成功した。犯人等は同ダウ船を母船として海賊行為を行うことを企んでいた。2019年4月23日、同部隊の旗艦であるスペイン海軍フリゲート「ナバーラ」が迎撃して隊員が同ダウ船に乗り込み、5人の海賊容疑者を逮捕して、23人の人質を解放した。

最近の日本による海自の展開は、こうした海賊対処活動の継続に対する日本政府の支持を反映するものである。2019年4月13日、海自の護衛艦「あさぎり」がバーレーンのミナサルマン港に入港した。同艦船の派遣海賊対処行動水上部隊は、海賊対処を行う多国籍部隊(CTF)2隊に参加してそれぞれの任務を遂行することになる。

横須賀アジア太平洋研究会議(YCAPS)のマイケル・ボーザック(Michael Bosack)政務特別顧問は、「2009年からCTF-150とCTF-151に参加してきた日本は、海自の空中・海上資産を提供し、司令官も派遣している」と説明している。(写真:フィリピンの港湾への入港準備中、「気をつけの姿勢」を取る海上自衛隊のあさぎり型護衛艦・1番艦「あさぎり」の乗組員)

自衛隊唯一の海外拠点は、アフリカの角に位置する「ジブチ共和国における自衛隊拠点」である。約200人の自衛官が派遣されているアフリカの同拠点は拡張が計画されている。2009年以来アデン湾における海賊行為防止活動に貢献してきた自衛隊は、物理的リスクと政治的リスクを伴う任務に従事している。

中国と日本はジブチに別々の軍事拠点を有しているが、この2つの基地は友好的な関係にあるとは言い難い。2017年、中国政府はジブチに派遣した中国人民解放軍海軍の軍艦に対して海自がフロッグマン(潜水士)を送って接近させたと主張している。

各国がジブチに大きな関心を抱く理由は、同地が重要なバブ・エル・マンデブ海峡に近い戦略的な場所であるためである。紅海とアデン湾に面するジブチは東アフリカ唯一の深水港である。これは地中海とインド洋を結ぶ海上交通路の隣に位置しており、全世界の海上輸送の約30%が航行する交通路である。ジブチにはフランス軍と米軍も駐留している。

交通の激しい同海上交通路はソマリア海賊にとって格好の標的となる。日本外務省によると、海賊被害が頂点に達した2011年には237隻の船舶が攻撃を受け、28隻がシージャックされている。2019年に報告された海賊被害は3件に留まっている。

アフリカの角沖で海賊行為対策活動に貢献してきたNATOの「オーシャンシールド作戦(OOS)」は、海賊の取り締まりに成功したことで2016年に閉鎖された。欧州連合海軍部隊「アタランタ作戦」は2020年12月31日まで延長されたが、それ以降の計画は未定である。

一部のアナリストは民間商船の護衛以外にも問題が残っていると主張している。ランド研究所のジェフ・ホーナング(Jeff Hornung)アナリストは、「2016年、安倍晋三首相は日本の『自由で開かれたインド太平洋戦略(FOIPS)』を発表した」と説明し、「ケニアのナイロビで法令が制定されたことは忘れられがちである。インド太平洋に対する日本の概念は、似たような米国の地政学的見地よりも遥かにアフリカに高い焦点が当てられている。

同アナリストによると、日本がアフリカに継続的に関与することで他にも利益がもたらされる。

同アナリストは、「多国籍海洋部隊に参加し、国際的な作戦に関与することで、自衛隊の軍事作戦経験が豊富になる」とし、「こうした活動により、和平推進に向けた日本の取り組みは単に開発援助のみに焦点を当てているとする主張も覆すことができる」と述べている。

ジョセフ・ハモンドは、ロンドンに拠点を置くFORUM寄稿者。同記者はインド太平洋地域における取材旅行から戻ったばかりである。

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